記者会見を自社に開催する、そう聞いてすぐにピンとこない方も多いでしょう。
企業・団体が重要な発表をする場合や、単純なプレスリリース等よりも大きなプロモーション効果を得たい場合には記者会見・プレスイベントをおこなう必要性が出てきます。
また、昨今の企業コンプライアンス遵守問題に絡み、企業危機管理上の理由で記者会見(時には謝罪会見)を行わなければならないケースも増えています。
このように、企業は攻めの報道発表(マーケティングPR)と守りの報道発表(リスクマネジメントPR)の2種類の方向性で、対マスメディアの「記者会見」戦略を立てておかねばなりません。
その際、最も必要になってくるのが会見・集客・プレスイベントの記者会見を含めた企画運営能力です。
記者発表会とは?
記者会見とは、そもそもどういった意味でしょうか?
ここでは、「新サービスや商品の発表をたくさんのメディアのために行う会」のことを記者発表会と言います。
それぞれのメディアに対してネタを送ることが必要な場合もあるかもしれませんが、記者発表会の効率は非常に良いと言えます。
また、「画を確保できる」わけですから、テレビ番組が取材に来てくれる可能性もあります。
ただし、周囲を巻き込んで大規模な用意をする必要があるだけ、失敗してしまえば信用がガタ落ちすることになります。心して掛かりましょう。
●記者発表会は何人から行える?
「これだけのメディア関係者が出席するなら、記者発表会を実施できる」と考えるのはなかなか難しいです。そうではなく、「連絡を取れるメディア関係者が○人以上いるなら実施できる」と捉えるべきです。
なぜなら、前日になって「やっぱり行けない」と言ってくるメディアもあれば「やっぱり行きます」と言ってくる記者やフリーのライターもあるからです。
ですから、必要なのは「交流のあるメディア関係者」をできる限り増やすことです。
具体的な人数についてですが、メディア関係者リストが50人を超えたのであれば、記者発表会を実施可能なレベルになったと言えます。
ネットニュースやテレビ番組で取り上げられるような記者発表会の場合は、出席者が500人をオーバーする事もありますが、もっと少ない規模でも行えます。
●記者発表会の参加者を増やすための秘訣2選
メディアへのアプローチを地道に行って、メディア関係者リストが50人を超え、記者発表会を開催する事になったとします。そのさい、できるだけ多くの人に出席してもらうためにはどうすれば良いのでしょうか。
○1:「一社一社、一人一人を招待する気持ち」が大事
まず、「取材案内を送る」のは最低ラインです。これだけで満足してはいけません。
全てのメディア企業・個人に対して、別個にTELで挨拶しておきましょう。
取材案内はどこに対しても共通のものを送って構いませんが、電話挨拶の内容については相手によって変えることをおすすめします。
「貴社が最近力を入れている記事テーマにも合うと思われます」
「毎回出席していただいてありがとうございます。今回もぜひ出席していただきたいのですが~」
「この間は記事にしていただきありがとうございました。今回、記者発表会を行うことになったのですが~」
などなど、「メリットが大きいですよ、とどうアピールできるか」「どうすれば親近感を持ってもらえるか」などを意識して、挨拶しましょう。ちなみに、メディア関係者は得てして忙しいので、あまり長々と話さないようにしましょう。
○2:断られてからが勝負!
特にベンチャー・中小企業の場合は、記者発表会に誘っても断られることが多くなります。
ですがそれは、「中小企業の記者発表会は、優先順位が低いから」である場合が少なくありません。「こんな記者発表会に出席する意味なんてない!」と思われるケースはあまりありません。
ですから、記者発表会の直前に再度誘えば「ちょうど空いているので、出席します」と言ってくれるかもしれません。
少なくとも3回は勧誘してみましょう。相手にもよりますが、5回くらいまではアプローチしても構いません。
「記者発表会に先駆けて取材させてほしい」と言われたらどうする?
何度か記者発表会を行っていると、新聞社などから「記者発表会に先駆けて取材を行いたい」と言われる可能性が出てきます。
「取材してもらえるなんて!」と飛びつきたくなるかもしれませんが、この場合、どう対応するのが適切なのでしょうか?
○ケース1:記者発表会に向けて動き出している
本当に取材に応じたら、ネタが報道されて記者発表会が中止になるものと考えてください。
ですから、まず「他のメディアへのアプローチが既に始まっている」のであれば取材はお断りしましょう。
ただ、それ以外の動き、
・自社の上層部のスケジュール調整
・会場の確保
・日程調整
程度しかしていないのであれば、取材に応じることを検討しましょう。
「取材を受けること」と「記者発表会が中止になること」を天秤にかけてみてください。
○ケース2:記者発表会に向けて動いてはいない
「ゆくゆく大きなテーマになりそうなネタがあったら、今のうちに取材させてくれませんか」という要望を受けることも稀にあります。
この場合は、個別取材に対して前向きに考えましょう。
もちろん、アプローチしてきたメディアの規模や種類にもよりますが。
○ケース3:でも取材依頼を無駄にしたくない……適切な対処方法はコレ!
結論からいいますと、せっかく取材依頼が来たのですから完全にお断りするのは勿体ないですよね。
取材がきっかけで、末永く関係が続いていく可能性もあります。
ですから、「相手限定の特典をつける」ことをおすすめします。
例えば、新聞社Aから取材依頼をしてきたのであれば、
「申し訳ございませんが、記者発表会を中止にするのは不可能です。ですが、社長のコメントを新聞社A様だけにお渡しします」などと答えるのです。
とにかく、「一定以上の価値がある情報や内部だけのリークを、あなただけに教えます」というスタンスを取ります。
そうすれば大抵のメディアは承諾します。そもそも、相手も広報側の苦しい事情が分かっているはずですしね。
広報担当がすべき記者発表会に向けてすべきこと
○当日の進行計画を決める
記者発表会当日のプログラムを決めるのも広報担当の仕事です(もちろん上層部などと相談するのも大事ですが)。
とりあえず、
社長あいさつ→担当者による新商品・サービスの紹介→メディア陣からの質問タイム→フォトセッション(撮影)→懇親会(メディア陣と経営者などが参加)
という風に進めていくのが普通です。
状況によっては囲み取材なども行います。ちなみに昼時のメディア懇親会には軽食を出すものですので、それも手配しましょう。
メディア関係者も上記の進行形態に慣れていますので、「何か特別なことをしないと印象に残らないのでは……」と考えて奇をてらう必要はありません。
○場所の確保
出席人数を考慮して、自社の会議室などで事足りそうなのであればそれでOKです。普段ロクに使っていない部屋などを利用するのであれば、掃除などの手配も必要です。
ですが、自社に大きなスペースがないのであれば、別に場所を借りなければなりません。「出席人数の割に広すぎる」という事になると絵面が寂しくなりますし、そもそも場所レンタル代がもったいないので気を付けましょう。
まとめ
記者会見では、あとはもう「どれだけ気遣いができるか」にかかっています。全てがマニュアルで決まるわけではありません。
「どうすれば気持ちよく記者発表会に出席してもらえるか」。それを考えながら行動しましょう。
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