広告が抱える限界と問題点「ある種のコストパフォーマンスの低さは覚悟せよ」
コラム
経営戦略×PR
2020.04.04

広告が抱える限界と問題点「ある種のコストパフォーマンスの低さは覚悟せよ」

広告が抱える「ある種のコストパフォーマンスの低さ」は、どうして起こるのでしょうか。広告と広報の違いを丁寧に解説しながら説明します。

「広告」が抱える意外な問題点とは?

1:「お金がかかる」←これがエスカレートしていく

広告を出すのにお金がかかるのは当然ですよね。
別に意外でもなんでもないと思います。

それでも、最初のうちは「広告の効果」が大きくなる可能性が高いので、あまり気にならないでしょう。例えば「化粧品の新商品の広告」なのであれば、「何らかの化粧品を買いたくて、かつその新商品を知らない人」にどんどんアプローチすることができるからです。

ですが、だんだん購入者数が増えるごとに、当然「広告を打つだけで、商品の存在を知って、そのまま買ってくれる人」は少なくなっていきます。

言ってみれば「いずれ収穫しきってしまう」わけですね。
または、「だんだんコストパフォーマンスが悪くなっていく」とも言えます。

その段階に来た場合に、「広告だけ」で強引に事態を打開しようと思ったら、広告の規模を大きくする、つまりもっと広告費を出すしかありません。もしくは、「これまで誰も考えなかった超斬新な広告の出し方」をすればいいのかもしれませんが、現実的ではありません。

2:基本的に「すでに買うつもりの人」しか引き込めない

「1」で触れたことにも繋がりますが、「『化粧品Aの広告』を見て購入」してくれるのは、「すでに化粧品を買うつもりの人」もしくは「化粧品というジャンルに強い興味がある人」だけです。
ちなみに、このような「もうちょっとで買いそうな人」のことを「顕在顧客」と言います。

ですが、広告では「化粧品に対する興味がかすかにある人」「化粧品への興味があるが、それを自覚していない人」を取り込むことはできません。(こういった層のことを『潜在顧客』と言います)

もちろん、何度も何度も大規模な広告を打てば、「強引に顕在顧客に変化させる」こともできるかもしれません。
ですが、「お金をかけて、ようやく顕在顧客にするだけ」ですから、やはりコストパフォーマンスが悪いです。

 

広報PRで「潜在顧客の増加」「潜在顧客の顕在化」する3つのメリット

広告ではなく、「広報PR」によって報道・メディア露出を勝ち取りましょう。
そうすることで、効率よく「潜在顧客の増加」「潜在顧客の顕在化」を進めることができます。

では、広報PRのメリットを見ていきましょう。

1:お金がかからない

例えば、「売り込んで記事にしてもらう」わけですからお金はかかりません(もちろん活動費などは発生しますが)。「費用が少ない」という事実だけで、「コストパフォーマンスが悪い」という「広告」が抱えるデメリットはおおよそ解消されます。

2:信頼されやすい

「広告はお金を払って出すもの」という事は誰しも知っているので、「どうせ信頼できない」と思われる可能性が高いです。それどころか「広告が魅力的過ぎるし、むしろ怪しいのだろう」「この企業の広告はいい加減見たくない、(企業自体が)嫌いだ」と考える人さえいます。

しかし、「報道」は「第三者が行うもの」ですから信頼されやすいです。
もちろん報道を信じない人も少なくありませんが、そこを考慮していればキリがありません。

3:「潜在顧客の増加」「潜在顧客の顕在化」が同時にコスパ良く進められる

潜在顧客の増加→繰り返し報道されることで「化粧品って案外いいのかも」などと思ってもらえます。

潜在顧客の顕在化→繰り返し報道されることで「前から薄々思っていたけど、そろそろ本当に化粧品を買うべき年齢だよね」などと思ってもらえる

上記の2つは広告でもできることです。しかしとにかく「お金の問題」があるので、広報PRによって果たすべきでしょう。
また、広告では「信頼」を勝ち取れませんが、広報PRであればそれも叶います。

 

ブランディングを進めてさらにコスパを上げよう!

例えば、
「乾燥肌には化粧品A」
「安い化粧品と言えば、株式会社○○の商品」

など、「消費者に特定のイメージを持ってもらうための戦略」のことをブランディングと言います。

このブランディングができていないと、「(消費者からすれば)ヨソの商品と一緒」になるので、「価格」や「広告での露出度」などでしか、他社と競うことができなくなります。

ですからせっかく広報PRをするのであれば、ブランディングも同時に進めていきましょう。もちろん、広報担当者だけで行うブランディングには限界があるので、色々な部署などと相談しつつ行えると良いですね。


執筆者・監修者
上岡正明
テレビコメンテーター・経済記者
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
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③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事