意外に大事な社内広報、その目的と役割をわかりやすく解説
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2023.03.23

意外に大事な社内広報、その目的と役割をわかりやすく解説

広報活動と言うと、テレビや新聞、雑誌などのメディアを使って、企業の情報(経営理念、方向性や商品・サービスの情報)を外部に発信する業務というイメージがありますが、実はその他にも、社内広報という大事な業務があります。

今回は、広報活動におけるもう一つの重要な業務、社内広報の目的と役割について、5つのポイントから解説していきたいと思います。

社内広報とは

社内広報の意味

社内広報とは、会社の情報や活動内容を社内に向けて発信する業務です。とは言うものの、外部に向かって情報発信するスタンダードな広報活動は熟知していても、社内広報活動となると、何から始めればいいのか、戸惑ってしまうかも知れません。効果的で充実した社内広報活動を展開するためには、社内広報の目的や役割を理解することが重要です。

それでは、まず、社内広報とはどんな業務なのか、から解説していきたいと思います。

社内広報の目的

社内広報とは、企業(広報担当者)が自社の社員に向けて行う広報活動を言い、主に、企業のフィロソフィ(理念)や将来に向けたビジョン、新商品や新しいサービス、社内のイベントや人事などの社内情報、そして、社長や経営陣からのメッセージなどを発信します。自社の社員が、社内広報で得た様々な情報を共有することで、社員同士の協力体制やモチベーションの向上を図り、社員のベクトルを一つにまとめ、企業全体の組織力を強化していくことを目指します。

 

社内広報の仕事内容

大きな企業や団体の場合、社長や経営陣の意向がなかなか全社に伝わりにくい傾向にありますが、社内広報業務を行うことにより、均一な情報の伝達が可能になり、社員全員が同じ情報を共有することができます。効果的な社内広報業務を行うためには、伝えたい情報を“絶妙”のタイミングで発信することが大事です。

それでは、次に、社内広報の6つの目的を見ていきましょう。

①企業のフィロソフィ(理念)や方向性の理解・浸透

社員がそれぞれ自分の流儀で好き勝手に業務を行っていると、全社的な仕事の流れに統一感や連動制がなくなり、会社としての総合力が発揮できません。また、仕事をする上で、分からないことがあったり、どうすればいいか判断に迷うことがあります。そんな時、社員一人一人の判断に任せてしまうと、会社として毎回バラバラな整合性のない対応になってしまいます。

そんな場合でも、社員全員が企業のフィロソフィ(理念)や方向性、経営方針などを理解していれば、社員全員の仕事におけるベクトルが一つにまとまり、トラブルが発生しても共通の解決方を持って対応することができるのです。

②企業の文化・風土の醸成

企業の文化や風土は、社員たちが日々の業務の中で培った価値観や行動様式から生まれます。

企業の文化とは、仕事をしている中で意識的あるいは無意識的に蓄積された経験によって形づくられます。時として、社会情勢など社外からの影響を受けて変化する場合があります。

企業の風土とは、厳密な定義はないものの、その会社で働く人の気質や人格に影響を及ぼす、企業特有の環境のことを言います。企業の風土は、外部からの影響を受けて変わることはありません。

企業文化や企業風土が醸成されると、企業が強い組織となります。

③部署や部門を超えた情報の共有

言うまでもなく、企業は様々な部署・部門によって成り立っています。大きな企業になると、全国に支社・支店があったり、同じビルの中に複数のフロアを構えたり、社員間の物理的距離が遠くなり、人から人への情報伝達では長い時間を要することになってしまい、情報内容に漏れや誤差が生じます。

重要な情報は社員一人一人が独自で持つことなく、社員全員で共有されることで足並みが揃い、部署・部門間のスムーズな連携が可能になるのです。

 ④社員間におけるコミュニケーションの強化

部署や部門が違うと、社内においてもなかなか接点を持つ機会がありません。とは言っても、業務効率を高め、より成果を上げるためには、社員間のコミュニケーションは欠かすことができません。

そんな場合でも、社内広報で各部署・各部門の情報や活動を紹介することで、社員間のコミュニケーションが強化され、同時に、同じ会社で働く仲間意識が芽生え、日々の仕事をしていく上での一体感が生まれます。社長からのメッセージや新入社員の新鮮な意見などを発信するのも良いでしょう。

⑤社員の家族に向けた企業理解の促進

家族や家庭を顧みずに仕事を頑張ることが是認された時代は過ぎ、今は、仕事と家庭を両立させることが重要とされています。ワークライフバランスという言葉が示すように、社員が仕事に集中するためには、家族の理解と協力が不可欠です。

社内広報の役割は、社内報などを用いて、社員の家族にどのような会社であるか、どんな仕事をしているのかを知ってもらい、仕事に対する理解を深めてもらうことです。家族からの理解と協力を得られれば、仕事に対するモチベーションも大きく向上することになるのです。

⑥インナーブランディングの一環

インナーブランディングとは、自社の情報や価値観を社員に理解してもらい、内側(社内)からブランディングを行うことを意味します。社内広報の業務としては企業のフィロソフィ(理念)や方向性、経営方針などを定期的に発信し、全社員に浸透させる役割があります。企業のビジョンや、企業活動の社会的な意義などをリピートして伝えていくことで社内の一体感が高まります。

その上で、社員が企業のフィロソフィ(理念)や方向性、将来性に共感できれば、自社への愛社精神が生まれ、社員のモチベーションのアップや離職率の低下につながるのです。

 

社内広報のやり方と具体的な手順

それでは、実際に社内広報はどのようなことをすればいいのか、社内広報業務の具体的な内容について紹介していきます。

  • 社内報の制作・発行

社員に企業のフィロソフィ(理念)や方向性、事業内容やビジョン、商品やサービスについてより詳しく伝え、社内に浸透させるためのツールとして活用します。

  • メルマガの発信

即時性を持ち、リアルタイムで情報発信できるツールです。社内行事における急な時間変更や、新事業に関わる情報などを社内のSNSと併用させて発信します。

  • 社内ブログやSNSの発信

ブログやSNSなど、より身近な存在のインターネットツールの利用もぜひお薦めします。高い閲覧率を利用することで、効果的な社内への情報発信ができます。

  • イントラネットを使った情報共有

SlackやQastなどの社内イントラネットは、情報の迅速な伝達や情報の交換・蓄積・共有に有効です。

  • 取材対応

社内の各部署・各部門の責任者や担当者に取材を行い、その内容を発信します。部署間での相互理解を促進し、社内における情報共有を図ります。

  • 社内イベントの実施

社員間の交流を促し、良好なコミュニケーションを構築します。社内イベントは企業のビジョンを共有する良い機会となります。

 

最後に

今回は、社内広報の目的と役割、並びに、仕事内容とポイントについて解説しました。企業が継続的に発展し成長していくためには、全社員が同じ目的と意識を持ち、仕事をすることが重要です。効果的な社内広報を行うことで、社員の一体感や組織の強化が可能になります。社内広報を担当される方は、今回の内容をぜひ、参考にしてみてください。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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