今では、多くの企業がスポーツ関連団体へのスポンサーシップを通じて、自社商品やサービスの情報発信を行い、認知の向上やブランディングを行っています。スポンサーシップは、ブランドのイメージアップや認知の向上、販売促進といった、企業のマーケティング戦略として位置づけられています。
こうしたスポンサーシップを実施する場合、広報担当者としては、まず各種メディアや自社が持つWebサイトなどで、社会に向けて情報発信していくという業務が必要となります。スポンサーシップは、第一に「知ってもらうこと」が重要ですが、そのためにはスポンサーシップについての正しい理解が不可欠です。
今回の記事では、広報担当者が知っておくべきスポンサーシップの意味や目的、メリットデメリットなどについて解説していきたいと思います。
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スポンサーシップとは
スポンサーシップとは、企業がスポーツ団体やイベント、文化事業やキャンペーン活動に、金銭的な援助を行い支援することを言います。企業はそうした支援をすることによって、広報活動や広告の露出を行うことができます。選手が着用するユニフォームに企業名を表示したり、スタジアム内に企業のロゴを表出したり、また試合会場でPR映像を流したり、自社商品を物販したりと、スポンサーシップにはさまざまなパターンが見られます。
なお、スポンサーシップは企業にとって「見返り」があることが前提条件となるため、純粋な寄付とは異なります。
スポンサーシップマーケティングとは
企業がマーケティング戦略の一部としてスポンサーシップを行うことを、スポンサーシップマーケティングと言い、「ブランドの認知とイメージアップ」を主な目的とします。こうした目的を達成するために、企業はユーザーに向けて、さまざまなアプローチを行います。
ブランドの認知を高めたい場合は、スポーツであれば、企業名を冠に付けたチャンピオンシップマッチ(「〇〇カップ」や「〇〇杯」など)を創設したり、スタジアムのネーミングライツを行ったり、選手のユニフォームに企業ロゴを入れたり、といった施策が考えられます。
また、商品やサービスの実質的な販売促進を目的とする場合は、会場におけるサンプリングやクローズドの冠キャンペーンなどが有効です。
このように、目的やターゲットに合せて戦略的にスポンサーシップを行うことが、スポンサーシップマーケティングなのです。
急速に成長するスポンサーシップ市場
近年においては、スポンサーシップの市場が急速に拡大されています。その背景としては、企業が行う社会貢献に、ユーザーが大きく関心を持ち始めたことがあげられます。スポーツの振興や文化活動の支援は社会貢献という側面を持つため、これらの活動を推進するスポンサーシップは、企業の社会貢献度をアピールする絶好の手法と言えるのです。
スポンサーシップを行うメリット
続いて、企業がスポンサーシップを行うことによって得られるメリットについて、解説していきます。
①企業のブランディングができる
ブランドの向上は、広告を出稿したり、キャンペーンを実施したり、イベントを行ったりするだけでは、十分な効果が期待できません。企業はスポンサーシップを行う背景やストーリーをユーザーに情報発信し理解してもらうことで、ブランドに対する信頼感や親近感を持ってもらい、企業のイメージアップ、ブランド価値の向上を図ります。
②ユーザーや取引先との関係を構築できる
「スタグル」を初めとするスポーツ会場への出店やブースの開設、ファンイベントの開催や冠キャンペーンの企画など、スポンサーシップのさまざまな施策を通して、企業は、ユーザーと直接コミュニケーションを取るチャンスを得ることができます。また、これらの活動は、ユーザーに限らず、取引先やステークホルダーをターゲットにして行うケースもあります。スタジアムにおける「招待席」や「特別ラウンジ」の設置、ゴルフ大会の「プロアマ戦」などはその例です。
③企業のCSRへの取り組みとしてアピールできる
スポンサーシップは、それぞれのスポンサーが抱える課題解決を念頭に置いて、企画・構築されるものです。地域との密着を課題に持つスポーツチームに対しては、選手が地域活性につながるイベントに参加したり、人材の確保や育成を課題に持つスポーツチームに対しては、地元でのスカウティングを支援するなど、それらの取り組みは社会貢献につながります。
効果的なスポンサーシップを行うための留意ポイント
コストをかけて行う以上、企業はスポンサーシップで、最大限の効果を期待します。そのために必要なポイントを5つに分けてご紹介します。
①スポンサーシップの目的や意義を明確化する
スポンサーシップを実施することで、自社の抱えている課題や事業活動に、どのような利点をもたらすかを明確にし、具体性を持ったビジョンとして落とし込むことが重要です。目的がブランディングなのか、販売促進なのか、あるいはCSRを意識した社会貢献なのか、目的によって、スポンサーシップの施策が変わります。
②スポンサーシップを行う相手との親和性を重視する
スポンサーシップを行う際は、自社のフィロソフィ(理念)や事業内容とマッチするスポーツチームや団体を対象として選ぶことが大事です。地元の企業が地元のチームを支援したり、自社と同じスローガンをコンセプトにしているスポーツチームを応援したり、社会やユーザーが思わず納得するような親和性の高いスポンサーシップを組むことがポイントです。
③スポンサーシップを行うに至った経緯や背景を発信する
自社が、なぜ、このスポーツチームや団体とスポンサーシップを結ぶに至ったか、なぜ、このチームなのか、という経緯や理由をユーザーに、しっかり伝えることも重要です。そうした背景を情報発信することによって、ユーザーは企業の論理性を実感し、ブランドに対する信頼性を感じてくれます。こうしたスポンサーシップの背景は、自社のWebサイトやSNSなどさまざまなメディアを使って発信しましょう。
④一貫性を持ち、継続的な活動をする
スポンサーシップは、その対象となる相手のチームや団体の動向に、常に注意を払いつつ、ユーザーやファン、サポーターに、継続的に夢を届けられるような取り組みとしなければなりません。そのためにも、スポンサーシップは、さまざまな活動において一貫性を持ち、継続的で安定した展開を行う必要があります。
⑤トレンドに合った企画を実施する
メディアが企業情報を取り上げる際、スポンサーシップは、その話題性という点で、記事掲載のきっかけになります。メディアの関心を引くためには、時代性やトレンドを意識し、今の社会情勢にマッチした企画を立てることが大事です。
スポンサーシップによって広報の発信力を高めよう
スポンサーシップにおいて、支援したチームや団体が良い成績を収めれば、スポンサーシップを結んだ企業もまた、良いイメージで見られます。ネーミングライツしたスタジアムや施設が、利用者にとって高評価を受ければ、スポンサーである企業のイメージアップも促進できます。
これらの副次的な効果も視野に入れつつ、自社に相応しいスポンサーシップを実現してください。