スポンサーシップを成功させる重要ポイント5選とPR活用のメリットデメリット
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2023.06.22

スポンサーシップを成功させる重要ポイント5選とPR活用のメリットデメリット

今では、多くの企業がスポーツ関連団体へのスポンサーシップを通じて、自社商品やサービスの情報発信を行い、認知の向上やブランディングを行っています。スポンサーシップは、ブランドのイメージアップや認知の向上、販売促進といった、企業のマーケティング戦略として位置づけられています

こうしたスポンサーシップを実施する場合、広報担当者としては、まず各種メディアや自社が持つWebサイトなどで、社会に向けて情報発信していくという業務が必要となります。スポンサーシップは、第一に「知ってもらうこと」が重要ですが、そのためにはスポンサーシップについての正しい理解が不可欠です。

今回の記事では、広報担当者が知っておくべきスポンサーシップの意味や目的、メリットデメリットなどについて解説していきたいと思います。

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スポンサーシップとは

スポンサーシップ

スポンサーシップとは、企業がスポーツ団体やイベント、文化事業やキャンペーン活動に、金銭的な援助を行い支援することを言います。企業はそうした支援をすることによって、広報活動や広告の露出を行うことができます。選手が着用するユニフォームに企業名を表示したり、スタジアム内に企業のロゴを表出したり、また試合会場でPR映像を流したり、自社商品を物販したりと、スポンサーシップにはさまざまなパターンが見られます。

なお、スポンサーシップは企業にとって「見返り」があることが前提条件となるため、純粋な寄付とは異なります。

 

スポンサーシップマーケティングとは

企業がマーケティング戦略の一部としてスポンサーシップを行うことを、スポンサーシップマーケティングと言い、「ブランドの認知とイメージアップ」を主な目的とします。こうした目的を達成するために、企業はユーザーに向けて、さまざまなアプローチを行います。

ブランドの認知を高めたい場合は、スポーツであれば、企業名を冠に付けたチャンピオンシップマッチ(「〇〇カップ」や「〇〇杯」など)を創設したり、スタジアムのネーミングライツを行ったり、選手のユニフォームに企業ロゴを入れたり、といった施策が考えられます。

また、商品やサービスの実質的な販売促進を目的とする場合は、会場におけるサンプリングやクローズドの冠キャンペーンなどが有効です。

このように、目的やターゲットに合せて戦略的にスポンサーシップを行うことが、スポンサーシップマーケティングなのです。

 

急速に成長するスポンサーシップ市場

近年においては、スポンサーシップの市場が急速に拡大されています。その背景としては、企業が行う社会貢献に、ユーザーが大きく関心を持ち始めたことがあげられます。スポーツの振興や文化活動の支援は社会貢献という側面を持つため、これらの活動を推進するスポンサーシップは、企業の社会貢献度をアピールする絶好の手法と言えるのです。

 

スポンサーシップを行うメリット

続いて、企業がスポンサーシップを行うことによって得られるメリットについて、解説していきます。

①企業のブランディングができる

ブランドの向上は、広告を出稿したり、キャンペーンを実施したり、イベントを行ったりするだけでは、十分な効果が期待できません。企業はスポンサーシップを行う背景やストーリーをユーザーに情報発信し理解してもらうことで、ブランドに対する信頼感や親近感を持ってもらい、企業のイメージアップ、ブランド価値の向上を図ります。

②ユーザーや取引先との関係を構築できる

「スタグル」を初めとするスポーツ会場への出店やブースの開設、ファンイベントの開催や冠キャンペーンの企画など、スポンサーシップのさまざまな施策を通して、企業は、ユーザーと直接コミュニケーションを取るチャンスを得ることができます。また、これらの活動は、ユーザーに限らず、取引先やステークホルダーをターゲットにして行うケースもあります。スタジアムにおける「招待席」や「特別ラウンジ」の設置、ゴルフ大会の「プロアマ戦」などはその例です。

③企業のCSRへの取り組みとしてアピールできる

スポンサーシップは、それぞれのスポンサーが抱える課題解決を念頭に置いて、企画・構築されるものです。地域との密着を課題に持つスポーツチームに対しては、選手が地域活性につながるイベントに参加したり、人材の確保や育成を課題に持つスポーツチームに対しては、地元でのスカウティングを支援するなど、それらの取り組みは社会貢献につながります。

 

効果的なスポンサーシップを行うための留意ポイント

コストをかけて行う以上、企業はスポンサーシップで、最大限の効果を期待します。そのために必要なポイントを5つに分けてご紹介します。

①スポンサーシップの目的や意義を明確化する

スポンサーシップを実施することで、自社の抱えている課題や事業活動に、どのような利点をもたらすかを明確にし、具体性を持ったビジョンとして落とし込むことが重要です。目的がブランディングなのか、販売促進なのか、あるいはCSRを意識した社会貢献なのか、目的によって、スポンサーシップの施策が変わります。

②スポンサーシップを行う相手との親和性を重視する

スポンサーシップを行う際は、自社のフィロソフィ(理念)や事業内容とマッチするスポーツチームや団体を対象として選ぶことが大事です。地元の企業が地元のチームを支援したり、自社と同じスローガンをコンセプトにしているスポーツチームを応援したり、社会やユーザーが思わず納得するような親和性の高いスポンサーシップを組むことがポイントです。

③スポンサーシップを行うに至った経緯や背景を発信する

自社が、なぜ、このスポーツチームや団体とスポンサーシップを結ぶに至ったか、なぜ、このチームなのか、という経緯や理由をユーザーに、しっかり伝えることも重要です。そうした背景を情報発信することによって、ユーザーは企業の論理性を実感し、ブランドに対する信頼性を感じてくれます。こうしたスポンサーシップの背景は、自社のWebサイトやSNSなどさまざまなメディアを使って発信しましょう。

④一貫性を持ち、継続的な活動をする

スポンサーシップは、その対象となる相手のチームや団体の動向に、常に注意を払いつつ、ユーザーやファン、サポーターに、継続的に夢を届けられるような取り組みとしなければなりません。そのためにも、スポンサーシップは、さまざまな活動において一貫性を持ち、継続的で安定した展開を行う必要があります。

⑤トレンドに合った企画を実施する

メディアが企業情報を取り上げる際、スポンサーシップは、その話題性という点で、記事掲載のきっかけになります。メディアの関心を引くためには、時代性やトレンドを意識し、今の社会情勢にマッチした企画を立てることが大事です。

 

スポンサーシップによって広報の発信力を高めよう

スポンサーシップにおいて、支援したチームや団体が良い成績を収めれば、スポンサーシップを結んだ企業もまた、良いイメージで見られます。ネーミングライツしたスタジアムや施設が、利用者にとって高評価を受ければ、スポンサーである企業のイメージアップも促進できます。

これらの副次的な効果も視野に入れつつ、自社に相応しいスポンサーシップを実現してください。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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