広報戦略の意味や3つの目的、年間計画に落とし込む具体的な手順を紹介
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2023.06.22

広報戦略の意味や3つの目的、年間計画に落とし込む具体的な手順を紹介

現代はIT技術が進歩し、国民の多くがインターネットを使用するようになり、ユーザーは商品やサービスを購入する前に、Webサイトで情報を収集し比較検討するという購買スタイルが定着してきました。さらに、amazonに代表されるネット通信も普及し、ユーザーは時間や場所を問わず商品・サービスを購入することができるようになるなど、ユーザーの購買行動は、ここ十数年で大きく変化したのです。

ユーザーが収集した情報を重視し、それを基準に購買行動を取るとしたら、企業は、ターゲットに向けて、正しい情報を迅速に広く発信しなければなりません。今が高度なインターネット社会だからこそ、広報戦略の役割と重要度が再度見直されているのです。

本記事では、時代に即応した広報戦略の重要性と、その立て方について解説していきたいと思います。

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広報戦略とは

広報戦略

広報戦略とは、企業の広報セクションが社内外の様々なステークホルダーに向けてメッセージを発信する際にベースとなる一貫性を持った指針のことを言います。

ユーザーは日頃から大量の情報にさらされていますが、興味や関心のない情報は簡単にスルーしてしまいます。従って、広報担当者はターゲットをしっかりとセグメント(細分化)するだけでなく、ターゲットとされるユーザー層がよく利用するツールやメディアまで研究することが必要になります。

そこで、不可欠なのが広報戦略です。広報戦略とは、自社の商品やサービスの情報を社会に広く告知するための施策を組み立てることを意味します。効果的な広報戦略を立てることで、ユーザーが必要としている情報が伝わり、結果としてユーザーが購買行動に出るという流れを作ります。

 

広報戦略が、今、見直されている理由

これまでも、広報活動が企業にとって重要な役割を果たすことは十分認識されて来ましたが、広報戦略が注目され重要視されるようになったのは近年のことです。そんな今、広報戦略が改めて見直されるようになった背景には、IT技術の進歩と情報の伝達経路の多様化など社会環境の変化があげられます。

①インターネットが普及し、Webメディアが台頭したこと

インターネットが普及することにより、ユーザーが日々触れる情報量は爆発的に増えました。こうした大量の情報に押し流される時代には、広報担当者はユーザーのプロフィールやライフスタイルに応じて、発信する情報の経路や切り口を変えるなどのフレキシブルな対応が必要となって来ました。

また、ユーザーとメディアの接点が増えたことを踏まえて、企業には、従来のマスメディアとWebメディア双方に対して適切なメディアミックスを行うことと、それに伴う相乗効果を考慮し、効果的な情報発信をしていくことが求められているのです。

②SNSが普及したこと

SNSの普及に伴い、ユーザーの一人一人が自分の意見や感想を発信できるようになりました。個人の意見にはリアリティがあるため、他のユーザーの共感を呼びやすく、SNS上で拡散されることも多く、結果として、社会に話題性を提供したり、世論を形成するムーブメントになっていくこともあるのです。

企業が発信した情報の中で、ユーザーにとって不利益な事実や意向に沿わない言動があれば、それらは一瞬のうちに「炎上」という形で社会に拡散されてしまう時代になりました。広報担当者はSNS内の情報の動きにも十分注意を払わなければなりません。

③CSRへの関心が高まったこと

CSRとは、“Corporate Social Responsibility”の略で、「企業の社会的責任」を意味します。日本では2000年くらいから、急速に注目されるようになった概念です。その背景には、企業活動のグローバル化、環境問題や社会問題の深刻化、相次ぐ企業の不祥事などがありました。

ユーザーは、企業の商品やサービスだけでなく、商品の製造過程や社会に対する責任・姿勢に気を配り始め、改めて、企業を評価・判断するようになりました。このような社会背景を受けて、広報活動は企業イメージ形成に大きく関わるより重要な役割を担うようになったのです。

 

広報戦略を立てるメリットとは

では、広報戦略を立てて広報活動を行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下、そのメリットを3つご紹介します。

①自社が希望するブランディングを実現できる

広報戦略の立案によって、時代性や社会情勢などに合わせたメッセージを発信することができます。また、プレスリリースを初めとするメディアへの露出や、イベントの実施などさまざまな広報施策を全体的に俯瞰して捉えられるため、統一感のある整合性の取れたメッセージを発信することができます。企業や商品・サービスのブランドを向上させ、好感度を高めていくためにも広報戦略は必要不可欠と言えるでしょう。

②広報活動の効果測定ができる

広報戦略を立てるということは、同時にゴールの設定も行うということです。目標となる地点が明確になれば、自ずとそのプロセスとしてのマイルストーンも見えてきます。当初、設定した目標に対して、今、どれくらいの位置にいるのか、現時点でどれくらいの効果が出ているのか、測定することが可能となるのです。

③広報活動に対する社内の理解を得られる

広報戦略を立て、具体的な施策や年間計画などを公表することで、社内に向けて広報活動が可視化されます。他部署の社員も広報活動の目的や目標、施策の内容、成果などが把握できるようになるため、社内の理解を得やすくなります。広報戦略を可視化し社内で共有することは、他部署からの理解を得て、広報活動をより円滑に遂行するという役割も担っているのです。

 

広報戦略を立てる4つのステップ

広報戦略を立てるということは、広報活動の土台を作るということでもあります。発信する情報やメディアの使い方に一貫性があるように、また、企業の姿勢にブレが生じないように、そして、広報担当者としてのスキルアップのためにも、広報戦略プランの立て方をしっかり理解しておきましょう。

①ゴールの設定と、課題の洗い出し

前述したゴール地点の設定と、ステークホルダーからの意見や反応を見て、問題点を洗い出すことが重要です。

②年間計画の立案

現在の課題をどのようなプロセスで改善していくのか、何から始めるのか、などをまとめて年間計画を作成します。

③戦略を戦術に落とし込む

立案したプランを具体的な施策に落とし込みます。発信するメッセージに一貫性を持たせ、企業のブランドイメージの向上に向けて具体的な施策を考えましょう。

④効果を測定し、改善策を考える

メディアに掲載された記事の数やイベントの集客数など、様々な数値を収集します。それらの数値を検証し改善点を検討します。

 

自社に合う広報戦略を作ろう

本稿でご紹介したように、広報戦略は自社の広報活動を強化するうえで非常に重要な役割を持っています。日々流れる情報量が増大し続け複雑化していく現代社会において、戦略を持たずに広報活動で成果を上げることは難しくなっています。

そんな中、ブレのない情報発信を行い、企業のブランドイメージを高めるための基本的な指針として、広報戦略の重要性が再評価されています。広報戦略を立てることで、企業のフィロソフィ(理念)や方向性を、一貫性を持って正確に伝える広報活動ができるのです。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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