PRとマーケティングの違いは?売上につながる活動内容・役割・ポイントを解説
PR戦略とは
3分で分かる「PRの基本」
2023.06.22

PRとマーケティングの違いは?売上につながる活動内容・役割・ポイントを解説

今回は広報担当者にとって永遠の課題と言われる、「売上に直接つながる広報はできるのか」について考えていきたいと思います。

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PRの活動内容は

広報 マーケティング

まずは広報の基本的スタンスを整理しておきましょう。広報とは、社会における自社の立ち位置を客観的に捉え、自社のフィロソフィやスローガンを継続的に発信し、世の中の理解と共感を得ていく部門です。そして、こうした姿勢の中で自社の事業遂行の価値観を関係者やステークホルダーにアピールします。

経済成長が思わしくない現在、広報には単なる継続的な情報発信だけでなく、商品やサービスの売上に直接貢献することが求められるようになってきているのです。

そもそもPR活動が売上に対してどれほどの効果を与えたのかを測定するのは非常に難しい作業なのです。では、その貢献度をどのようにして測るか。売上に貢献する広報とは何かについて、いくつかの視点から考察していきたいと思います。

売上アップを実現するPR活動とは

それでは、早速PR活動によって売上をアップさせる方法について考えてみたいと思います。

例えば、ホームページなどWebサイトを例に取れば、売上の増減は「企業サイトへのアクセス数の増加」や「検索数の増加」、「登録会員数の増加」など様々な指標の変化によって読み取ることができます。売上がアップすると、これらの数字はほぼ確実に上昇していきます。なぜなら、PR活動には、顧客に対し商品情報の認知向上を促進し、さらにメディアで好意的な情報が発信されることで顧客が購買行動に直接結びつくなど、売上に貢献する要素を増加させ、強める効果があるからです。

PR活動によって「好意的な質の高い情報」を的確なターゲット顧客に対し何度も発信することが実現されれば、自然と顧客の商品購入数は増し売上もアップしていくのです。

KPIの設定でPRで継続的な売上アップを

継続的に売上アップを維持していく重要なポイントは、KPIの設定と効果検証です。KPIとは企業や組織の目標を達成するために行う日々の活動の具体的な行動指標のこと。「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、重要業績評価指標のことを指します。

ちなみに、WebサイトでのPR活動を例に取ると、KPIの候補としては「訪問者数」、「回遊率」、「CV数(率)」、「重要ページ到達率」などがあげられます。これらのKPIを数値で設定し、随時チェック・検証していけば、全体的な施策の立て直しや改善を行うことできるのです。PR活動は長期的な戦略となりますので、常に効果計測と継続的な施策改善が実施できるよう、KPIの設定は正しく(適切に)行うことを忘れないでください。

ちなみに、KPIの設定はシンプルに行うことが重要です。複雑な指数にしてしまうと他の部署の人たちに分かりにくく、社内での理解が得づらくなり初期段階でプロジェクトが止まってしまう結果にもなりかねません。目標数値はシンプルに設定しましょう。

売上に貢献するPRマーケティングは社内連携も大切

企業は自社の商品情報を広報を通じて発信するだけでなく、広告やイベントなど様々な方法で顧客にアプローチします。ですから、コミュニケーション手段は広報だけが担っていると考えずに、いわゆるマーケティングコミュニケーション全体の文脈で考えることが大事です。

広告やイベントその他の施策で使用する媒体には、それぞれ特性があるため、訴求内容も微妙に異なってきます。広報はそれらの訴求内容を俯瞰的に見て、全社的にバランスの取れた効果的な戦術を策定することが必要です。そのためには、日頃から、マーケティング部や営業部、宣伝部など他の部署と連携を取り情報収集に努めることが必要です。

PR活動のKPIを比較し、目標数値を改善しよう

広報はその施策によっては、売上数字に直結しないことから企業への貢献度が理解されづらい場合があります。でも、ある商品の売上が伸びた場合、同時期に企業のホームページへのアクセス数が伸びているという事例もあります。

現代はWebなどホームページにおける広報活動が必須となっていますが、売上が伸びた場合、KPI(企業サイトへの「アクセス数の増加」や「検索数の増加」、「登録会員数の増加」、「資料請求数の増加」など)が数値として明らかに上昇した場合、PR活動が売上に貢献していると判断することができます。

つまり、売上への効果は、売上が向上した際、PR活動の前後でKPIの指標がどれだけ増減したかによって間接的に測定することができるのです。

事業貢献するためにPR広報に必要なこと3選

ここまで、売上アップにつながるPR活動について考えてきました。

売上アップの功績はなにも営業セクションだけのものではありません。商品の研究・開発に携わった開発部、市場調査(消費者インサイト)で最適な売り方を考察したマーケティング部、印象的な表現で商品情報を発信した広告部、もっと言えば、営業部が安心して売上アップに奔走できるように職場環境を整えバックアップした総務部や経理部も売上アップに貢献したと言えるのです。

そして、その一翼を担う広報は独自のスタンスから売上アップに貢献しています。それでは最後に、今後とも継続して売上アップに貢献していくために、広報はどうあるべきかについて3つのポイントをあげてみました。

①商品認知を顧客や社会に向けて能動的に形成していく。

経済的に厳しい状況が続く中、こちらから積極的にPR活動を仕掛けていかないと、必要な情報はなかなか消費者には届きません。行動力のあるアクティブな広報になりましょう。

②自社ならではのKPI(測定基準)を設定し、PR活動を数値で可視化していく。

事業貢献を測定する一つの指針としてのKPIの設定。具体的な数値が設定されれば、実際のゴールが見えるということです。ゴールが見えるということは、ゴールまでの距離が分かるということです。つまり、客観的に現在の自分の立ち位置が分かるので、随時、戦術の調整や変更が可能になりフレキシブルなPRが展開できます。

③広報としてのサクセスストーリーを想定し、社内の上層部にも共有させる。

「このKPIが実現されれば、事業に対してこういう貢献ができる」というストーリー
を作り、社内で共有します。ストーリーの共有は部内のモチベーションを上げ、活気とやる気を醸成します。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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