パーパスとは?広報PRに活用するポイントと2つの活用事例を紹介
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2023.06.22

パーパスとは?広報PRに活用するポイントと2つの活用事例を紹介

2021年、ビジネス用語として注目された言葉に「パーパス」があります。元々「パーパス(PURPOSE)」は英語で「目的」を意味する言葉ですが、ビジネス界では「企業の存在価値を明確にする」という意味で使われていて、企業が社会にとって必要な存在であることを示すものとされています。

また、パーパスは企業が社会に向けて行うべき活動やとるべき行動を定義した概念でもあります。例えば、政治情勢や経済動向など、国内外の社会的な環境変化が起きた場合でも、パーパスが確立されていれば企業として行うべき活動が自ずと明確になり、一貫したブレのない企業行動をとることができるのです。

この記事では、パーパスを活用したPR活動について詳しく解説してきます。

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パーパスとは?

パーパス

パーパスに一番近い概念としては「企業スローガン」がこれに当ります

また、社内的に見ても、社員やスタッフはパーパスがはっきりと設定されていることで仕事に対するモチベーションが高まり、そして、自社に対するエンゲージメントが向上します。自分の働く企業が社会に対して存在価値を示す、自分がそんな企業の一員として働いている、という自分が働く意義を見いだし、再確認することができるのです。

パーパスを活用した広報PR活動のポイント

パーパスは企業の存在意義を定義するものと説明しましたが、パーパスは同時に社会に向けて自社の情報を発信する時のベースとなるものでもあります。企業全体としてパーパスは非常に重要ですが、広報PR活動においても、その活動指針はパーパスを基準に決定されます。

今回は、パーパスを活用した広報PRのあり方を3つの視点から解説したいと思います。

①パーパスは広報PR活動の指針を決める

広報PR活動の方針を決める上で、パーパスは非常に重要です。企業の存在意義を示したパーパスは企業活動すべての基点となります。企業活動としてとるべき行動はパーパスによって自ずと決定されるのです。もちろん、その中には広報PR活動も含まれています。広報PR活動は商品やサービスなどの企業情報を発信していくことで、自社が掲げたパーパスにブレがないことを証明し続ける活動とも言えます。

例えば、企業の中にはさまざまな情報がありますが、どの情報を発信すればいいのか、という選定基準をパーパスに置くことができます。発信したい情報が良い内容でも、企業のパーパスと矛盾したり乖離しているものは、企業としてのパーパスの証明にはなりません。

そうした場合は、パーパスと企業活動の間にブレを感じさせてしまい、企業イメージを損なう危険性があります。つまり、広報PR活動の方針を決める上でも、パーパスはとても重要な役割を担っているのです。

②パーパスは社員のロイヤリティを向上させる

企業で働く社員、従業員にとっても、パーパスはとても重要なメッセージとなります。そして、そのパーパスを社内に向け発信すること(社内PR)は、全社員のロイヤリティ向上と業績のアップにつながります。これは「インターナル・ブランディング」と呼ばれるもので、

ブランドの社内浸透と情報共有
ブランドを基軸とした社内の活性化

この二つの効果を目的としたものです。

企業が社会にもたらす価値観や存在意義が明確に示されると、社員はその企業で自分が働く意義と誇りを見いだすことができます。日々の自分の仕事や成果が社会への貢献につながっているという関係性や充実感を実感することができ、社員のコミットメントの向上にもつながります。

ちなみに、パーパスは採用広報においても非常に大きな役割を果たします。自社がどんな会社なのかを一言で表現したパーパスは就職希望者が企業を選択するうえで大変重要な基準になってきています。パーパスに基づいた採用広報を行うことで、自社への共感性が高い就職希望者を集めることができ、同じベクトルを共有する強い組織編成が可能となります。

③パーパスで効果的なブランディングができる

パーパスを企業活動の基点と捉えて、企業のブランドを形成するPR活動を「パーパスブランディング」と言います。このパーパスブランディングは、社会の様々な問題解決に貢献するという社会的な側面を持つのが特徴です。

エコロジー、持続可能(サスティナブル)、エシカル消費など近年のトレンドに共鳴させることで、正義感の強い企業であることをアピールすることができます。また、時代に敏感に反応し、具体的な対処法を示すことで、先見性と責任感のある企業であることを印象づけることができ、強力で効果的なブランディングが可能になります。

④PR活動でパーパスを伝える時の3つのポイント

●自社のビジネスと社会的問題の関連性を明確にする

エコや温暖化、少子化などの問題解決に関連したパーパスは比較的メディアに取り上げられやすいテーマではあるものの、広報PR担当者の役割は、あくまで自社のイメージアップとビジネスの認知を高めることなので、そこを忘れないようにしましょう。

●オーセンティシティ(確実性・信憑性)を明確にする

オーセンティシティ(確実性・信憑性)を表現した広報PR活動を行いましょう。企業の行動にはパーパスが伴うことが絶対条件です。パーパスと行動が一致していることを伝えることが重要なのです。広報PRでのメディアの選定やメッセージの内容など、パーパスのコンセプトに合っているか、今一度、オーセンティシティを再確認し、示すことが重要です。

●ありのままの姿を偽りなく伝える

当たり前の話ですが、広報PR活動では、企業のありのままの姿を伝えることが重要です。自社のことを必要以上に美化して見せたり、都合が悪いことを隠したりすることはやめるべきです。長所・短所どちらも含めて現在の企業のありのままを伝えることが大事です。特に強調することはしないにしても、企業の問題点などを正直に伝えることで、消費者や生活者が共感や親近感を持ってくれる場合もあり、思わぬブランドアップにつながります。

パーパスを取り入れたPR戦略の事例2選

① ソニーグループ株式会社

パーパス「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」

社内広報として、社員へのインタビューを実施し、ソニーグループのパーパスが自分の日常の業務の中でどのように表現されているかを記事にして連載。パーパスが全社員社員に共有されスムーズに浸透した一例です。

② 三井ホーム株式会社

パーパス「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」

パーパスを社員に浸透させるため、社内用の特設サイトを設け情報発信。また、ブランドを啓蒙するために、エバンジェリスト(最新のテクノロジーやトレンドを伝える役職)という部門を設け、育成のための研修「ブランドアカデミー」を実施しています。

まとめ 今後よりパーパスが必要とされる社会になる

SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンスの意味)などに関連したパーパスを実現すべく社会的問題に取り組む企業の姿勢は、ビジネスにおいても大きなブランド価値になります。また、先に述べた通り、採用活動や人材育成の場でも、時代にふさわしいパーパスに共感・賛同する人材の採用が叶い、社員が一丸となって目標達成に向けて邁進することが可能となります。

PR活動によりパーパスを打ち出すことで、企業は社会に対する存在意義をアピールすることができます。大切なことは、自社を取り巻くすべての関係者、ステークホルダー、一般消費者、生活者、すべての人の幸福を考えた取り組みを行っていくことです。

企業活動をすることで社会の課題を解決し、自社の関係者全員に幸福をもたらすというパーパスの考え方は、今後より必要とされていくでしょう。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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