メディアや記者懇談会で広報担当者が絶対にしてはいけない事3選
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2022.07.21

メディアや記者懇談会で広報担当者が絶対にしてはいけない事3選

広報やPR会社の手法のひとつにメディア懇談会や記者交流会があります。
数名の記者さんやライターさんを、自社のオフィスや会議室にお招きして情報交換会をひらきます。

その他にも、広報担当になると外部でもメディア関係者との懇談会や交流会などに出席する機会が増えるかもしれません。

この懇談会や交流会に参加する目的は、もちろん「自社を少しでも覚えてもらうこと」「つながりを作ること」などですよね。
しかし、そればかりを考えていると大失敗をしてしまう可能性があります。

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*記事を書いた人:「めざましテレビ」「王様のブランチ」元放送作家

 

記者懇談会やメディア交流会で「メディア関係者が考えていること」を知らないと痛い目を見ます

引用画像_メディア懇談会の風景

自社を覚えてもらいたい、繋がりを作りたい……となると、やはり自社の商品・サービス、あるいは自社そのものの事についてガンガン話したくなるかもしれません。

しかし、率直に言ってそれは意味がありません。
なぜなら、メディア関係者は「自社のアピールを積極的に行ってくるような広報」の存在に飽き飽きしているからです。

よほど斬新なサービス・商品などに関しては、もしかしたら話してみる価値はあるかもしれません。
ですが、実際にはあなたが「ユニークだ!」と思っているものでも、メディア関係者からすれば全く平凡なものである可能性が高いです。
ですから、やはり自社ばかりのアピールをするのは避けるのが無難です。

そもそも、多くのメディア関係者は「普通の自社紹介は聞き飽きた、ということくらい分かってくれ……」という気持ちになっているもの。
その上で自社紹介に終始してしまうようだと、「この程度の広報担当なのか……」「人の気も知らないで」と思われ、今後関わってもらえなくなるかもしれません。

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メディア懇談会での交流会で広報担当者が話すべきテーマ3つ

広報担当者は自分の会社の解説をするのではなく、「業界内外について知ってもらう」「広く見識を持ち帰ってもらう」というくらいの気持ちでいましょう。

実はメディア関係者の多くは「雑談の中から取材の手掛かりを見つける天才」です。普通に話をしている中で、それ、面白いですね、と取材アタックをしかけてきます。それも、思わぬ確度や視点から。

しかし雑談とは言っても、本当に他愛のない話をするわけにもいきません。
では、広報担当者は何について話すべきなのでしょうか。

1:業界のトレンド

まずは「業界では○○が流行しているんですよね」という話題です。
「トレンドを広く伝える」というのがメディアの役目の一つですから、これは喜ばれます。

全てにおいて言えることですが、この「雑談」の段階では無理に自社サービス・商品と絡めた話にする必要はありません。
とにかく「この広報担当は業界のトレンドに敏感」「良いネタが拾えそう」と思ってもらうのが最大の目的です。

極端な例ですが「○○社がすごい商品を開発して、今後はどの社もそれを追いかける形になりそうです」など、他社の話をしても構いません。

2:ユーザーの意外な反応

  • 最近流行している○○ですが、なぜか特定の年代にはウケが悪いです
  • 男性向けに開発したつもりなのですが、女性のシェアが3割もあります
  • メインのサービスの付属的なサービスのつもりだったのですが、評判が良いので独立させるかもしれません

など「ユーザーからの意外な反応」をこっそり教える、というのも喜ばれるものです。
もちろん、「高級化粧品を開発したら、狙い通り中年女性の間で人気になりました」など、平凡な情報は不要です。

3:そのメディアに踏み込む

  • 放送されている番組のあのコーナーはいつも参考にしています
  • ○○さんの記事を拝見して、弊社でも取り入れてみることにしました
  • 弊社で取り組み始めたことがちょうど記事になっていて驚きました

など、そのメディアや記者が得意とする取り組みに踏み込んだ雑談をすると、喜ばれるかもしれません。
ただ、優先順位としては「1」と「2」のほうが高いです。「1」と「2」は「ネタの提供」という側面が強いですが、この「3」については言ってみれば単なるお世辞として捉えられる可能性もありますからね。

ですから、「1」や「2」のための情報収集などをするなかで、本当に印象に残ることが出てきたら言及する、程度でかまいません。

この「3」のために改めてそのメディアの情報をリサーチする必要は基本的にありません。
そもそも、自社とも関係してくる「1」や「2」と比べると、「3」について調べる労力に対する費用対コストはかなり低いと思います。

 

記者懇談会で忘れてはならないのは礼儀と情熱です

世の中には色々な人がいますので、メディア関係者の中にも無礼な人がいるかもしれません。
ですが、あなただけは礼儀を忘れずに、基本的なあいさつ、敬語、御礼のメールやお手紙などを徹底しましょう。広報担当の中にも無礼な人はいます。どの業界でも、それはお互い様なのです。

●情熱こそがすべて

そして、広報担当にとって、最後にかならず必要になるのは「情熱」です。
テレビ番組や記事などは心を持つ人間が観る(読む)ものですから、「熱意のある人間から発せられる情報」でないと、メディア関係者に受け取ってもらえないかもしれません。

慣れないうちは、メディア関係者と話しているうちにしどろもどろになってしまうかもしれません。が、情熱さえ忘れなければきちんと伝わりますし、なんとかなります。

●メールで業界情報を発信していきましょう

メディア関係者との交流会では名刺交換をすることになると思います。
この時代ですから、その名刺にはもちろん業務用のメールアドレスが載っているはずです。
広報担当は、このメールアドレスに向けて「業界の最新情報」などを発信していきましょう。

目指す雰囲気は「業界関係者向けのメールマガジン」です。
ただし、実際には別業界の人に対して送信するわけですから、極力、専門用語を使わずに分かりやすく解説することを心がけてください。

また、「読みたくて読んでいるメールマガジン」ではなく、「広報担当者が勝手に送りつけているメール」でしからありませんから、礼儀には重々注意してください。
解除の依頼があったら、謝罪のうえ、すみやかに停止しましょう。もちろん返信がくることなどほぼありませんが、気にしてはいけません。

余裕があれば交流会の最後のタイミングなどで「また、連絡させていただきますね」と軽く伝えておきましょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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