広報担当者が知るべきPRのための企業YouTubeチャンネル立ち上げ6つのポイント
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2025.02.19

広報担当者が知るべきPRのための企業YouTubeチャンネル立ち上げ6つのポイント

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では、広報・PR担当者が、企業YouTubeチャンネルを立ち上げ前に知っておくべき・決めておくべきポイントなどについてお伝えしていきます。

「経営者からとにかくチャンネルを立ち上げるように急かされている」「とりあえず立ち上げるべきだろうか」とお悩みの広報・PR担当者に特におすすめの内容となっています。

本記事では、企業YouTubeチャンネルの立ち上げ前に知るべき・決めておくべきこと、そしてチャンネル運営に慣れてきてからのポイント、さらには「YouTubeチャンネルを持たない勇気も必要」といったことに関して解説します。

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企業YouTubeチャンネル開設前に知って・決めておくべきポイント6選

それでは企業YouTubeチャンネルの立ち上げ前に知っておくべき・決めておくべきポイントをいくつか紹介していきます。

ポイント①:チャンネル運営の目的を明確にする

まずは目的を明確にしないと無駄に予算・時間・労力を使ったり、すぐに放置したりすることになる恐れがあるので気を付けましょう。運営目的としては例えば以下のものが考えられます。

  • 商品やサービスの知名度アップ
  • 企業そのものの知名度アップ
  • 求職者向けの情報を発信する
  • 商品やサービスの説明動画を配信する(必要な人だけが観る説明書置き場のような感覚)
  • 広告収入にウエイトを置いてユーチューバー的に活動する

昨今、一番下の目的で活動するのは難しいものがあります(本末転倒感もあります)。ですが、それ以外の目的であればどれも現実味があるので、「自社の状況や方針に目的」を決めて、そこからブレないような運営をしていくことが大事です。

ポイント②:運営体制(投稿頻度、担当者)を決める

事前にある程度運営体制を決めておくことも大事です。運営開始後に調整していくことも必要ですが、大まかな方針は定めておかないと、すぐに揉めたり投稿がストップしたりすることでしょう。

まず投稿頻度については例えば以下のようなものが考えられます。

  • 不定期(新商品・新サービスなどの情報が出たとき限定など)
  • 定期(毎週○曜日に投稿など)
  • 必要な動画を短期間で投稿してストップ(例:求職者向け情報動画を何本か一気に出したら、投稿をおおよそやめる)

そしてYouTubeチャンネルの運営担当者も決めておく必要があります。広報・PR担当者がすべてこなすのか、他部署社員も協力するのか、動画投稿のノウハウがある社員に任せるのか、などですね。誰かに押し付ければトラブルにつながりますし、計画通りに運営できなくなる可能性が高いので注意が必要です。

ポイント③:企業YouTubeチャンネルで重要なのは主に「視聴維持率」

YouTubeチャンネルでは「再生回数」や「登録者数」が目立ちますが、企業YouTubeチャンネルでは基本的に「視聴維持率」が重要です。視聴維持率とは言い換えると、「視聴者が動画を閉じずにどれくらい観続けてくれたか」を示す指標。

多くの企業YouTubeチャンネルは「届けたい狭いターゲット層」に「動画を最後まで観てもらうこと」が大切なので、いくら再生回数が伸びても「自社や商品・サービスには興味がない層」に、「再生開始からすぐに離脱される」のでは意味がありません。

そのため目先の再生回数や登録者数にこだわりすぎず、「届けたい人に刺さる動画を」という意識で運営することをおすすめします。

視聴維持率が上がればYouTubeのアルゴリズムに好かれやすくなる

また、動画の視聴維持率が高いと、YouTubeのアルゴリズムが「価値の高い動画である」と判断して、「おすすめ動画」などで表示されやすくなります。つまり再生回数やチャンネル登録者数が後からついてくるということですね。

ポイント④:特に開設前~初期は大げさな「チャンネル開設の宣伝」はしない

チャンネル開設の事前告知をしたくなるかもしれませんが、大々的に行ってしまうと「興味のない人も初期動画を再生する」→「興味がないから早期離脱する」→「視聴維持率が下がる」という悪い流れになってしまう可能性が高いです。

そのため特にファンによる再生がほぼ期待できない「チャンネル開設前~初期」は大きな宣伝をしないのが無難です。宣伝をするにしても相手を絞り込んだり、「企業自体に興味がないとたどり着かない場所(公式サイトなど)」での宣伝に留めたりすることをおすすめします。

大企業や「有名人が協力してくれるチャンネル」なら事前告知もアリ

ただ、大企業で最初からある程度ファンがついている場合はYouTubeチャンネル開設の事前告知をするのもいいでしょう。

また、レアケースですが例えば「副業で稼いでいる人気ユーチューバーが入社した」→「そのユーチューバーに企業YouTubeチャンネルに関わってもらう」などのケースでも事前告知するべきです(ただ企業のブランディング方針によってはそのユーチューバーの存在を伏せましょう)。

ポイント⑤:動画投稿を継続することが前提なら、最低でも10本以上動画を用意してから始める

動画投稿を継続していくことが前提の場合は、少なくとも10本以上は動画を用意してからチャンネルを立ち上げることをおすすめします。継続するなら週1~3本は投稿したいところですが、慣れるまでは手間取る可能性があるので先にストックを作っておくと無難です。

そして常にストックが何本かある状態を維持できれば、編集作業なども楽になりますし、場合によっては「視聴者の反応を見た上で特定の動画をお蔵入りさせる」こともできます。

ポイント⑥:動画の概要欄など「情報を書き込めるスペース」を有効活用する

動画の概要欄など「情報を書き込めるスペース」は全部有効活用しましょう。例えば動画の概要欄に、企業の公式サイトやSNSアカウントへのリンクを設置することは当然ですがそれだけでは不十分です。

例えば、動画の概要(ポイントの要約)、動画の内容とは直接関係のないテンプレートのメッセージ、企業のモットーなども書きましょう。動画の概要欄もYouTubeのアルゴリズムの評価対象になると言われていますので、あっさりさせてしまうのはもったいないです。

動画の概要欄なら200~500字くらいで書くのがおすすめ。無理にキーワードを含めるなど欲張らず、「動画の内容の要約」をメインにわかりやすく書くのがコツです。

企業YouTubeチャンネルの動画投稿に慣れてきてからの運営のコツ

企業YouTubeチャンネルの動画投稿に慣れてきてからの主なポイントは以下の通りです。

  • しばらく継続する:目的にもよりますが少なくとも50本は続ける。それくらいでないと数字がついてこない
  • 特に動画タイトル・サムネイルは毎回こだわる:視聴者の多くが視聴するかどうかを決めるポイントです
  • 必要に応じてライブ配信をする:濃いファンが増えます(パソコンからならチャンネル立ち上げ初期でもライブ配信可能)

ライブ配信についてもう少し解説しましょう。

視聴者数が少ないライブ配信でも「濃いファン」がつくなら大いに意味がある

特に企業YouTubeチャンネルの運営開始初期で登録者数も少ないうちは、ライブ配信をしても10人も視聴者が集まらないかもしれません。

ですがライブ配信で例えば、商品やサービスのディープな情報発信、質問に直接答える、業界に関するレクチャーなどの特別なことをすれば、その10人のうちの何人かは、「企業自体を好きになってくれる濃いファン」になるかもしれません。つまり安定的に売上に貢献してくれるのです。

撮影や編集の時間を確保しにくい場合も「ライブ配信がメインの運営」を検討するべき

また、撮影や編集の時間を確保しにくい場合も、「ライブ配信がメインのチャンネル運営」を検討してみてはいかがでしょうか。

最初のうちは「ライブ配信だけの大雑把なチャンネル」と思われるかもしれませんが、運営を継続するうちに徐々に「そもそもライブがメインのチャンネル」と理解してもらえることでしょう(そういったファンだけが残る)。

なお、ライブ配信の重要シーンを切り取って「ライブ配信映像そのもののアーカイブ」とは別に投稿するのもおすすめです。切り取り動画ならごく短時間でしょうから、XやTikTokなどの各種SNSに投稿するのもいいでしょう。

YouTubeチャンネルが向かない企業もある。場合によっては閉鎖や立ち上げない勇気も必要

もちろんYouTubeチャンネルの運営が向かない企業もあります。例えば「運営していく余裕がない(時間、人、お金)」「他の広報・PR方法で間に合っている」「動画での発信が向く商品・サービスではない」などです。

こういった場合はYouTubeチャンネルを立ち上げないことも真剣に検討しましょう。「なんとなく」で立ち上げて放置するのが最も良くありません。

PRのための企業YouTubeチャンネル運営のコツまとめ

あくまで「企業YouTubeチャンネル」ですので広報・PR担当者がきちんと関わった上で、一般的なユーチューバーのそれとは異なる意識で運営することが大事です。目的や運営体制を事前に決めた上でチャンネルを立ち上げましょう。

また、コスト(時間・人・お金)もかかるため、YouTubeチャンネルでの広報・PR活動が不要と判断したのであれば「とりあえず」で立ち上げない勇気も必要です。他のところにリソースを回しましょう。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
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③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事