企業は新年度に向けて新しい体制を模索し構築します。
そんな中、人事異動で職務や職場が変わるケースも多々あると思います。なかには、新設された部署に転属することもあるでしょう。これまで、やったことのない業務で、しかもその部署に先輩がいないというのも不安の材料となります。
そこで今回は、もし、あなたが広報担当者に信任され、しかも、ひとりで広報業務を遂行することになったら、何から手をつければいいのか、どのように対応すればいいのか、を4つの視点から解説していきたいと思います。
ひとり広報とは何かを理解する
ひとり広報とは、会社の姿勢や社会的意義を社会に発信します。と同時に、自社の商品やサービスを告知するという役割があります。
それによって、会社のブランド向上や存続意義、商品やサービスの売上げ向上といった効果が見込まれます。また、リクルート対策としてのイメージアップの役割も果たします。ただ、いずれの場合も、広報活動をする時は、まず社長や経営陣に十分なヒアリングをして、以下の二点を明確にすることが大事です。
何を告知するのか
告知内容を明確にします。会社のフィロソフィなのか、慈善事業のような社会貢献なのか、新商品の情報なのか、キャンペーンの告知なのか、ここを明確にします。どの情報においても、そこには必ず会社のコンセプトが存在するはずですから、そこを意識してヒアリングをするといいでしょう。
何を目的とするのか
会社のフィロソフィや社会活動の紹介は、ブランドの向上やイメージアップに繋がります。会社のブランドがアップすれば、商品やサービスの売上げ、そしてリクルートにも良い影響を得られます。また、商品やサービス、キャンペーンなどの単発的な広報活動においては、売上や集客のアップという短期的で実質的な目的となります。この目的をしっかりと把握しておかないと、広報活動が曖昧になり迷子になってしまいます。
ひとり広報になったら社内におけるヒアリングを重視する
社長や経営陣にしっかりとヒアリングすることは、先に述べた通りですが、広報の目的が決まったら、該当する部署の責任者や担当者に詳しいヒアリングを行い、情報発信時のエピソードやキーワードを見つけることを忘れてはいけません。
新商品の告知の場合、なぜこのネーミングになったのか、なぜこのタレントを起用したのか、など裏話も含めて、現場でしか分からないレアな情報を聞き出します。こうした情報は、商品認知に大きな効果をもたらすだけでなく、商品に対する興味や親近感を誘発してくれます。商品開発を進めている時、担当者の子供が何気なく口にした言葉がヒントになって、このネーミングになりました、などという話は微笑ましくもあり、商品の好感度を上げてくれる要因にもなります。
ターゲットをセグメントした媒体(広報手段)を考える
ひとり広報としての活動目的が決まり、社内へのヒアリングが終わったら、次はどうやって情報を伝えるかという広報手段を考えなければなりません。広報活動として使用する媒体はいくつかありますが、それぞれに媒体特性があるため、これらを適切に使い分け、選定することが大事です。
▼マス媒体
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のことを指し、これらはマス4媒体と呼ばれます。マス媒体は、とにかく情報を知って欲しい、という考え方から成立する広報手段で、“広く浅く”が特徴です。人の目に触れるという点では優れた特徴を持ちますが、比較的コストがかかり、効果測定するのが難しいという特徴も兼ね備えています。
▼SP媒体
電車の中吊りなどの交通広告、チラシ、ポスター、店頭におけるPOP、そして、DM(ダイレクトメール)などがSP媒体です。これらは、比較的商品の購入に結びつく可能性が高く、また、マス媒体に比べ安価で、POPやDMなどは、よりターゲットに近い距離での告知が可能です。
▼インターネット媒体
近年、大きく需要が高まっている媒体で、ビジネス、プライベート両面で利用範囲も広く、安価で媒体利用ができ、またAIなどの導入でターゲットを絞り込んだ情報発信が可能です。また、優秀なインフルエンサーとコラボすることで、企業や商品にロイヤリティを付加することもできます。そして、サイトを訪れたユーザーが自ら情報を発信することや、ユーザー同士での情報交換などにより、広報の効果が一層高まるという特徴を持っています。
広報活動の年間計画を立てる
年度初めには、1年間の広報計画をざっくり立てておくと業務の進行がスムーズになります。先に述べたように、どんな情報を発信するのか、広報目的が何なのかが分かれば、前もって広報活動の時期や回数を決めることができます。
例えば、会社のブランド向上のための広報であれば、年間を通してコンスタントに発信していくことが大事ですし、また、商品やキャンペーン、イベントの広報であれば、ピンポイントでインパクトのあるタイミングが必須になります。そして、社外だけでなく、社内に目を向けた広報活動にも常に気を配らなければなりません。会社の創立記念日や年頭の社長の挨拶、入社式や表彰式などの社内イベントは早くのうちから計画を立て、社内で情報共有をしておいた方がいいでしょう。
年間計画をたてておけば、それぞれの広報内容によって先に述べた媒体の選定にも早めに着手することができ、押さえる(手配・予約)のが難しいマス媒体なども比較的スムーズにバイ(買う)することができます。
時代を捉えたインターネットを利用した広報
近年は、多くの人たちがインターネットを利用しています。情報収集のみならず、商品やサービスの購入、入試や入社の受付・手続き、そして持論の公開や出会いの斡旋まで、今や、インターネットは私たちの生活に欠かせないツールとなっています。インターネットの特徴は、特に若い世代のスマートフォン利用率の高さに現れていて、その世代に情報発信するには絶好の広報媒体と言えるでしょう。
そこで最後に、ひとり広報担当者が、インターネットを利用して広報活動を行う場合のいくつかの代表的な例をあげておきます。
ホームページ
ランディングページ、メルマガ、プレスリリースなど、自社発信のオンドメディアを運営します。
SNS
〇LINE
従来の電話やメールに代わり、日常の通信手段として代表的なものとなっています。
〇YouTube
国内における利用率は約75%と、動画系SNSではダントツの存在となっています。
〇Twitter
不特定多数の人たちとの交流ができ、情報の核になるサイトへの誘導にも効力を発揮します。
〇Instagram
写真・ビジュアル系のSNSで、視覚からコミュニケーションを構築でき、40代、50代の利用率も急増しています。
〇FaceBook
世界で月間約28億人が利用していると言われるSNS。比較的、富裕層の利用が多いとも言われています。
〇TikTok
15秒ほどのショートムービーを投稿するSNSで、ここ数年、利用者数が大きく伸びています。
まとめ
ここまで、きちんと頭に入れておけば、ひとりで広報担当者になっても慌てることはありません。むしろ、社内にある種々雑多な情報を選別し、適切な媒体を駆使して社外に発信していくプロデューサーとして、思う存分自分の力を発揮できるのです。そういった意味では、一から作り上げていくクリエイティブな仕事だと言えるでしょう。誇りとやりがいを持って日々取り組んで欲しいと思います。