スタートアップ企業がPRを行うべき理由と広報活動4つのポイントを解説
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2024.11.30

スタートアップ企業がPRを行うべき理由と広報活動4つのポイントを解説

この記事ではスタートアップ企業の広報・PR活動のポイントなどについてお伝えしていきます。

「スタートアップだから広報・PR活動までしている余裕はない」という企業も多いと思いますが、その発想は変えるべきである場合が多いです。

本記事では、広報・PRに力を入れないスタートアップが多い理由、スタートアップだからこそ広報・PR活動をするべき理由、そして広報・PR活動のポイントなどに関して解説します。

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広報・PR活動に力を入れないスタートアップ企業が多い2つの理由

広報・PR活動にあまり力を入れないスタートアップ企業が多い理由は主に2つあります。それぞれ解説していきましょう。

①:開発や営業に力を入れるべきで広報・PR活動は後回しでいいと思っているから

「スタートアップだからこそ開発や営業に力を入れるべき」「広報・PR活動は余裕ができてからでいい」という考えから広報・PR活動を後回しにする企業が少なくないようです。

②:直接的に売上につながらないことをする余裕がない

広報・PR活動は基本的に直接売上につながるものではなく、徐々に効果を発揮してじっくりと売上に貢献していくものです。そのためスタートアップの時点では予算不足などであまり広報・PR活動に取り組まない企業が多いです。

中には中小規模の企業になってからも、「売上には関係がないから」と広報・PR活動に関して消極的な企業が少なくありません。

スタートアップ企業だからこそ広報・PR活動に力を入れるべき3つの理由

続いてはスタートアップ企業だからこそ広報・PR活動に力を入れるべき主な理由を紹介します。実は早めに取り組み始めた方が広報・PRのメリットは大きくなりやすいです。

①:信頼性と親近感を早い時期から高める必要があるため

なんといってもスタートアップ企業ですから、そのままでは顧客だけでなく、未来の取引相手、株主、求職者、さらには社員からの信頼もあまり得られません。そして信頼を得られないままでは、「商品・サービスを利用したい」「取引をしたい」「投資したい」などと考える人は増えません。

また、自社に対して「得体が知れない」という感覚、つまり「親しめない(親近感)」という印象を持たれている場合も、人々が望んだアクションを取ってくれることはないといえます。

そのため早い段階で広報・PR活動を始めて、信頼性や親近感を高めていく必要があるのです。

②:早めに取り組まないと「出てほしいタイミング」で効果が出ない

先ほども触れましたが広報・PR活動は基本的に早めに効果が出るものではなく、「じわじわ」と成果が見えてくるものです。

そのため中小規模になった段階で、例えば「もっと人々に信頼されていれば商品が売れるのに」「もっと知名度があれば取引相手の候補も増えるのに」と考えて慌てて広報・PR活動を始めても、なかなか状況が打開されない可能性が高いです。

しかし早めに広報・PR活動をスタートしておけばしばらくは効果が見えなくても、企業が成長するに伴って「広報・PR活動をしておいて良かった」と思えるタイミングが訪れることでしょう。

③:実はそれほど予算をかけなくてもできることは多い

「予算がないので広報・PR活動はできない」と認識しているスタートアップ企業は多いですが、そもそも実はそれほど予算をかけなくてもできることはたくさんあります。

例えば新聞に広告を出すのではなく、プレリリースを送って取材をしてもらえば基本的に掲載費はかかりません(それ以外の雑費は発生しますが)。SNSや自社サイトを使えばほとんど無料で認知活動をすることもできます。

スタートアップ企業の広報・PR活動のポイント4選

それではスタートアップ企業の広報・PR活動のポイントをいくつか紹介していきます。スタートアップ企業「だからこそ」やっておきたいことなので、ある程度スピード感が欲しいアクションも多いです。

①:社長の想いを言葉にする

広報・PR活動では基本的に「社長の想い」に沿ってすべての発信をしていくことになりますし、そのものずばり社長の想い自体を発信することもあります(スタートアップの社長への取材は多いです)。

そのため早い段階で社長の想いを言葉にしましょう(明文化)。それをしないままで広報・PR活動を本格的に始めると、社長の方針と広報・PR活動がズレて、社長のモチベーションが下がったり広報・PR活動への予算が減ったりする可能性があります。

また、単に商品やサービスを売ろうとするのではなく、そこに社長の想いやストーリを含ませることで共感を得られて、売上が伸びやすくなります。

②:「現状」と「当面の目標」を明確にする

スタートアップだからといって何も考えずに大量に情報発信すればいいというわけではありません。それでは広報・PR活動が無駄になり、先ほど紹介したようなメリットが得られなくなるだけです。

そのためまずは「現状」と「当面の目標」を明確にしましょう。例えば「学生の応募が少ない」という「現状」なら、「当面の目標」は「学生の応募を増やす」になるはずです(できれば具体的な数値目標も作る)。

ここがハッキリすれば、例えば「自社の最年少社員のインタビューを発信する」「高校や大学などでのスピーチの機会を増やす」などの具体的にするべき施策が見えてくるはずです(これは架空の例なので実際にはもっときちんと戦略を練る必要があります)。

③:(特に地方企業は)地方紙やローカル番組を狙う

特に地方のスタートアップ企業の場合、まず地方紙やローカル番組での採用を狙うのがおすすめ。全国紙・全国番組に比べると基本的にパワーは低いですが、例えば地方紙の場合「その地方での普及率が高い(ものが多い)」というメリットがあるため地方企業にはメリットが大きいです。

また、地方紙・ローカル番組ですから全国紙・全国番組で採用される場合に比べて扱いが大きくなる可能性が高いです(というよりも全国での扱いが極端に小さくなるケースが目立ちます)。

さらに地方紙やローカル番組に掲載・出演することで、他のメディアからの信用性がアップして、全国紙・全国番組、ウェブメディア、さらには大学や経済団体などから取材依頼が入るかもしれません。こうしてつながっていけば、大量のメディア出演が叶うのも夢ではありません。

都会の企業でも「社長の出身地」「原材料の生産地」などを絡めればチャンスはある

都会のスタートアップ企業の場合、そのまま地方紙やローカル番組への進出を狙うことは難しいですが、例えば「社長の出身地」「原材料の生産地」などの要素を絡めてプレリリースを送ればチャンスはあります。柔軟に考えましょう。

④:記者クラブに投げ込みをする(プレリリースを持ち込む)

記者クラブとは簡単にいうとテレビ局、新聞社、通信社などの記者が集まるクラブであり、企業などのプレリリースの持ち込みを受け付けています。記者クラブに加入しているメディアに対して一斉に情報を送ることができるため高効率です。

地域ごとに市政記者クラブや県政記者クラブなどがあるので、自社のプレリリースの内容を求めていそうな記者クラブを見極めて投げ込みをするのがポイントです。

新聞やテレビ局と同じで、記者クラブについても「地方のクラブ」の方が採用されやすい傾向にあるため、地方企業は特に狙ってみてはいかがでしょうか。

ただ、記者クラブには主に2つの注意点があるので紹介します。

注意点①:投げ込みに関するルールはクラブによってさまざま

クラブによって投げ込みに関するルールがさまざまにあるので、事前に確認した上でプレリリースを送りましょう。ルール違反を何度もしてしまうと、ブラックリスト入りのような状態になる可能性もあるため気を付けてください。

注意点②:社会性や公共性の高い情報が求められている

記者クラブは基本的に社会性や公共性の高い情報を求めているので、例えば「新商品を発売します」「イベントを開きます」だけのプレリリースでは厳しいです(場合によってはルール違反扱いになります)。

そのため「地域のどのような課題を解決するものなのか」「地域や地域の人々にとって、どのような具体的なメリットがあるのか」などもしっかりと書き込むことを意識してください。それが難しい(情報の性質上できない)場合は、記者クラブへの投げ込みをやめることも検討しましょう。

スタートアップ企業こそPRを行うべき(まとめ)

スタートアップ企業は広報・PRに予算を出しにくいかもしれませんが、そもそもあまりコストをかけずにできる広報・PR活動も多いので、できるだけ早めに取り組み始めることをおすすめします。

ただ、なんのビジョンも目標もなく「量」だけを考えて発信していると活動が無駄になり、自社の他の仕事の妨げになる可能性もあるので今回紹介した内容を参考にしつつ、「最初から戦略的に」を大事にして動いていただければと思います。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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