中小企業やベンチャー企業などでは、広報担当者の数はまだまだ少なく、専門知識を持った先輩や同僚がいるケースはごく稀と言っても過言ではありません。そんな時、広報担当者は業務上の悩みを相談したり、共感し合える仲間が欲しくなります。
そこで、当記事では、広報担当者が孤独に陥らずに前向きな姿勢で広報業務に励むために必要な広報担当者の必要スキルや、広報活動での「横のつながり」の重要性を3つの視点から解説していきます。
広報活動のポイント
広報活動では、まず「横のつながり」が重要です。他社の広報担当者とコミュニケーションを構築すると言うことです。横のつながりを作るためには、日々開催されている勉強会やイベントに顔を出すことが必要となり、正直、時間も手間もかかります。しかしながら、そんなデメリットを差し引いても、横のつながりを作ることには大きなメリットがあるのです。
ポイント①仕事上の悩みを共有できる
広報担当者同士が横のつながりを持つことで、広報担当ならではの悩みを共有できるというメリットがあります。「自分だけが悩んでいるわけではない」と知ることで孤独感が解消され、また、悩みを相談することで、問題解決の糸口をつかむこともできます。
特に、自社に相談できる人材がいない場合などは、周囲に業務の悩みを理解してもらえない辛さがあるため、横のつながりを持つことは心のケアという面でも非常に効果的と言えます。
ポイント②広い視野を持てる
他社が展開している広報活動を参考にして自社の広報活動の取組みに活かすことができます。また、業界の専門知識を持つ者同士が集まることで、普段、自社とは全く関りのない業界の動向、トピックスなどを知ることができ、見識を広げることができます。
自社内や自社の業界内だけの視野ではなく、社会全体を広く大きく捉える俯瞰的な目を持つことは広報担当者に欠かせません。こうした観点からも、横のつながりはとても重要です。
ポイント③企業間のコラボレーションにつながる可能性がある
広報担当者同士のつながりや情報交換がきっかけで、企業間のコラボレーション事業が生まれる可能性があります。お互いの社会における位置づけや方向性、掲げるビジョンや事業方針が合致すれば、事業の共同参画、協業などにつながり、自社の事業にも大きなプラスとなります。
また、事業面でのコラボレーションとは別に、双方が同じような取り組みをしている場合、メディアに対して一緒にアプローチするなどの協力体制を組むことができます。
ポイント④メディア担当者とのつながりが増える
広報担当者同士でコミュニケーションを取り、メディアの記者を紹介し合うことができるのも大きなメリットです。自分の知り合いの記者が以前から興味を抱いている事象を、他社が案件として動いている場合など、知り合いの記者を紹介してあげましょう。逆の場合も必ず発生するはずです。
そうしたコミュニケーションを継続していけば、双方の広報担当者、そして紹介された記者、三者共々ウィンウィン(win-win)の関係になることができます。つまり、横のつながりは、新たなメディア担当者とのつながりを作ることができ、自社のメディア戦略に幅を持たせる利点があるのです。
広報担当者が人脈や横のつながりを作る方法
では、広報担当者はどのような方法で横のつながりを作れば良いのでしょうか。ここでは5つの方法をご紹介します。
勉強会、セミナーに参加する
勉強会やセミナーは交流会がセットになっている場合も多いので、名刺交換のチャンスがあります。同じ問題意識や悩みを持った広報担当者が集まるので、協調し協力し合える仲間が見つかります
広報のコミュニティに参加する
コミュニティには、Web上のSNSで意見交換するものや、自社の情報やノウハウを発表し合うもの、チームを作って課題に取り組むものなど、様々な様式があります。自分が一番コミュニケーションを取りやすいツールを選択し、最適なコミュニティを探しましょう。
コミュニティに参加すると、単発の勉強会やセミナーと違い、同じ広報担当者と何度も接点を持つことができ、いつでも声をかけることができます。
SNSを通じたコミュニケーションを作る
TwitterやFacebookなどSNS上で、他社の広報担当者に個別に連絡するといったアプローチもあります。SNSでは、投稿内容から、その広報担当者が今どのような取り組みをしていて、何に興味を持っているかが分かるので、効果的な人選ができます。
また、SNSはダイレクトメッセージで連絡できるので、いつでも簡単に連絡を取ることができ、コメントの拡散などを通じて、共通の問題意識を持った広報担当者が集まることが期待できます。
別の広報担当者を紹介してもらう
広報担当者同士の横のつながりを利用して、もう一人の広報担当者を紹介してもらいます。企業の事業内容が似ている、歳が近い、気が合いそう、など様々な理由から、広報担当者同士のカジュアルな集まりで、現在の横のつながりの輪の外にいる新しい広報担当者を紹介してもらいます。
社内のつながりから、他社の広報担当者を紹介してもらう
社内の営業担当者にお願いして、取引先企業の広報担当者を紹介してもらったり、社長同士で個人的につながりのある企業の広報担当者にコンタクトを取らせてもらったり、と様々なケースがあります。
自社と関連がある企業の広報担当者とコミュニケーションを取っておくと、後々、両社間のコラボ企画や業務提携が動き出した際、共同記者会見やプレスリリースの文言調整など、スムーズに進行することができます。
ここまでは、広報担当者が横のつながりを持つ方法と意義について解説してきましたが、一方で、横のつながりを作る時、注意しなければならない点もいくつかあります。次は、「横のつながりを作る時、注意しなければならない点」、3つをご紹介していきます。
広報戦略を進める上での注意点
注意点1.他社の広報担当者と共有できる自社情報の範囲を決めておく
社外の広報担当者と共有しても良い自社情報はどの範囲までか、社長や経営陣上司に事前に確認しておきます。相手が同業の広報担当者の場合は特に注意しましょう。
注意点2.むしろ、社内でのコミュニケーションを大事にする
広報担当者同士の集まりは楽しいものです。とは言え、まずは、何より自社のことを知り、社内のコミュニケーションをしっかり取って広報業務の基盤を構築しましょう。
注意点3.自力でメディアコミュニケーションを構築する気構えを持つ
広報担当者同士の横のつながりができると、様々なメディアリレーションの機会を提供してもらえます。でも、それに甘んじて、他者に頼ることを良しとしないでください。メディアリレーションの構築は、あくまで自力で行うこと念頭に置きましょう。
まとめ 広報の効果を高める工夫を
広報担当者同士で横のつながりを持つことは、企業同士のコラボレーションの機会を生んだり、お互いに記者を紹介し合えるなど、多くのメリットがあります。また、悩みを相談し合ったりできる点で、精神的にも大きな支えになることと思います。今回、ご紹介した内容を参考にして、広報担当者の横のつながりを構築し、有意義で効果的な広報活動を展開してください。もう、あなたは、孤独な広報担当者ではありません。