広報活動の基盤となる広報年間計画の立て方と10の必須ポイント
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2023.06.22

広報活動の基盤となる広報年間計画の立て方と10の必須ポイント

広報活動にはさまざまな業務があります。従来から決められたルーティンワークに加えて、政治や経済など社会の動向に対応して生じるもの、組織改編や支店の新設など社内の事象によって生じるもの。

まさに、広報業務は多岐に渡ります。そうした種々雑多な業務をこなしていく際、その場しのぎの場当たり的な対応をしていたら、活動そのものの一貫性や整合性が損なわれて、説得力のある効果的な広報活動ができません。

そうした弊害を防ぎ、広報活動をスムーズに遂行するためには、年間ス計画の作成が必要です。今回の記事では、広報活動の年間計画を立てる時に必要なステップ、項目、留意すべきポイントなどを解説していきたいと思います。

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広報活動の年間計画を作成する目的

広報活動

言うまでもなく、広報やPR活動は単独の部署だけで行えるものではありません。広報部は社内の全ての部署間において情報のハブ的存在となり、さまざまなステークホルダーとの良好なコミュニケーションを構築し維持する部署であることを考えると、社内外の動きを総体的に把握しておかなければなりません。

そのような背景の中、広報活動の広報年間計画を作成することで、「先を見越した」情報発信ができるようになります。他社との共同事業の推進や、新商品や新しいサービスの開発、周年記念行事、などについて事前に準備することができ、効果的な記者発表が可能となります。また、広報年間計画があれば、年間予算の申請も説得力を持って行うことができます。

以下、広報活動の年間計画を立てる目的について、まとめてみました。

①社内のリソースを最適に配分できる

先に述べたように、広報活動に当てられる社内リソースには限りがあります。広報担当者が一人しかいないケースや、かけられる予算が少ない場合も多いのではないでしょうか。そうした背景を考えた時、どの活動にどれくらいの人員やコストが必要なのかを決めておかないと、社内のリソースが分散してしまい、効果的な広報活動ができなくなり、求めていた成果が得られなくなります。

広報活動の広報年間計画を作ることは、どの時期に、どの活動に力を入れればいいのかを明確にし、限りあるリソースの配分を最適化してくれるのです。

②広報チームにおける意識とベクトルの共有

それぞれの広報活動の意義が曖昧だったり、進捗状況がバラバラだと、チーム全体の足並みが揃いません。先を見越した準備や、余裕を持った対応ができなくなり、チーム全員のモチベーションが低下します。そればかりか、チーム内に意識のズレや誤認識が発生し、思わぬトラブルになる恐れがあります。広報活動の広報年間計画があれば、チーム全員が同じ意識、同じベクトルで業務を行うことができるのです。

③社内の関係部署から理解と協力を得られる

広報活動を行う上では、営業、開発、企画、マーケティングなど、さまざまな部署との連携や協力体制が必要となります。取材の依頼にしても、「そんな、急に言われても・・・」とならないように、前もって年間計画を開示し、情報共有しておくことが大事です。

また、広報予算の申請時、社長や経営陣に広報活動の指針と目的を説明し、広報活動の重要性を認識してもらうためにも、年間計画は重要な資料となります。

 

広報活動の広報年間計画を作成する3ステップ

それでは、広報活動の年間計画を作成する3つのステップをご紹介していきます。

①広報活動の前提となる条件を確認する

まず最初に、今年度の企業のテーマや目標を経営陣に確認します。そして、広報活動に割り当てられる予算を獲得します。広報担当者は、それらの条件のもと、実行することが可能な範囲で広報活動の年間計画を作成しなければなりません。

②自社が持つ課題を落とし込む

自社が持つ課題や、今後取り組むべきテーマを広報戦略として落とし込みます。広報活動を行うことで、今抱えている課題がどのように解決できるのか、などを明文化し、社内全体に分かりやすく発信します。

③具体的な行動計画をスケジューリングする

全体的なテーマや戦略を決定した後、今度は、具体的な行動計画をスケジュール表に落とし込みます。時期、施策名、内容、体制、予算、などの項目を作り、テーマにブレがないよう、施策が重複しないように注意して、スケジューリングします。

 

広報年間計画作成10の必須項目

ここからは、広報活動の年間スケジュールを作成する際、必要とされる項目についてご紹介していきます。

①広報活動における前提条件

先に述べた通り、「今年度における企業のテーマやビジョン」、「各事業における目的や方針」、「各施策に当てられる予算」など、広報活動全体における前提条件を確認し項目化します。

②課題

企業が広報活動を通して達成したい状態と、現状との差異を表したものを「課題」と位置付けます。これは、社長や経営陣へのヒアリング、それぞれの関係部署からの情報収集によって策定します。

③目的

課題の策定が終わったら、次は「目的」です。企業が何のために広報活動を行うのかを明確にしたものです。広報活動によって達成できる企業像を明文化して1項目とします。

④ターゲット

目的を達成するために、対象となるユーザー層を選定します。ターゲットとされる層は、それぞれの広報活動のテーマによって異なるため、マーケティング調査などによってセグメントします。

⑤メディア

それぞれの施策によっては、メディアへの露出が必要となるケースがあります。そうした場合は、ターゲットメディアを選定します。ターゲット層の利用回数が多いメディアを選ぶことが大事です。

⑥伝えたい内容

企業の目的を達成するために、広報活動を通じてターゲット層に伝えたい内容を簡潔に明文化します。ターゲット層のライフスタイルや考え方などを調査し、何を伝えればより効果が出るのかを項目とて加えます。

⑦目標

広報活動における達成度を具体的に表したものが「目標」です。自社のホームページへのアクセス数や問合せ数、イベントであれば来場者数など、客観的に数値化できるものを策定します。

⑧施策の内容

目標達成のために実施する施策を決めます。年間計画を立てる年初の段階では、キャンペーンか、イベントか、講演会か、などのざっくりとしたもので構いません。

⑨実行体制

実際に広報活動に関わるスタッフの割り振りや指示系統、責任の所在、役割の明確化などを決めていきます。フローチャートなどを使って仕事の流れを可視化することで、全体の広報活動がスムーズに進行します。

⑩予算

年間計画を策定する際に、どの施策にどれくらいの予算を使えるかを把握しておくと、各施策の実行可能な範囲が判断でき、また、施策のプライオリティを設定することができます。

 

広報活動の年間計画は限られた予算をどう使うか

広報活動の広報年間計画を立てる際に重要なことは、社会のトレンドや時代背景、業界の動向などに目を向けて考えることです。、過去の事例やデータを参考にすることは重要ですが、逆に、それらに固執することなく、新しい発想と新鮮な切り口で計画を立案してみてください。

今回の記事では、広報活動の年間計画作成の目的と必要性をご紹介してきました。これから、年間計画を作ろうとしている広報担当者の方には、ぜひ参考にしていただきたいと思います。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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