時代と共に重要性を増すCSRについて学ぼう!
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2023.04.09

時代と共に重要性を増すCSRについて学ぼう!

地球温暖化を初めとする環境問題や、少子高齢化などの社会問題が大きく取り上げられる昨今、企業活動には「CSR」と言われる社会的責任が求められています。「コンプライアンス」や「SDGs(持続可能な開発目標)」などと共に「CSR」は、現代における企業活動に欠かせない重要な活動指針となっています。

広報担当者は「CSR」を正しく理解し、その活動を広く世間に発信することが必要です。

今回の記事では、「CSR」の定義と共に、取り組む時のポイント、「CSR」がもたらす企業のメリット、などについて解説していきたいと思います。これからの企業にとって、営利活動を行い、利益を生み出し納税するだけでは、十分な「CSR」を果たしているとは言えないのです。

 

 CSRとは

CSR活動

CSR(企業の社会的責任)とは、“Corporate Social Responsibility”の略で、和訳すると「企業の社会的な責任」という意味になります。CSRは、企業が環境や社会と共存し、持続可能な発展をしていくために、自社の事業活動がもたらす影響に責任を持って対処する行動であり、また、企業と関係するさまざまなステークホルダーから信頼を得るための行動と定義されています。

これまでは、「納税」や「雇用」などが、企業の社会的責任と考えられてきました。もちろん、「納税」や「雇用」も企業のCSRと言えますが、現代社会における企業のCSRは、もっと多岐に渡るようになりました。

*参考リンク:一般社団法人 日本CSR協会

 

CSRへの取り組みがもたらす企業のメリット

企業がCSRを掲げ、取り組むことは、自社のイメージアップにつながります。では、企業がCSRによって得られるメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、6つのポイントを解説していきます。

①企業のイメージアップ

CSRへの取り組みは、ユーザーや社会に良いイメージとして認知されます。そうなれば、ユーザーは企業に好印象を持ち、他社との差別化を想起してくれます。その結果、自社商品やサービスの売上向上につながるのです。

②ステークホルダーからの信用が向上する

企業のイメージがアップすれば、株主や投資家などのステークホルダーからも注目が集まり、信用を得られます。各ステークホルダーからの信用が向上することで、資金や資材の円滑な調達が可能となり、事業の拡大などにつながります。

③社員のモチベーションアップが図れる

例えば、環境問題や社員の人権問題などに、企業が熱心に取り組む姿勢を見せれば、そこで働く社員たちのモチベーションも間違いなく向上するでしょう。社員の愛社精神が醸成され、離職率の低下にもつながります。

④人材獲得にも好影響を与える

今の時代は、新卒・中途を問わず、企業のCSRに関心を持ち、それを応募のファクターにする求職者が増えています。誇りを持って働け、安心して業務ができる企業を求める求職者たちにとっても、CSRへの取り組みは重要なのです。

⑤安定的な資材の調達ができる

企業のCSR活動の中で、特に環境問題に対する取り組みは、地球や社会全体の環境を保護するだけにとどまらず、企業における資材の安定的な調達を実現できます。資源の効率的な使用や、再利用などは、コストの削減につながります。

⑥コンプライアンスが強化される

コンプライアンスとは、「法令順守」という意味の言葉ですが、近年においては法令以外にも、「社会的なルール」などの概念が含まれるようになりました。CSRへの取り組みは、企業のコンプライアンスの指針にもなります。CSRへの取り組みを情報として発信していくことで、コンプライアンスの強化につながります。

 

CSRへの取り組みの重要ポイント5選

企業がCSRへの取り組みを行っていく際は、戦略的な視点を持って活動することが重要です。それでは、企業のイメージアップとブランド向上につながるCSR活動にするための5つのポイントをご紹介します。

①時代のトレンド、社会情勢を意識する

今、社会にどのようなトレンドが生じているか、また、今、社会が抱えている課題は何か、などをしっかり調査しましょう。そこから、自社のCSRへの取り組みのテーマや指標を読み取り、施策立案の参考にすることが重要です。

②身の丈に合った内容を考える

CSRへの取り組みは、テーマやコストをベースにして内容を考えることも大事です。自社のフィロソフィ(理念)や方向性、商品やサービスの特性に見合った骨組みを作ります。その企業にしかできない取り組みや、社会貢献に大きく寄与する内容であれば、話題性と共に、企業のイメージアップにつながります。

③運営体制を構築する

次は、CSRに対する取り組みの運営体制を決めていきます。社内の総務部や各部署と協力体制を構築し、連携して取り組むプロジェクトチームを構成します。また、大きなキャンペーンやイベントなど、多くの人手を必要とする企画に関しては、業務進行のフローやコストをまとめておくのも良いでしょう。

④ステークホルダーに活動報告をする

CSRへの取り組みは、自社のホームページ、SNSなどへの掲載、プレスリリースの配信などで、ステークホルダーに、その活動内容をこまめに報告することも重要です。定期的にCSRの活動内容を開示し、伝えることにより、企業の存在意義や姿勢が広く認知されます。

⑤効果を検証する

CSRに取り組んだ結果として、ユーザーやステークホルダー、そしてメディアからの反響を調査して、効果を検証します。イベントであればアンケートの集計、他にもクリッピングで行う掲載事例の確認、Web上においては、SNSのキーワード検索などで、しっかり検証を行いましょう。

 

長期的な視点を持ってCSRに取り組もう

CSRに取り組む際には、いくつかの留意点があります。端的に言うと、それは「人手」と「コスト」の問題です。CSR活動に、今一つ積極的に取り組めない企業には、この二つの要因があります。CSRに使える予算がなかったり、配置できる人数がいなかったりと、これはこれで、重要な問題です。

しかしながら、企業のCSRへの取り組みは、長い目で見れば大きなメリットがあることもまた事実です。短期的には「コスト増」という負の側面が見られますが、長期的に見れば、かかった費用以上の効果が十分期待できます。

「人手がかかる」という問題点も、長期的な視点で考えることが必要です。CSRに積極的に取り組んでいる企業は、社員にとって誇りを持って働ける職場と言えるのです。社員のモチベーションを向上させ、社会的な意義を持つ環境を作れば、社員の離職率が低下すると同時に、入社を希望する求職者も増えるため、将来的には人手不足も解消されるのです。

 

まとめ

今回の記事では、企業の社会的責任であるCSRへの取り組み、その意味や効果、メリットなどについて解説してきました。現代社会においては、社会、経済、環境など、さまざまな問題について、グローバルな規模で多くの企業が問題解決に取り組んでいます。

こうした世界のトレンドを見据えて、企業の広報活動には、社会貢献できる活動やコンプライアンスを推し進める企業の姿勢を、社会に向けどんどん発信していくことが求められます。企業ブランディングが推進できるCSRの重要性を再確認し、今後の広報活動に生かしてみてください。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事