広報の緊急対応!発売・開発中止連絡のメールテンプレート8ステップ
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2024.12.26

広報の緊急対応!発売・開発中止連絡のメールテンプレート8ステップ

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、商品・サービスの開発中止・発売中止の連絡をするためのメールのテンプレートをステップ分けして紹介していきます。

例えば「開発に着手した段階でプレリリースをメディア関係者に送ったものの発売中止になった」という場合は、広報・PR担当者の方から早めに連絡する必要があります。

そこで本記事では、開発中止・発売中止の連絡を入れることの重要性、そして連絡のメールのテンプレートをステップ分けしてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。

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広報・PR担当者が発売中止の連絡を入れるべきケースもある

自社の商品やサービスが開発中止・発売中止になった場合、そのことについて広報・PR担当者としても「しかるべき相手」に連絡を入れなければならないケースがあります。具体的には「開発着手など早い段階でプレリリースを作成・発信した」場合における、「プレリリースを送ったメディア関係者」に対してです。

シンプルに考えると「この商品を開発し始めたのでお知らせします」→「やはり中止になりました……」なので連絡を入れるのが自然ですよね。

全く反応がなかったメディア関係者にも連絡を入れる

プレリリースを送ったものの全く反応がなかったメディア関係者にも、開発中止・販売中止の連絡を入れましょう。反応がないだけでなんらかの動きをし始めているかもしれませんし、しばらく後になってからアプローチしてくる可能性もあるためです。

なお「プレリリース一斉配信サービス」を利用した場合は、同じサービスで対象者に連絡をすることをおすすめします(そもそもプレリリース一斉配信を使うと『数撃てば当たる』になりやすいためあまり推奨しません)。

開発中止・発売中止連絡のメールテンプレート8ステップ

それでは商品やサービスの開発中止・発売中止の連絡のメールテンプレートをステップ分けして解説していきます。不祥事ではないのであまり下手に出る必要はありませんが、普段以上に礼儀を尽くすことは大事です。

step①:メールタイトルで「開発中止・発売中止」とわかるようにする

メールのタイトルだけで相手に「商品やサービスが開発中止・発売中止になった」とわかるようにしましょう。

具体的には「新商品『○○(商品名)』発売中止のお知らせ|○○(社名)」などとします。

メールのタイトルは30字くらいに抑えたいところなので、商品名が長すぎる場合は社名をカットするなどしてください。

社名をカットしてもタイトルが長くなるのであれば、商品のサブタイトルや「色」などの情報を切ります(例:『○○ サマー仕様 イエロー』なら、サマー仕様やイエローをカットする)。

step②:あいさつ

例えば「平素は大変お世話になっております。」「○○社の広報・PR担当□□(名前)と申します」など。

簡単なあいさつと自分の所属・名前を伝えます。繰り返しになりますが不祥事ではないので、妙に謝ることのないようにしましょう(不祥事でも考えなしに謝罪すべきではありませんが)。

step③:何が発売中止になったのかを明確に伝える

例えば「このたび、○月発売予定となっておりました新商品○○の発売中止決定についてご報告いたします」など。

タイトルでも伝えていますが、ここで改めて「何が発売中止になったのか」を明確に伝えます。

商品名・サービス名があまりにも長くてメールタイトルで一部カットしていた場合は、ここで正式名称を記載しましょう。

step④:発売中止になった理由を伝える

例えば「弊社工場の生産設備のトラブルにより製造が不可能となりました」、「○○(災害、社会情勢など)による原材料の確保の困難により製造が困難となりました」など。

表に出しやすい開発中止・発売中止理由がある場合はそれを素直に書けば問題はありません。

✅表に出したくない理由の場合は「表に出せる理由」を作る

ただ、現実には例えば「金銭トラブルによる開発中止」「採算が取れない見込みになってきたため発売中止」など、あまり表に出したくない理由で中止になるケースも少なくありません。

その場合は上で挙げたような「表に出せる理由」を作り出して記載すれば問題はありません。

例えば「金銭トラブルで工場が使えなくなった」なら」、「弊社工場のトラブルにより~」と言い換えるなどです。このように「完全な嘘」にはしないのがポイントですね。

✅相手メディア関係者との関係性によって「どこまで理由を加工するか」を調整する

例えば「最初のプレリリースを送っても全く反応がないメディア関係者」が相手であれば、上で解説したように「完全な嘘ではないレベルに加工した理由」を伝えてもいいでしょう。

ですが「最初のプレリリースに好反応をしてくれたメディア関係者」や、「すでに何回か取り上げてもらっているメディア関係者」などが相手の場合、ごまかすと今後の関係性に響く可能性があります(前者のメディア関係者ともこれから長い付き合いになるかもしれません)。

そのためできる限り正直に理由を伝えることをおすすめします。ただし「社内の人間関係」「キャッシュフロー」など本当にディープな部分まで伝える必要はありません。

step⑤:謝罪

例えば「○○様に大変なご迷惑をおかけしますこと、心より深くお詫び申し上げます」など。

「最初のプレリリースを送ったメディア関係者」の一人ひとりにメールなどを送っているはずなので、「○○様」の部分は間違えないようにしましょう。

さらにメディア関係者ごとに「反応」や「広報・PR担当者と具体的にどこまで話が進んでいたか」も違うでしょうから、上の例を基準にしつつも、個別に「どのように謝るか」を誠実に考えましょう。

先ほど「不祥事ではない」と言いましたが、相手によっては迷惑をかけていることは確かです。

step⑥:その他の訂正事項

例えば「発売中止が決定したが、後日配布する小冊子には『今冬発売予定』と記載されている」「しかもスケジュール的に小冊子の配布を止めることができない」などのケースでは特別な文言が必要となります。

一例として「○月○日頃にお届けする弊社小冊子○○には、当該商品について『今冬発売予定』と記載されておりますが、本商品の発売はございませんので、おわびして訂正申し上げます」などです。

「さすがにあえて言わなくても理解してくれるのでは?」と感じるかもしれませんが、メールや小冊子をどこまで丁寧に読んでもらえるかはわからないので丁寧に伝えておくに越したことはありません(単純に礼儀の問題でもあります)。

step⑦:発売予定だった商品・サービスの基本情報

メールなどの下部に、発売予定だった商品・サービスの基本情報を書きましょう。例えば以下の通りです。

  • 商品名:○○○
  • 希望小売価格:○○円(税別)
  • 発売予定日:20○○年○月○日(月)※発売中止となりました

世の中に類似商品が多い場合、希望小売価格が見分ける目印になる可能性もあるのできちんと書きましょう。

step⑧:⑥のその他の訂正事項に関する基本情報を伝える

step⑥で紹介した「その他の訂正事項」がある場合は、それについての基本情報も書いておくと親切です。例えば以下の通り。

  • 小冊子名:○○○
  • 発行元:弊社
  • 発行日:20○○年○月○日(月)
  • 該当情報の掲載ページ:○○ページ下段
  • 掲載内容:新商品○○今冬発売予定※発売中止となりました

このように「元の情報がどこにあったか」と「状況がどう変わったのか(この例でいえば今冬発売予定→発売中止)」をわかりやすく記載します。

また、特に自社で出す小冊子などとは異なり、出版社が発行する正式な雑誌などの場合は、発行元を明確に書くことで「この出版社のせいで遅い情報が載ったわけではありません」と示すことも重要です。

開発中止を連絡する際の対応の作法(まとめ)

商品・サービスの開発中止・発売中止に際して、広報・PR担当者がしかるべき相手に連絡するべきケースもあるので覚えておきましょう。不祥事ではないのであまり下手に出るべきではありませんが迅速な対応は欠かせません。

そして「開発中止・発売中止のリスクがゼロではない」からといって、商品・サービスのプレリリースを早い段階で作成・送信し始めることを避けるのはもったいないです。「この商品の開発を始めました」なども立派なニュースなので、ぜひ検討してみてください。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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