ターゲットに「自分ごと化」させるための広報・PR活動の注意点とポイント4選
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2025.03.25

ターゲットに「自分ごと化」させるための広報・PR活動の注意点とポイント4選

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、一般消費者を「自分ごと化」させるための広報・PR活動のポイントなどについてお伝えしていきます。

「そもそも自分ごと化とは?」という方から、「意識して取り組んでいるもののなかなかうまくいかない」という広報・PR担当者にまでおすすめの内容となっています。

本記事では「自分ごと化」の概要、自分ごと化させる広報・PR活動のポイント、そして注意点などに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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広報・PRにおける「自分ごと化」とは?

広報・PRの分野における「自分ごと化」とは、「発信した情報を、一般消費者に『自分のことかもしれない』『自分に関係しているかもしれない』と思わせること」を指します。

逆に「自分ごと化していない状態」の一般消費者は主に以下のようなことを考えます。

  • 何か情報発信しているようだけれど自分には関係がない
  • 自分には関係がないのだからわざわざ情報を見せてこないでほしい
  • ふーん

一番下のように「ふーん」と思ってもらえるのであればまだ良い方で、大半のケースでは何も思うことなく情報がスルーされる、もしくは情報発信に気付かれません。それではもちろん広報・PRの効果が出ないため、「自分ごと化」をさせられる施策を実行する必要があります。

自分ごと化させるための広報・PR活動4つのポイント

それでは自分ごと化させるための広報・PR活動のポイントをいくつか紹介していきます。ここまでやや抽象的な話が続いてきたので難しく思えるかもしれません。ですが今から解説するポイントは基本的にロジカルなのでご安心ください。

ポイント①:関係者の顔、商品・サービスの画像など「顔」を見せる

例えばなんらかのコメントがあったとして、それを言っている人の顔写真があると、「もしかしたら自分に関係のあることを言ってくれるかもしれない」「自分と無関係の人ではないかもしれない」などと無意識に思ってもらいやすくなります。少し意味は違うかもしれませんが、言い換えると「親近感」を与えやすくなるということです。

また、商品・サービスの「顔」に該当するのは「商品画像」や「サービスに関係する画像」なので、例えばSNSなどで宣伝する場合はテキストだけにせず、画像も添えて投稿しましょう。

ポイント②:トレンドや社会課題などと絡めて広報・PRをする

例えばとある新商品の広報・PRをするとして、単に商品名だけを発信のではなく、トレンドキーワードや社会課題と交えて発信する方が、自分ごと化してもらいやすくなります。「これは私にも関係があるかもしれない」などと思うからですね。

例えば、わかりやすく「□□(アニメ作品名)の聖地である○○(地名)の素材を使ったグルメ」などであれば、そのアニメを好きな人からの注目度が上がります。

また、もっと広く「サマーシーズンにおすすめの新商品○○」とすれば、ただ「新商品の○○が~」などと宣伝するよりも、「そろそろ夏だからなあ、チェックしようかな」などと考えてくれる人が増えます。

あとはもう少し重く、「○○プロジェクト(なんらかの社会課題の解決に向かうプロジェクト)の応援につながる新サービス□□」などとすれば、その社会課題に興味がある人の目を引くことができます。さらにいうと元々はその社会課題に関心がなかった人でも、「今、こんな課題があるのか……」と見てくれるかもしれません。

ポイント③:動画の活用

「文章ではなく動画なら見てもいい」と考える人は少なくありませんし、「動画の情報量」はかなり多いため、広報・PR活動では動画コンテンツも出していくことをおすすめします。

また、文章の場合は基本的に「自分から読む」ことになります。しかし動画については原則として「再生したら自動的に情報が飛び込んでくる」ので、言ってみれば強制的に自分ごと化させることができる可能性が高いです。

ポイント④:ストーリーを伝える

例えば新商品リリースの予定があるとして、基本情報を単純に発信するだけでは「自分ごと化」させられない可能性が高いです。そのためここまでお伝えしたような工夫をしつつ、さらに「ストーリー」を伝えることをおすすめします。具体的には例えば以下の通り。

  • 商品を作ろうと思った理由、アイデアが出たきっかけ
  • 開発過程で発生した困難
  • その困難をどのように乗り越えたか
  • 特にどのような人に使ってほしいか
  • これからの展望(品質を守るために努力する、改良を続けていくなど)

特に大切なのは「困難があったこと」と「困難を乗り越えたこと」です。人は「苦労を乗り越えたエピソード」が好きなので、開発担当者などから広報・PR担当者がヒアリングしましょう。

そしてあくまで「乗り越えること」が大事なので、「このような困難がありました」だけで終わらせないように心がけてください。

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「自分ごと化」させる広報・PRについての2つの注意点

続いては人々を「自分ごと化」させるための広報・PR活動に関する注意点を2つ紹介します。気を付けていないと広報・PR自体の効果が下がる可能性もあるので、ぜひチェックしてください。

注意点①:ターゲット層以外を「自分ごと化」させる必要はない

最初に広報・PRのターゲットを決めることが大事です。例えば新商品発売があるなら、「商品のターゲットが○○なので、同じく○○に向けて情報発信をする」もしくは、「商品のターゲットは20~30代女性だが、その中でも特に20代女性に向けて情報発信する」など。

この際、「自分ごと化」をさせるのはあくまでターゲット層だけで構わないということです。

例えば20~30代女性がターゲットであるとしましょう。他の世代や男性まで「自分ごと化」させることを狙うと、発信の内容がボンヤリしたものになり、結果的に誰にも刺さらない広報・PRになる恐れがあるので注意が必要です。

注意点②:あくまで基本情報を伝えた上でストーリーを入れる

「自分ごと化」を狙うからといって、ストーリーだけでゴリ押ししようとしても失敗する可能性が高いです。人はそこまで「ハート」の部分だけでは動かないからです。

あくまで基本情報、例えば新商品なら名称、価格、特徴など必要な情報を伝えた上で、そこに「情熱を載せる」つもりでストーリーを軽く入れるようにしましょう。

そうでないと「いいから早く情報を見せてほしい」、「大した魅力がないからストーリーでごまかそうとしている」などと思われてしまう恐れがあります。

✅メディア関係者向けのプレリリースでは特にストーリーは添え物レベルにするのが大事

メディア関係者向けのプレリリースでは特にストーリーを添え物レベルに留めることが大事です。メディア関係者は一般消費者よりもさらにシビアに、「記事や番組に仕上げたとして、良い反応を得られるか」を重視するためです。

そのためもし長めのストーリーを用意できているとしても、まずは通常のプレリリースを送って反応が良かった場合に、「実はこのようなストーリーがあります」などと伝えることをおすすめします。

【まとめ】「自分ごと化」させる広報を戦略的にめざそう

広報・PRの立場では、どうしても「情報にある程度興味を持ってくれるはず」「一切見向きもしないことはないはず」などと考えてしまいがちです。しかし実際には「ふーん」か、もしくは全く視界にも入れてもらえないということを覚えておきましょう。

だからこそ「自分ごと化させる広報・PR施策」が大事ですので、本記事の内容などを参考にしつつ、「この情報を見た人は自分ごとだと感じるか」を常に意識しつつ発信をすることをおすすめします。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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