ストーリーPR|企業を動かす物語は社員全員をも動かす
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2023.02.27

ストーリーPR|企業を動かす物語は社員全員をも動かす

こんにちは。もうすぐ4月になりますね。
各企業では、新入社員を迎える準備をしている頃でしょうか。

新入社員たちにとっても、自分達の勤め先が何に向かって進んでいて、
その中で、自分はどんな役割が求められるのか?

この点について深く考えることは、
一人一人の生き方や価値観にも大きく影響するのではないでしょうか。

さて今回は、”企業を動かす物語の作り方”について
考えてみたいと思います。

ここで言う”物語”とは、
単に企業の事業内容を”解説”することではありません。
より本質的に、過去・現在・未来を整理し、語ることを指します。

今何故、この物語づくりが必要とされているのでしょうか?

 

個人が”記者化”している時代 物語の主役は全社員であるべき

これまでの時代は、広報担当者が社内外の窓口として、
正面ゲートから取材に来たプロの記者に対応する、
というスタイルが主流でした。

しかし現在では、
個人でもSNS投稿等で情報発信が簡単に出来る時代で、
いつ何時、企業の全活動が世界へ配信されてもおかしくありません。

昨今問題視されているバイトテロ等の不祥事は、
これまでに築き上げて来た企業ブランドイメージを一瞬で破壊してしまうでしょう。

今や全社員が、広報とは無関係ではいられないのです。

最近のバイトテロ等のニュースを問題視し、
「炎上」を未然に防ごうとしている企業も少なくありません。

また、最近ではいわゆる「防衛」の準備だけでなく、
より積極的に時代に向き合い、
全社員に企業ブランドの現在地・目的地を理解させ、

全社員が能動的に”ブランドの体現者”として行動できる組織づくりをする、
という「攻め」の準備をする企業も増えています。

一貫性のある物語作りをしている企業は、結果として顧客に信頼感を与えます。

 

時間軸を持った物語を作るには?

これを実現するためには、下記3つを、明確に言語化し、整理する必要があります。

1:過去(ミッション=何のために生まれたのか?)
事業を通じ提供してきた「本質価値」を発掘します。
理由としては、企業の可能性を大きく捉えられるようになるためです。

例)
自動車メーカー:「自動車を作ってきた」<「移動の自由をつくってきた」
化粧品ブランド:「化粧品を作ってきた」<「女性の自信をつくってきた」
(*「化粧品を作る会社」という捉え方をすると、
化粧品以外のものをつくる発想が制約されてしまいます)

2:未来(ビジョン=何を目指すべきなのか?)
目指すべき理想的なブランドと顧客の姿を指します。
例)「お年寄りが元気に暮らせる時代へ」<「すべての100歳が100m走れるようにする」
(風景がイメージできるような「見える言葉」で表現した方が、企業のビジョンとして機能します)

3:現在(コンセプト=今やるべきことは何か?)
ビジョンの実現に向けた具体的構想のことです。
(過去・未来をつなぐ具体的な行動として語ることが出来れば、
経営層、現場、社内外に説得力を持たせることが出来ます。)

 

社員をどのように巻き込むか?

ここでは具体的な成功事例として、ヤフーの取り組みをピックアップしてみます。
主ないきさつは下記の通りです。

・2016年:創業20周年、全社員6,000名で新たなビジョンを創出
(目的:次の20年へ向けて更なる飛躍のため、求心力、推進力をつくる)

3つのステップで考えてみよう

1:全社員の意見を募集

・全社員が集結する社員大会で、社長から新ビジョンの策定計画発表

・全社より、推進役のプロジェクトメンバー募集

・全社員を、経営陣/本部長・部長/全部門の社員とレイヤーごとに分類、ディスカッション
(並行して、全社員へのアンケートも実施)
*テーマ
「人生でもっとも悲しいことは何?」
「人生でもっとも幸せを感じることは何?」
「20年後、100年後も一番必要とされるIT企業であるためにどう進化すべきか?」

2:ビジョンに最適な言葉をチョイス

・ディスカッション&アンケートで多かった意見=「ヤフーは情報のインフラ」
(*現状を言い当てているのみ、ビジョンではない)

・「ヤフーはデバイス画面を飛び出す」「社会自体をアップデートする会社になる」
といった意見も続出、
本来、ITで社会課題を解決する「課題解決エンジン」というミッションがあり、
「これからはwebに限らず、社会システム全体の課題を自発的に発見し、改善し続ける会社になる」
という方向性を示す

・「”社会のアップデート”は、ITに強みを持ち、日本国内のビッグデータを保有する
ヤフーにしかできないこと」という方向性にまとまり、
新ビジョン「UPDATE JAPAN」が完成。

3:社員全員に浸透

・20周年の社員大会
社長メッセージ

各部門・キャリアの社員を主役にした8分動画(過去、未来、現在のストーリーを集約)
(「UPDATE 〇〇」=「自分は日本の何をアップデートしたいのか?」)

 

 

PRのポイント
●まとめ 全社員が主体的に輝ける、舞台作りが不可欠!

執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事