広報担当や広報部署が中心となりインナーコミュニケーションに力を入れる4つのメリット
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2025.02.18

広報担当や広報部署が中心となりインナーコミュニケーションに力を入れる4つのメリット

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、企業がインナーコミュニケーションに力を入れることのメリットなどについてお伝えしていきます。

「社員間のつながりが薄い」「他部署社員が広報・PR活動に非協力的」などの場合、インナーコミュニケーションに目を向けると道が開けるかもしれません。

本記事ではインナーコミュニケーションの概要や目的、重要である理由、さらにインナーコミュニケーションに力を入れるメリットなどに関して解説します。

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広報視点のインナーコミュニケーションとは?その目的は?

インナーコミュニケーションとは「社内や社外の情報を社員(役員なども含む)に知らせることで、社内コミュニケーションを活性化させる取り組み」のことです。

インナーコミュニケーションの目的は?

インナーコミュニケーションの根本的な目的は、「社内のコミュニケーションを活性化させて、社員のモチベーションや会社への愛着を強めること」です。細かく・具体的に言うと主に以下の通りです。

  • 全社員に企業自体の方針や取り組みを理解させる
  • 他部署同士とのコミュニケーションも活性化させて「他部署の仕事内容がわからない」をなくす
  • 既存の社員に高いモチベーションで長期的に在籍してもらう(離職率を下げる)
  • 就職活動者に選んでもらえる企業になる

✅広報・PR担当者の自己満足にならないように注意する

ただ、特にベンチャー・中小企業などで社員数が少ない場合、すでにほぼ全員が全員のことを理解し合っているケースもあります。

そういったケースにおいて広報・PR担当者が「とにかく何かしたい(自己満足したい」という気持ちでインナーコミュニケーションに取り組むと、社員の負担になるだけで逆効果になる可能性さえあります。

きちんと「社員にとってメリットがある」と予測・判断できてから具体的な取り組みに移すようにしましょう。場合によっては「インナーコミュニケーションについては現状のままでOK」という判断になることもあるはずです。

現代においてPR戦略×インナーコミュニケーションが重要である3つの理由

続いては現代においてインナーコミュニケーションが重要である主な理由を紹介していきます。上で「企業によってはほぼ不要」と言いましたが、そう判断する前に広報・PR担当者の皆さんはぜひご確認ください。

理由①:社員同士のコミュニケーションに積極的でない人が多い

特に現代においては社員同士のコミュニケーションに積極的でない人も多いです。無理矢理コミュニケーションを避ける人は少ないかもしれませんが、「必要性がないと同じ部署の社員とも話さない」「別部署社員と話す機会はほぼ皆無」という方は珍しくないはずです。

それでも目先の業務は問題なくこなせるのでしょうが、先ほどお伝えした通り「他部署の業務内容がわからず必要な場面で支障が出る」「企業としての方針がわからず困る」「それらの影響でモチベーションが下がり、最悪の場合離職につながる」などの事態に陥る恐れがあります。

理由②:離職率の低下につながる可能性も

すでに少し触れていますが、インナーコミュニケーションによって離職率が下がる可能性もあります。特に現代は一昔前と違って「1社に残り続けるのが当然」という時代でもなくなってきており、職場自体への愛着が薄ければそのまま離職してしまう恐れもあります。

✅インナーコミュニケーションによる離職率低下には限界がある

ただしインナーコミュニケーションだけの力で離職率を下げることには限界があることも理解しておきましょう。率直に言って、十分な賃金、働きやすい労働環境、キャリアアップを目指せる環境などがなければ、いくらインナーコミュニケーションを頑張っても離職率はそれほど下がらないことでしょう。

それにもかかわらず広報・PR担当者が「頑張っているのになぜ離職率が下がらないのだろう」と考えていると空回りする恐れがあります。具体的にいうと、他社員に「根本的な問題(賃金、労働環境など)を無視して、そんなことで頑張っている感を出されても……」と思われるなど。

広報・PRの一環としてインナーコミュニケーションに力を入れることは大事ですが、「押し付けがましくしない」「あくまでサポートレベルと考える」などのことを忘れないようにしましょう。

理由③:企業によってはリファラル採用に好影響を与える場合も

人手不足からリファラル採用(人事部社員に限らず、社員が知人などを紹介する採用方式)を行う企業も増えています。

ただ、自社への愛着が薄い社員はリファラル採用に積極性を見せない傾向にあります。なぜなら「こんな会社に引っ張ってくるのは申し訳ない」「リファラル採用したにもかかわらず、自分がやめるのは後ろめたい(自分が在籍し続ける確信がない)」などの心境になるためです。

そのため人材採用に力を入れたい企業も、インナーコミュニケーションを見直してみてはいかがでしょうか。たとえ通常の面接採用しかしない企業でも、「愛する我が社に良い人材を入れたい」という意識を持っていることは大事です。

企業がインナーコミュニケーションに力を入れるメリット4つ

それでは広報・PR活動として自社のインナーコミュニケーションに力を入れることにどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

メリット①:全体レベルの業務効率のアップ

インナーコミュニケーションによって企業全体レベルで業務効率が上がるかもしれません。その主な理由は以下の通りです。

  • 部署間のコミュニケーションによって「部署間での業務の重複」がなくなる
  • ある部署の課題を、別の部署のノウハウによって解決できる場合も
  • 社内勉強会などによって全体のノウハウが共有される

「全体レベルの業務効率が上がっても、一人ひとりの社員は恩恵を感じにくい」と思えるかもしれません。しかしインナーコミュニケーションなどの力で、社員一人ひとりが自社に愛着を持てるようになれば、「巡り巡って自分にもメリットがある」という発想に至りやすくなります。

メリット②:新しいアイデアが生まれやすくなる

①にも通じますが全体のノウハウが共有されることで、部署同士が「ほぼ独立」しているような環境では出にくかったアイデアも、生まれやすくなるかもしれません。

場合によっては「新しいアイデアを考える、実現しようと動くには労力がかかる」「よってむしろアイデアなど出したくない……」という企業も存在するでしょうが、インナーコミュニケーションによって社員一人ひとりの意識が高まっていればこのような状況にはならないはずです。

メリット③:上層部の考えや企業理念とのズレが減る

インナーコミュニケーション、例えば「社員総会の開催」「経営会議の内容のテキストや動画での公開」などによって、一般社員と上層部の考え、そして企業理念とのズレが減ることでしょう。具体的には例えば以下の通り。

  • ベテラン社員は現状に合わせてアップデートする
  • 入社歴の浅い社員は「企業の雰囲気・理念」などにすぐ合わせやすくなる
  • 全社員が「外部の訪問者」などに最新の情報を伝えられるようになる

これらのことがあると、極端にいえば「低いモチベーションで単に最低限の業務をこなすだけ」だった社員でも「企業の一員」という意識が生まれて、パフォーマンスも上がるかもしれません。

✅取り組みを継続する

インナーコミュニケーションに限らず、こういった取り組みは継続しなければ目に見える効果は出ないものです。

単に例えば「定期的な社員総会などで学習するべき」という意味合いもありますが、継続しなければ社員は結局のところ「1~2回申し訳程度にやっただけ」「すぐにやめるくらいなら大事なことではない」と認識してしまうことでしょう。

メリット④:広報・PR活動がしやすくなる

裏の狙いとして広報・PR活動がしやすくなるというメリットもあります。多くの広報・PR活動は他社員から情報を提供してもらうことで成立します。

そしてインナーコミュニケーションによって社員一人ひとりの自社への愛着が強くなっていれば、「自社が好き」→「自社の良さを発信したい」→「発信をしてくれる広報・PR担当に協力したい」と考えてくれるようになります。

また、「インナーコミュニケーションによる、他部署社員の広報・PR部署への理解」によっても、広報・PR活動がしやすくなることでしょう。逆にインナーコミュニケーションができていないと「広報・PRなんて面倒なことに協力したくない」「そもそも得体の知れない部署」と思われてもおかしくありません。

✅会社の魅力を社内にも継続して発信する必要がある

広報・PR活動をしやすくする、つまり社員に自社を好きになってもらうためには、会社の魅力を継続して社内にも発信していく必要があります。なぜなら「情報を受け取る機会」がなければ、意外と自社のことも知らないものだからです。

具体的には社内報や会社案内資料の発行(ウェブ発行も可)、さらにはインナーコミュニケーション用のツールの用意などによって、社員がふとした機会に「自社の情報・魅力」に触れられるようにしておくことが重要といえます。

PRを潤滑に進めるためにインナーコミュニケーションに力を入れる理由まとめ

「社員同士仲良くしましょう」という単なる理想論ではなく、インナーコミュニケーションに力を入れることにはいくつもの具体的なメリットが期待できますので、広報・PR担当者は注目してみてはいかがでしょうか。

大変かもしれませんが広報・PR活動そのものがしやすくなる可能性が高いので、広報・PR担当者にとってもメリットは大きいです。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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