クチコミを広報にどう活用すれば顧客やメディアは集まるのか?
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2019.10.10

クチコミを広報にどう活用すれば顧客やメディアは集まるのか?

こんにちは。いよいよ元号が変わりましたね。

さて、今回は多くの企業が注目している「クチコミマーケティング」あるいは「口コミ」の価値について考えてみたいと思います。

*こちらも人気!5つのメディアの特徴を知っておこう

■ちなみに今回のコラムは、こんな方々に役に立ちます!
1.自社商品、サービスをお客の口コミで広げる方法を知りたい
2.どうすれば自社のファンを増やせるか知りたい
3.売り込みをせず、自然にお客を増やせる施策を知りたい

クチコミをマーケティングするとは?

誰もがSNSで情報発信できるこの時代、
消費者の口コミの重要性はもはや無視できない、というのは
みなさんの共通認識かと思います。

ところが、口コミを作り出す具体策や、話題を活性化させる方法論等を
マーケティングとして語れる人は少なく、
日本でもあまりこの発想が浸透していない、というのが現状です。

口コミはコントロールできず、マーケティングの対象外、というのが一般的な感覚です。
これは、マーケティング=マス・マーケティングという連想が強いことが、
主な理由として挙げられます。

マーケティングの発祥地:アメリカでは、2004年に業界団体として、
「WOM(*)マーケティング協会(通称:WOMMA)」が設立され、
大手広告主、メディア社、広告・広報企業など110社が名を連ね、
口コミ・マーケティング市場の健全な育成を目的に、様々な活動を実施してきました。
(*)Word of Mouthの略。いわゆる口コミのこと。

これは、口コミが広告主にとって、重要なマーケティング要素になっていることへの対応強化の表れと言えます。

 

時代と共に進化する口コミ

例えばAmazon等で買い物する時、多くの人が他人のレビューチェックしています。
何だかんだ言っても、 皆さん口コミが気になりますよね。

口コミは、最も古いマーケティング手法と言えます。

「自分が得た知識や体験を、他人にも参考にしてもらいたい」という、
いわば人間の本能から自然に生まれる行為であり、
その威力は古今東西、威力が強いです。
新聞やテレビもなかった時代に、商品の売れ行きを左右するのは誰かの評判でした。

そして時代の変化、ネットの発展により、口コミの影響力はより強力になりました。

口コミが「記録性」を手にし、人がいつでもどこでも自由に、ネット上の情報にアクセスでき、
さらに「検索」で口コミを顕在化、インスタグラム等「画像」で発信など、
口コミをパワーアップさせる手段が多様化しました。

人は詳しく知りたがる上、テキストでは分からないことを画像や映像で知りたいので自ら検索し、
メディアの発展によって、情報を拡散する側の自己承認欲求も後押しされていると言えます。

 

口コミは大きく2種類ある

前述のWOMMAは、口コミを2つに分けて解説し、
そのための企業活動例について定義しています。

①「自然発生的な口コミ」
顧客が製品について満足、企業をサポートしたいという気持ちを共有、支持者になった時に自然発生

(企業活動例)
・顧客満足に焦点を当てる
・製品品質、使いやすさの向上
・不安、批判に応える
・対話をし、人々の話を聞く

②「喚起された口コミ」
マーケターが既存のコミュニティや、
新しいコミュニティの口コミを促進、加速させる等の施策を始めた時に発生

(企業活動例)
・コミュニティ作り
・コミュニティにいる人々の意見を共有しやすいツール開発
・支持者、エバンジェリストに対し、積極的に製品をPRしてもらえるよう、やる気になってもらう
・支持者が情報共有できるよう、情報を提供する

では、ここからは口コミを活用した弊社のPR事例を、2つピックアップしてみたいと思います。

・事例①「平成の空気缶」

これは“日本平成村の空気”と、“平成時代への感謝の気持ち”を詰め込んだ保存用空気缶詰です。

岐阜県関市の平成(へなり)地区は、元号が平成となった1989年に、
読み方は異なるものの、全国で唯一元号と同じ漢字の地名として注目されました。

製造会社は、”平成時代への感謝の気持ちを形にして残すことはできないか?”と考えた結果、
平成の誕発表で一躍脚光をあびた平成(へなり)の空気缶の開発に辿り着き、
中にはありがとう平成時代のたっぷりの気持ちと、
令和の時代でもよいご縁がありますようにと、
平成の5円玉を中に込めてふたをして完成させ、「道の駅 平成」にて販売しました。

この商品を購入した人達からは、「面白い発想だ」「これで長生きできます」
といった口コミが発生しました。

商品の細かい内容うんぬんよりも、商品作りにかけた思いに
共感した人が商品を購入、口コミが広がった、という事例の一つと言えます。

・事例②「ご当地かき氷祭」

こちらは弊社がPR支援している案件で、
毎年テレビで紹介されているのですが、
オンエア直後に、毎回twitter等で反響が多数発生しております。

テレビを観て興味を持ち、実際に現地に行った一般人が、
ご自身の気になったかき氷(ケーキの形をしたかき氷、カレー味のかき氷等)を、
思い思いに写真投稿しながらコメントし、
さらにネット上の口コミの多さに注目した各テレビ番組から取材オファーが殺到する、というサイクルが出来ております。

 

まとめ お客がお客を呼ぶ仕組みを作ろう

コミュニティ・マーケティングが上手に機能することによって、
彼らが企業の代わりに顧客を連れてくるようになります。

このような動きはBtoCに限らず、BtoBにも共通します。
C向けなら「ファンミーティング」「ファン限定先行体験会」等、
B向けであれば「勉強会(参加者からの質問共有)、」「選考モニター募集」等が、有効な施策として考えられるでしょう。

今回ご紹介したWOMMAの定義をヒントに、
皆さんもこの機会に是非口コミの威力をフル活用し、令和を迎えた日本を「口コミ先進国」にしていきましょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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