「メディアリレーション」は、まさに広報活動の基本的要素であり、欠かすことのできない大事な役割を担っています。
そこで、今回は、良好な「メディアリレーション」を構築するために、企業の広報担当者は何を心掛けるべきなのか、7つのポイントにまとめて解説したいと思います。
メディアリレーションとは?
広報担当者にとって、メディアの記者やライターとの信頼関係(人脈)は非常に重要です。どれくらいの数のメディアと、どれくらいの信頼度で関わっているかによって、広報活動の幅とクオリティが大きく違ってきます。
広報におけるメディアとの関係性を「メディアリレーション」(「メディアリレーションズ」と呼ぶ場合もある)と言いますが、良好な「メディアリレーション」を築くことは、多くのメディアへの露出を促し、より多くの人に企業の情報や商品・サービスの魅力を知ってもらい、認知度を高める広報戦略において非常に重要な役割を持ちます。
メディアリレーションによる信頼構築4つの心構え
心構え①自分が会社の代表(顔)であることを認識する
メディアや社会に向けて、自社の情報を伝える広報担当者は会社の代表であり顔であるとも言えます。ビジネスマナーや清潔感のある身だしなみはもちろんのこと、広報担当者のイメージがそのまま会社のイメージにつながるということをしっかりと認識することが重要です。
また、細かいことですが、広報担当者が他の業務を兼任している場合でも、広報担当であることを名刺にはっきり明記すること、または広報担当専用の名刺を作り、広報活動に対する積極性をアピールするのもいいでしょう。
心構え②いかなる場合でも、誠実に対応する
広報活動を展開していく中では、メディアが欲しがっている情報やデータを提供できない場合があります。また、あまり聞かれたくないことを質問されたりすることもあります。そんな時は誠実に対応することが重要です。
曖昧な表現をしたり、逃げたりすることなく、「なぜ、今、その情報を開示できないのか」を誠意を持って説明するようにしましょう。誠意を持って誠実に対応すれば、メディアも理解を示してくれます。誠意ある対応の繰り返しが、メディアとの信頼関係を構築する第一歩となるのです。
心構え③常に、社内外の情報に敏感であること
広報担当者の主な業務に情報の開示・発信がありますが、先にも述べたように、全ての情報をメディアに提供することはできません。極秘裏に進んでいる業務提携の話だったり、特許申請中の新しいテクノロジーなどは発信できない情報となります。そうした場合は、情報の開示と発信の時期を的確に見極める必要があります。このように、広報担当者は、常に、情報を開示・発信するタイミングについて的確に把握しておく必要があり、そのためには、社内の状況や動向に敏感でなければなりません。
また、「情報に敏感であれ」とは、社会の変化やトレンドを把握し、最新の情報を収集し選別するという意味も併せ持ちます。時代遅れの商品やサービスは、メディアが興味を持って取り上げてくれません。常に、新しい発想と切り口で、情報発信することも広報担当者の大事な心得です。
心構え④自社についての基本的な知識を備えておく
何を今さら、と思うかも知れませんが、広報担当者は自社について詳しく熟知しておく必要があります。正式な会社名から、創立年月日、資本金、従業員数といった基本情報は言うまでもなく、企業のフィロソフィ(理念)、沿革、事業内容、業績の推移などもきちんと理解し、資料などを見ることなく説明できるようにしておくのがベターです。
設立記念日と創業記念日が違う場合や、常に数字が変わる従業員数、沿革における時代的背景、などには特に注意が必要です。また、社長や経営陣の簡単な来歴など、メディアが関心を持ちそうなことは、事前に調べて、頭の中にインプットしておくといいでしょう。
社外と社内に有効な人脈を構築するコツ
メディアからの要望で、社内の現場担当者への取材を設定する場合があります。そんな時、常に、快く取材を受け入れてもらえるよう、社内のコミュニケーションを築いておくことが大事です。現場と良好なコミュニケーションを構築しておくと、取材対応がスムーズに行われるだけでなく、日々の情報収集にも大いに役立ち、自分が持っている情報をアップデートさせることができるのです。
また、自社内のみならず、同業他社の広報担当者と横のつながりを作っておくこともお勧めです。業界全体の動向や最新情報が得られるだけでなく、そこには、企業同士のコラボレーションに発展する可能性も秘められているからです。そこで、広報担当者が横のつながりを持つメリットを簡単にご紹介しておきます。
コツ①お互いの悩みを共有できる。
自分だけが悩んでいるんじゃないと知ることで孤独感の解消につながり、また、同じような問題を解決したノウハウなどを教えてもらったり、思わぬ問題解決の糸口が見つかる場合があります。
コツ②広い視野を持つことができる。
業界情報に詳しい他社の広報担当者との会話を通じて、本来、自社と接点のない業界の動向やトレンドなどを知ることができ、見識を広げることができます。
コツ③企業間でのコラボレーションに発展する可能性がある。
お互いの企業方針や方向性が合致すれば、共同事業などの形で、コラボレーションに発展する可能性があります。
コツ④結果として、メディア との関係性が広がる
お互いにメディアや記者を紹介し合うこともできます。案件ごとに最適な記者を紹介し合えるなど、3者間でウィンウィン(win-win)の関係が構築できます。
広報担当として知るべきメディアへの配慮とマナー
①迅速でスピーディな対応を心がける
メディアの記者やライターは分刻みで仕事をしていることが多いため、広報担当者には、迅速でスピーディな対応が必要になります。例えば、新聞記者から夕方に来た質問は、記者が翌日の朝刊に掲載するものと想定している場合が多いので、日付が変わってからの対応では間に合わず、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
記者の質問には可能な限り迅速に答えるようにし、即座に回答できない場合は、その理由と状況を伝えます。少々情報の確保に手間取ることがあっても、労力を惜しむことなく、スピーディに行動し、ベストな形で協力する姿勢が重要です。
②メディアリストを作成する
メディアリストとは、自社と関わりのあるメディアやプレスリリースの送付先をリスト化したものを言います。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアを初めとして、Webサイト関連、フリーペーパー、など多くのメディアの中から選別しリストアップします。リストの項目は、メディア名、会社名、部署、担当者、役職、連絡先、名刺交換日などとなります。
メディアの担当者には、それぞれ最短・最適な連絡方法があるため、電話がいいのかメールがいいのか、など、連絡時間も併せてメモしておくと、スムーズなメディアリレーションが可能になります。
最後に
広報活動における「メディアリレーション」は、地道な活動の繰り返しで成り立っています。それぞれのメディアの特性を知り、いかにして、その特徴を自社の広報活動に生かせるかを研究しましょう。メディアは、ユーザーを含めた全てのステークホルダーとつながっています。メディアとの良好な関係があってこそ、より効果的な情報発信が可能となるのです。