ターゲットが限られた製品の掲載施策
コラム
経営戦略×PR
2019.02.20

ターゲットが限られた製品の掲載施策

お久しぶりです。久方ぶりのコラムはターゲットが限られている1社の1商品の掲載施策についてコラムを書かせていただきたいと思います。

9月12日(金)日経MJ新聞 4面より

三菱鉛筆が小学生向けに芯の太いシャープペンシルを拡充するという記事がありました。
シャープペンシル市場では1位のシェアを誇る『クルトガ』というシャープペンシルに、0.7㍉の太さの真に対応する商品を加え、赤、青のカラー芯も発売するとのこと。

このシャープペンシルは2008年の発売開始から累計5000万本を売り上げている大ヒット商品ですが、その中心顧客の高校生の所持率が7割以上とみられ、大ヒット商品ではあるものの、伸びしろが減っているとのこと。
これを解消するため、新たな市場として、小学生市場の開拓に乗り出し、赤、青鉛筆を使うことの多い小学生をターゲットにカラー芯の『ナノダイヤ・カラー』芯も同時に発売するとのこと。

この記事を見るとブランディング戦略が簡単ではない商品を、上手く情報を加工させた見せ方の跡がうかがえます。

① 大ヒット商品とはいえ既に定着しきっている商品であること
② 業界全体の動向・競合他社をあまり多く伝えていないこと
③ ターゲット層が確実に読まない記事を書いていること。

大変有難いことに、弊社も名のある企業様とも取引をさせていただくケースはあるものの、名のある企業様の定着している商品というものは、新商品と比べると意外なほどニュース性を持たせにくいというジレンマを感じることがあります。

このシャープペンシルでトピックとなる部分は、商品そのものというより、ターゲットを小学生に切り替えた部分にあると感じます。小学生に的を絞ることにより、筆圧を強くかける小学生でも折れにくい芯。赤、青鉛筆の使用頻度が多い小学生向けに新たに赤、青の芯を発売したというトピック及び派生する新製品を紹介が可能となります。

弊社では、自社と競合商品を比較して業界の動向をまとめて記載する大手新聞によく見られるタイプの記事をまとめ記事といいます。このタイプの記事は比較的大きな記事として掲載される反面、競合の商品と同時に比較した形で掲載されるという企業側から見れば意外なマイナス面も出てくるケースがあります。

この記事に関しては、経産省の統計等信頼の置ける資料を用いて『クルトガ』が業界シェア1位を誇るヒット製品であること、13年の国内シャープペンシルの出荷高、及び出荷本数などを掲載して記事の信用を高めている反面、比較商品、競合他社を一切載せないことに成功しています。

この商品のターゲット層は小学生です。小学生で日経MJ新聞を読む子はそういない上、親世代のサラリーマン向けの記事ともと思われないところから見て、この記事の狙いは“新たに小学生をターゲットとする商品を発売します”という取り組みを喧伝すること。また、日経MJ新聞の記事を情報収集のツールの一つとして用いているテレビへの露出をも見据えている雰囲気も感じます。

この商品の情報が日経MJ新聞からテレビに波及するというルートは、PR・広報担当の最も理想的な情報の波及をといえます。

このテレビへ紐付く情報の波及がPR・広報担当にとっての最大の成果といえます。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事