記者との電話で、相手が専門用語をすらすらと流暢に話してきた時、相手に合わせて、分かったふりをしてしまう。ある程度の経験を持つ広報担当者でも、日常的に起こることです。
とくに新聞メディアには、専門用語が多くあります。広報担当者として専門用語のルールを知っておくことで、記者とのコミュニケーションが円滑になります。また、記事掲載を狙う際も、有利に働きかけることができるようになります。
当記事では、その代表的な知識をいつくか紹介していきます。
新聞の専門用語は意外と学ぶ機会が少ない
広報が知るべき新聞メディアの専門用語は、業界人以外にはあまり知られていないのが実情です。このほか広報担当者が持つ悩みの種類について、まず一緒に見ていきましょう。
悩みその1
知っておきたいと思っていても、何を知っていれば、記者とのやり取りをうまくできるようになるか分からない。
悩みその2
記者がどの程度、広報の方々に知っておいてもらいたいと思っているのか、分からない。
悩みその3
業界用語を、どうやって知ったらよいのか分からない。
新聞記事の種類・大きさ・狙い目について
次に、掲載を狙うポイントとともに、新聞の専門用語を解説したいと思います。BtoB広報において記者の立場も踏まえて記事の大きさや、どこを狙うべきなのか、さっそく解説していきます。
一番目立つ【1面】
読者が新聞を読もうとする時、最初に目に入るのが1面です。新聞社がその日、最も重要だと判断したニュースを詰め込んでいます。
最も大きな記事【アタマ】
1面の中でも、最も目立つその日のイチオシの記事です。一般に、右上の最も大きな見出しがついた記事になります。「トップ」などとも呼ばれます。
アタマ記事は1面だけではなく、すべての面にあり、原則として右上にある最も大きな記事のことを言います。この紙面に前向きな記事が掲載されれば、非常に知名度が上がります。しかし、企業のニュースだけではなく、マクロの政治経済、国際、社会ニュースなどほかのジャンルが入ることも多いので競争率がとても激しいです。
特にBtoB企業が1面アタマで扱われるのは、規模の大きい企業同士の合併など限られたケースだけです。BtoB企業で狙うとしたら、1面に比べれば競争率の低いビジネス面のアタマでしょう。
実は、記者は小さな記事をたくさん書いても、あまり評価されません。アタマ記事を書くことが、自らの評価につながります。こうした状況を考えると、広報担当者がアタマになるような記事ネタを出すことやそのアイディアを出すことができれば、記者からは感謝され、その後も頼りにされるようになります。最近では、時代の変化で、小ネタはインターネット上で容易に手に入るようになってきました。そのため、とくに大きな記事の重要度が高まっています。
1面以外の面の総称【中面】
知名度向上を目指す中小企業などの企業広報にとっては、年に1回、アタマ記事を掲載してもらうよりも、アタマ以外の記事の掲載数を増やしていった方が良いと思います。
また、アタマ記事の場合は、複数の同業他社のニュースと一緒にまとめた「まとめ記事」になっていることも多いです。
2番目に大きな記事【ワキ】
「カタ」や「準トップ」などと呼ぶ場合もあります。
真ん中付近に、四角の太枠で囲んだ記事【小囲み】
ここは、通常のニュースに比べて内容がやや、やわらかい読み物風の話題や、新しく要職についた重要人物、統計の分析などを扱った記事が入る傾向にあります。
大きさで言うと、小囲みは、アタマやワキよりも小さいですが、黒線などで四角に囲んでいます。むしろアタマやワキの記事よりも目立っています。
自社の知名度向上を目指す広報担当者は、ぜひ、ここを狙いっていきたいです。小囲みは、ビジュアル重視です。この場所を狙うのであれば、関連するデータやグラフ、写真などをいつでも記者に提供できるように準備しておきましょう。
段もの
新聞をよく見ると、1ページの縦幅が、15に分割されています。この、一つひとつを段と言います。段ものというのは、2段以上にわたって掲載されている、ある程度の大きさの記事のことを言います。見出しが3段にまたがっている記事は「3段」の記事などと呼びます。
段ものよりも小さい記事【ベタ】
基本的には記事は1段だけです。文字数も200字以内のことが多く、あまり目立つ記事ではありません。
さらに小さい【レッチ】
レッチは文字の大きさが少し小さくなっています。ベタやレッチへの掲載でも、記事になった時には、必ず、記者に感謝の気持ちを伝えましょう。
普段見えない裏側では、ネタがつまらないからボツにする、という主張に対して、何とか掲載に取り付けようとしたいう状況があるかもしれません。広報が理解しておくことは必須ですが、取材を受けた他部署の担当者や、経営者にも、周知しておきましょう。
左端にある分析記事【囲み】
アタマ記事と同じくらいの分量があり、とても目立ち、読まれやすい記事です。面の左端に位置し、周囲を枠で囲まれています。
囲み記事は、単発で終わる場合もありますが、長期にわたって連載することもあります。長いものでは1年間続ける「年間企画」もあります。
ある業界の囲み記事であれば、複数の会社を取材して、業界の傾向や課題を分析することもよくあります。1社だけではなく、複数の企業を取材するということは、自社が業界No1でなくても、取材してもらえる可能性が高まるため、BtoB企業も取り上げてもらいやすいカテゴリーです。
まとめ
一面では大企業同士の合併など、まず、規模が大きくないと掲載が難しい、ということもお判りいただけたと思います。
しかし、黒線などで四角に囲んである小囲みは、小さいけれど目立ちやすく、企業の知名度向上には最適です。
BtoBも取り上げてもらいやすい大きな記事で狙い目な、分析を取り扱う囲み記事では、アタマ記事と同じくらいの分量があるため、とても目立ちやすく、読まれやすいです。
このように、新聞の専門用語を知って狙いを定めることで、露出の成果を追求しやすくなります。皆さんがBtoBの広報としてよりいっそう活躍できることを願っています。