記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール
この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、「ペルソナ設定項目シート例」や、実際にペルソナ設定をするまでのステップなどを紹介します。
「ペルソナ設定の重要性はなんとなく理解しているものの、設定の仕方がわからない」という広報・PR担当者に特におすすめの内容となっています。
本記事ではペルソナ設定の概要、ペルソナ設定のメリット、ペルソナ設定までのステップ、設定の固め方のステップなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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広報・PRにおけるペルソナ設定とは?
広報・PRにおけるペルソナ設定とは「情報を発信したい特定の架空の人物」のことです。
企業公式サイトやSNSなどで直接、情報発信する場合は「ペルソナ設定をした人物に届ける」と考えます。
また、メディアを通じて間接的に情報発信するケースでも、最初から「最終的にこの架空の人物に届けるには」と考え、逆算して「どのメディアにアプローチするか」などを決めます。
広報・PR活動でペルソナ設定をする主なメリット3選
広報・PR活動でペルソナ設定をすることには主に以下のメリットがあります。
- 全員が「このペルソナ設定の人物に情報を届ける」と考えるのでチーム内でのブレがなくなる
- 「この人物が求める情報は?」「この人物に刺さる発信方法は?」などと具体的に考えるため発信による効果が出やすい
- 「相手が欲しい情報」を軸に考えるため、「自分が届けたい情報は?」と独りよがりにならなくなる
例えば「30代男性」など曖昧にターゲット設定をするだけでは、チーム内でブレますし、具体的に広報・PR活動方法を考えることも難しくなる可能性が高いです(ターゲット設定も大事ではありますが)。
広報・PR活動でペルソナ設定をするまでの5つのステップ
それでは広報・PRにおいてペルソナ設定をするまでの手順をステップ分けして解説していきます。「なんとなく」「勘」などでできることではないので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。
ステップ①:広報・PR活動の目的を定める
まずは広報・PR活動の目的を定めることが大事です。例えば「売上を伸ばしたい」「自社の知名度を上げたい」など(実際には数値目標なども含めてもっと具体的に決めるべきです)。
自社の関係部署(商品開発部、営業部など)や企業代表などとも話し合いつつ、全員が共通目標を持つ必要があります。
✅「マーケティングのペルソナ」と「広報・PRのペルソナ」が一致するとは限らない
「マーケティングのペルソナ(誰に対してマーケティングをするか)」と「広報・PRのペルソナ」が一致するとは限りません。なぜなら「マーケティング担当部署の目的」と「広報・PR部署の目的」が一致していない場合があるからです。例えば以下の通り。
- マーケティングサイドの目的:売上を伸ばしたい→「今どの商品を買うかで悩んでいる人」にアプローチする
- 広報・PRサイドの目的:売上を伸ばしたい→「まずは自社の名前をなんとなく知っているレベルの人」にアプローチして認知度を上げる
もちろん両者の目的の関連性が薄すぎると、一般消費者へのアプローチがズレたものになる可能性があるので注意が必要です。そのため上の例でも「もう少しお互い歩み寄れないか」とさらに相談するのが無難ですし、各サイドの目的が合致しているに越したことはありません。
ステップ②:「ターゲット」を決める
例えば「化粧品の売上を伸ばしたい」などの目的がある場合、まずは「30~40代女性」などとターゲットを決めます。
ターゲット決めについては、商品やサービスのコンセプトなどを踏まえれば、的外れになってしまうことはまずないはずです。ただ、自信がなければターゲット決めの段階で他部署と相談するなどしましょう。
ステップ③:「ターゲット」に関する情報収集|アンケート、ヒアリング、データ収集など
決めたターゲットに関する情報収集をします。収集方法は主に以下の通りです。
- アンケート:SNS、メール、Googleアンケートフォームなどを使う
- ヒアリング:できるだけ多くの人に聞く(踏み込んだ情報を得られるように質問内容も厳選する)
- データ収集:「人口動態調査結果」や「総務省統計局」のデータなど信頼性の高いデータを集める
自社のデータ参照:自社ですでにデータを持っている場合は役立ちます。ただし現在のデータとの相違がないかチェックが必要です
✅可能な限りデータの偏りを抑える
できる限りデータの偏りを抑えましょう。そのためにもまず母数を増やす(多くの人に聞く)ことが大事です。
さらに「どこで聞くか」も重要です。極端に言えば「X(Twitter)だけでアンケートを取る」と、「Xにいる人」からしか回答を得られないので偏りが大きくなる可能性があります。
ステップ④:データを大まかに仕分ける
収集したデータを大まかに仕分けると、その後が楽になります。例えば以下の分け方がおすすめです。
- 人口統計的なデータ:年齢、性別、家族構成、職業など「人口動態調査」でリサーチするようなデータ
- 心理学的なデータ:性格、趣味、興味、ストレス源、生活習慣など「個人の考え・気持ち・スタイル」を軸としたデータ
項目によっては分類が難しいかもしれませんがあくまで便宜上分類するだけなので、そこまで深く考える必要はありません。
ステップ⑤:人物像を詳しく設定していく
人物像を詳しく設定していきます。つまりペルソナ設定です。より詳細に人物像を構築できるように、項目シートを作成して各項目を埋めていくことをおすすめします。
チェックシートの例を下で紹介しましょう。
広報・PR領域でのおすすめペルソナ項目シート例
「広報・PR活動に役立てる」という目的において、おすすめなペルソナ項目シート例は以下の通りです(他の目的でペルソナ設定をする場合も項目はそれほど変わりません)。
- 名前、年齢、性別、住所
- 身長、体重、体脂肪率
- 職業(役職)、通勤時間
- 家族構成、恋人がいるか(いるならどのような人か)
- 交友関係
- 日課
- 平日・休日それぞれのスケジュール
- よく使うSNS、主な情報収集方法
- 好きな動画コンテンツ(テレビかYouTubeか、ドラマかアニメか、ニュースを観るかなど。具体的な番組名、YouTubeチャンネル名を入れるのも可)
- 購読中の雑誌、新聞を取っているか
- 好きなメーカーやブランド、好きな食べ物、趣味
- ストレス源や悩み(いくつでも)
- ○年後どうなりたいか(1年、3年、5年、10年など)
ペルソナ設定の具体的な固め方の3ステップ
最後にペルソナ設定の具体的な固め方を3ステップで解説します。
ステップ①:単純情報・基本情報などを箇条書きにする
まずは名前、年齢、職業などの単純情報・基本情報などを箇条書きにしましょう。
この段階でその人の姿をなんとなくでもイメージして行うことが大事です。
ステップ②:趣味、日課、悩みなどは文章でまとめる|自然な範囲で感情も交える
趣味、日課、悩みなどは文章でまとめるとより詳しいペルソナ設定ができます。
また、例えば「2年ほど前からテニスを週2回やっている」であれば、「~テニスを週2回やっていいて楽しさも感じるが、疲労をストレスに思うこともある」など、気持ち・感情の部分も書くことをおすすめします。
その感情・気持ちにアプローチしてこそ、望んだアクション(目的達成につながるアクション)を取ってもらいやすくなるためです。例えば「○○をストレスに思うこともある」なら、「ストレスを取り除くことに関係しそう!」と思えるような情報を発信するなど。
ステップ③:人物写真のフリー素材などを使って「ペルソナの見た目」を決める
最後に人物写真のフリー素材などを使って「ペルソナの見た目」も決めましょう。見た目は関係がないように思えるかもしれません。しかしチーム内で共通したイメージがあるとないとでは意識が変わります。
この人物写真設定ですが、当然「それ以外で設定したペルソナ」に合いそうな写真を選んでくることが大切です。とはいえ完全に納得できる写真を見つけるのは困難ですので、ある程度のところで妥協しましょう。
✅自社社員など知り合いの写真を使うのはNG
設定したペルソナに近いからといって、自社社員など知り合いの写真を使うのはNGです。本人に許可を取れば道義上の問題はないものの、良い気分はしないことでしょう。
また、知り合いの場合「個性がわかりすぎる」というデメリットもあります。実際に広報・PRで情報発信をする相手の詳細はそこまでわからないはずなので、「わかりすぎること」がノイズになりかねません。
PR戦略策定に必要なペルソナ設定の手順まとめ
ペルソナ設定をすることで広報・PRの「的」が定まって活動しやすくなるので、「ターゲット」のレベルでしか考えていない場合は、ペルソナ設定に取り掛かることをおすすめします。
ただ、データ収集やアンケート・ヒアリングが必要であるなど意外と時間・労力がかかるので、「ペルソナ設定にかける時間」「スケジュール」なども大まかに決めた上で始めるのが無難です。
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