海外向けプレリリース配信の3つのメリットと2つの注意点
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2025.01.27

海外向けプレリリース配信の3つのメリットと2つの注意点

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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、海外向けプレリリース配信をすることのメリットや注意点などについてお伝えしていきます。

「海外向け配信なんてできない」とお考えの広報・PR担当者もいるかもしれませんが、近年では実際に海外向けの活動をしている人も少なくなくなっています。

そこで本記事では、海外向けプレリリース配信のメリット、配信方法、そして海外向け配信に関する注意点などについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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広報・PRで海外向けにプレリリースを配信する3つのメリット

まずは広報・PR活動の一環として海外向けにプレリリースを配信することのメリットをいくつか紹介していきます。

メリット①:特に英語のプレリリースなら多くの人に読まれる可能性がある

世界人口のおよそ25%の人が英語を使用する・理解できると言われているため、英語のプレリリースであれば、日本語のプレリリースに比べて多くの人に読んでもらえる可能性があります。

また、海外メディア向けのプレリリース配信をしないとしても、自社のウェブサイトを英語対応させればそれだけでもリーチを拡大することができるかもしれません。

メリット②:現地での認知度が上がる

海外向けにプレリリースを配信することで、現地での知名度がアップする可能性があります。そうなれば主に以下のようなメリットが得られます。

  • 海外を(海外も)ターゲットにした商品やサービスの販売促進になる
  • 現地での取引などがしやすくなる
  • 現地での人材採用、日本での外国人採用がしやすくなる

「海外向けプレリリース」と聞くと海外向け商品・サービスの広報・PRを連想するかもしれませんが、そうでなくでも採用面で追い風になるケースもあるのです。

メリット③:海外メディアで掲載されたこと自体が武器になる場合も

特に海外展開・海外進出を目指している企業の場合、「すでに海外メディアに掲載されている」という事実が追い風になるかもしれません。具体的には海外での営業活動がしやすくなるなど。

海外展開・海外進出には「(場合によっては)知名度ゼロから始める」「文化・考え方の違い」などの特有のハードルがあります。ですが「メディア掲載歴がある=第三者にも評価されており一定以上に信頼できる」と評価されることは、海外でもそれほど変わりません。

海外向けにプレリリース配信をする方法3選

続いては海外向けにプレリリースを配信する主な方法をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

やはり日本向けにプレリリースを配信する場合に比べると難易度が上がりますので覚悟が必要です。また、日本向けとは少し考え方を変える必要もあるため注意が必要です。

①:海外向けのプレリリース配信サービスを使う

最もスムーズに配信できるのは、海外向けのプレリリース配信サービスを利用する方法です。翻訳サービスが付いている場合もあるなど、海外配信特有のハードルをクリアすることも難しくありません。

一回コンタクトできた海外メディアとは、その後自力で関係性を構築することもできますから意外とをコストを抑えることが可能です。

金額は1回5万~70万円程度といったところ。この金額をどう捉えるかは考え方や方針によりますが、きちんとしたビジョンがある上で利用するのであればコストパフォーマンスはいいのではないでしょうか。

✅国内向けプレリリース配信に、配信サービスを使うのはあまりおすすめしません

一方、国内向けプレリリース配信に、配信サービスを使うことはあまりおすすめしません。その主な理由は以下の通りです。

  • 国内メディアの連絡先などを知るのはそれほど難しくなく、サービスを使う意味がそれほどない
  • 「一斉大量配信可能」ではあるものの、使い回しのような質の低いプレリリースを配信することになる可能性が高い
  • 上記2点を踏まえるとコストパフォーマンスを高くしにくい

つまり「海外向けに比べると難易度が下がるため、プレリリース配信サービスを使うことの価値が低い」ということです。それを抜きに考えても、メディアへのアプローチの基本は「数撃てば当たる」ではなく、「少数のメディアに、深く刺さるプレリリースを」なので覚えておきましょう。

②:自力で海外メディアの研究・選定・コンタクトをして配信する

自力で海外メディアの研究、選定、コンタクトをしてプレリリース配信を行うことも可能です。ただ、国内メディアの場合と比べてあらゆる要素の難易度・労力が上がるため、「それだけの価値があるか」と事前に考えた上でどうするかを決めましょう。

さて、研究・選定・コンタクトの3要素について簡単に解説します。

✅研究

海外メディアの中から「自社の情報を取り上げてくれそうなメディア」をピックアップし、読み込むことを指します。

この「研究」以外にも言えることですが、その国の言葉をスムーズに理解できるレベルでないとかなり苦労することでしょう(翻訳ツールなどを使っても微妙なニュアンスがわかりにくい場合が多い)。

ただ、広報・PR部署の中に外国語を理解できる社員がいれば、言葉の壁の問題はほぼ解決します。

✅選定

読み込んだ海外メディアの中から、「自社の情報を求めていそうなメディア」をさらに選び抜きます。この辺りのことは国内メディアの場合とほとんど同じです。

✅コンタクト

その海外メディアの関係者などの連絡先を調べてコンタクトします。正式な問い合わせ窓口があればそれを使うと楽ですが、ない場合はSNSで記者を探して直接DMを送るのがおすすめです。

特にX(Twitter)は海外ユーザーも多いので探しやすいです。また、相手の国の文化にもよりますが「利益さえあれば堅苦しい礼儀は気にしない」というケースも多く、やり取りがしやすいかもしれません。

③:現地の社員に動いてもらう

現地の社員に広報・PR活動の一端を担ってもらうやり方もあります。例えば、プレリリース作成をこちらで済ませ、「配信」や「その後のメディアとのやり取り」はその現地社員に主導してもらうなどです。

現地社員であれば、国内の広報・PR担当者よりも「言葉のハードル」が低く動きやすいでしょう。また、現地メディアとしても、わざわざ日本(現地の人からすれば外国)の広報・PR担当者とやり取りをするよりも楽であるはずです。

✅現地社員の労力は最小限にする|現地に広報・PR系社員がいる場合は別

ただし現地社員は営業活動などで忙しくしている可能性が高いので、労力は最小限にしましょう。上で解説している通りプレリリース作成はこちらで済ませるべきですし、何かのリサーチ活動も任せない方がいいでしょう。

ただ、現地に広報・PR系社員がいる場合は話が別です。むしろリサーチやプレリリース作成などもその社員に任せて、国内の社員は国内の広報・PR活動に重点を置くことをおすすめします。

海外向けプレリリースを配信をおすすめしない企業の2つの特徴

続いては海外向けプレリリースをおすすめしない企業の特徴を2つ紹介します。細かく挙げていけばもっとたくさんありますが、大きく分けると以下の2つですので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

特徴①:海外向け広報・PR活動をする意味が薄い企業

海外向け広報・PR活動をする意味が薄い企業は、当然ながら海外向けプレリリース配信に労力を割くべきではありません。

例えば「ほぼ完全に日本人向け商品だけを扱っていて、海外まで手を広げようとすると国内のことがおろそかになりそうな企業」などが該当します。

特徴②:まず国内での広報・PR活動に集中するべき企業

将来のことを考えると海外向け広報・PR活動をする意味がありそうな企業でも、国内での活動が足りていないのであればそちらに集中するべきでしょう。

ただ、例えば「国内での広報・PR活動が安定してリソースの余裕ができてきた」「最初から海外向けの商品やサービスがメインである」という場合は、国内向けよりも海外向けを優先するべきかもしれません。企業の代表、営業部、開発部などとも相談しながら戦略を決めましょう。

海外向けプレリリース配信のメリットと注意点まとめ

全く経験のない広報・PR担当者からすると「海外向けプレリリース配信は夢のまた夢」と感じるかもしれません。しかし実際には、国内に比べて難易度・労力が上がるだけで不可能ではありませんし、企業の戦略によっては「するべき」ではなく「必須」となるでしょう。

ただ、すべての企業にとって海外向け広報・PR活動が必要なわけではありませんし、「まだ他にやるべきことがある段階」の企業も多いはずです。「海外への憧れ・過信」にとらわれず、論理的に広報・PR活動を進めていくことをおすすめします。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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