
「社長秘書」がいる会社では、メディア露出などの際に秘書の許可を得てから社長にアプローチする事になるはずです。場合によっては、もっと細かな諸々の事柄についても逐一秘書の承諾が必要になるかもしれません。
では、広報担当者が秘書と上手く付き合っていくにはどうすれば良いのでしょうか。
広報担当者の方針と秘書の方針
広報担当者の想いと秘書の想いは、ハッキリ言って真逆であるケースが多いです。
・広報担当者=会社のトップだからこそ前面に出てほしい
・秘書=会社のトップだからこそ前面に出てほしくない
ですから、広報担当者と秘書の折り合いが悪くなるのは当然なのです。
むしろ、広報担当者の言う事をあっさり聞き入れるような秘書がいるとしたら、その会社は泥船かもしれません。
広報担当者の想いと秘書の想い
今度は「方針」ではなく「想い」の話です。
広報担当者=会社のためになることをしたい
秘書=会社のためになることをしたい
そうなのです。
実は「広報担当者」も「秘書」も「本質的な目的」は一緒です。と言いますか、健全な会社である場合は全社員気持ちは一つのはずです。
言い方は悪いですが「社長のおもり」は秘書の仕事の本質ではありません。
「社長のサポートをしつつ、会社を良くしていくこと」が本当の仕事です。ですから、広報担当者と秘書は絶対に分かり合えます。
広報担当者が秘書と良好な関係を築くための3つの方法
○1:社長の自由をできる限り守る
まずは物理的な話。
「この日のこの時間に取材があるので、スケジュールを調整してほしい」となると、社長の自由度は下がります。特に多忙な社長の場合は、その時間を作るだけで四苦八苦する事でしょう。
ですが、そこで「取材日程の候補」をできるだけ多く提示できれば、さすがにどこかで都合がつく事でしょう。
「この時間を空けろ!」と指定してしまうのは、あまりにも社長という存在を尊重していないとも言えます。ですが、「この中のどこかを空けてもらえませんか……?」というニュアンスであれば、秘書にも社長にも煙たがられません。
○2:「秘書のメリット」を提示する
「社長のために何かすること」が秘書の仕事です。
広報担当者がそれをサポートできれば、「秘書にメリットを与えた」と言えます。
そのためにも、
「このメディア露出を果たすと、社長の~~~~という考えが世に示されることになります。社長にとっても会社にとっても良い事だと感じますが、ご検討いただけませんでしょうか」などと言いましょう。
コツは「秘書さんのメリットにもなりますよ」と直接は言わないことです。
これをハッキリ伝えてしまうと、「メリットで釣ろうとしている」「恩着せがましい」などと思われる恐れがあります。
○3:秘書の仕事の手間を省く
メディア露出などの要望を秘書に伝え、秘書がそれを受け入れたとします。
すると、秘書には「内容を社長に分かりやすく説明する仕事」が発生します。
ですから、
・他の社員ではなく社長がインタビュー(など)に応じるべき理由
・このメディア露出の狙い
・どんなインタビューなのか
などを、簡単な資料やメモにまとめて秘書に提出しましょう。
理想は「秘書がそれを読み上げるだけでいいレベルの資料」です。
また、秘書が広報業界に全く精通していない可能性があるので、必要に応じて補足説明をきちんと入れましょう。それから、専門用語の使用を避けることも大事です。メモ内に広報担当者自身の連絡先を載せることもお忘れなく。
「ぜひ、社長さんにメディアに出ていただきたい。面倒な仕事は全部広報である私がやりますので」というスタンスで、諸々の作業を進めていきましょう。