リモートワークの普及やフリーアドレス制の導入など、働き方が変り多様化している今、「ワーケーション」が注目を集めています。でも、言葉としては聞いたことがあっても、ワーケーションの意味や役割、企業にとってのメリットや運用法など、まだ理解できていない広報担当者の方も、いるのではないでしょうか。
今回の記事では、そんなワーケーションについて詳しく解説していきたいと思います。同じような意味合いで使われる「ブレジャー」との違いや、ワーケーションを行うための条件、ワーケーションを広報活動に生かす取り組みなどについてもご紹介したいと思います。
人気記事:おすすめPR会社一覧!20社の特徴・強みをカオスマップで分類
ワーケーションとは
「最近、よく耳にするんだけど、ワーケーションってなに?」
「ワーケーションって、どんな働き方なの?」
「え?ワーケーションって休みの日も仕事するの?」
最近、オフィスで、このような会話が交わされていませんか。新しい働き方として注目されているワーケーションですが、その意味や目的については、まだまだ十分な理解がなされていないようです。
ワーケーションとは、ワーク(Work)とバケーション(Vacation)を合わせた言葉で、普段働いているオフィスから離れた観光地やリゾート地などで休暇を取りながら働くことです。仕事と休暇両方のバランスを取り、楽しく仕事をすることで、心身共にリフレッシュでき、社員のモチベーションアップや、有給休暇の取得率向上につながります。ちなみに、厚生労働省の指針の中では、ワーケーションはテレワークの一部と位置づけられています。
*参考:厚生労働省のワーケーションの解説について
ワーケーションには、自らの技術やノウハウを生かして地域の課題解決に寄与する「地域課題解決型」、研修や合宿を行いながら活動する「合宿型」、地方の支社・支店、レンタルスペースなどを利用して仕事をする「サテライトオフィス型」、などがあります。そして、ワーケーションは、企業が環境を整備し提供してくれるケースと、自らのスキルを磨くため、自費で行うケースの2つのスタイルに大別できます。
ブレジャーとの違い
ブレジャーとは、ビジネス(Business)とレジャー(Leisure)を組合わせた言葉で、業務で出張した際、業務が終了した後に滞在を延長し、余暇を楽しむことを言います。1日というスパンの中で、仕事と休暇のバランスを取りながら働くワーケーションに対し、ブレジャーは、仕事をする日と休暇を楽しむ日を、しっかり分けるスタイルとなります。
ワーケーションのメリット
それでは、ワーケーションを実施した場合のメリットを、社員、企業、地域、それぞれの視点から見ていきましょう。
①社員にとってのメリット
オフィスを離れ、自分のペースで業務が行えるワーケーションは、心身ともにリフレッシュでき、生活にメリハリがつくため、仕事がはかどり、集中力が向上します。開放的な環境においては、精神的にも肉体的にもストレスの軽減が図れ、仕事の効率やモチベーションのアップにもつながります。また、社員にとっては、有給休暇を取得しやすい、働き方の選択肢が広がる、などのメリットが考えられます。
②企業にとってのメリット
ワーケーションを採用している企業は、そこで働く社員にとって魅力的な企業です。時代に即した新しい働き方の導入や、地域活性化に向けた積極的な取り組みは、間違いなく企業イメージの向上を促し、採用面やステークホルダーとの関係性に大きく役立ちます。人材獲得や離職防止の点でも効果が期待できるでしょう。また、社員のモチベーションや満足度の向上が期待でき、離職率の減少にもつながります。
③地域にとってのメリット
ワーケーションを受け入れる側の地域にとっては、場所や環境を整備し用意することで、地域にお金を落としてくれる財源の確保や、ワーケーションに関係する人口の創出、企業誘致の契機構築、地域の課題解決、など、さまざまなメリットがあります。また、ワーケーションによって、地方や地域の魅力に触れてもらい、その魅力を広く発信してもらうことで、地方創生の一助とすることができます。
ワーケーションのデメリット
このように多くのメリットを持つワーケーションですが、一方で留意すべきデメリットもあります。ここは、しっかりと押さえておきたいところです。
①社員にとってのデメリット
ワーケーションを行う場合は、業務に必要な作業スペースやWi-Fi環境(の整備)などが不可欠です。そうした条件をクリアした「仕事をする場」を確保しなければなりません。また、機密情報を扱う社員は、データなどを社外に持ち出すことができないため、オフィスからの移動ができず、ワーケーションができないといったいケースもあります。
そして、「遊びに行くのに、仕事はしたくない」、「仕事に集中できないのでは」、といった声があることも事実です。そういった方には、「合宿型」や「サテライトオフィス型」のワーケーションをお薦めします。
②企業にとってのデメリット
ワーケーションでは、社員が会社と離れた場所で仕事をするため、労務管理や人事評価が困難になるという側面があります。そんな場合は、例えば、労働成果制やジョブ型雇用制を導入して、ワーケーションを推進しても良いでしょう。部著長とメンバーがSlackやRedmineなどの社内ネットワークを使って、常に細かなコミュニケーションを取り、業務全般の情報共有をすることも重要です。
③地域にとってのデメリット
ワーケーションで地域に来る人たちに、最適な仕事環境を整えようとすると、スペース、通信システムの整備、それに伴うハード機器など、受け入れ準備にコストが発生します。しかしながら、見込んだ程の利用者がない場合、各設備に維持費がかかってしまい、赤字になるケースもあります。
ワーケーションを行う際の大事なポイント
次に、充実したワーケーションを行うために、そして、ワーケーションの満足度を高めるために、大事なポイントをご紹介します。
①インフラが整備されている場所を選ぶ
ワーケーションにおいて、欠かせないのが、Wi-fi環境です。まずは、Wi-fi環境が整っているか確認しましょう。また、周囲の音や、人の往来、空調、作業スペースの広さ、などにおいても最適な場所を探すことが重要です。
②地域との交流を深める
地域との交流によって得られる刺激と学びは、ワーケーションの大きな醍醐味です。地域の人や行政との交流ができるコンテンツやイベントには積極的に参加しましょう。
③体感して感じてみる
体を動かして楽しめる場所やイベント、コンテンツに参加することもワーケーションの選択肢の一つです。心身のリフレッシュは、仕事の効率化とモチベーションのアップにつながります。
まとめ
今回の記事では、ワーケーションの意味、メリットや導入する際のポイントなどについて、解説してきました。ワーケーションの導入は、多様な働き方を促進し、社員のエンゲージメントを高めるという意味で、企業イメージが大きく向上されます。一方で、受け入れる側の地域にとっても、地方創生の足がかりとなります。
これから、ワーケーションを導入しようとしている企業担当者の方、適切な準備と効果的な運用で、ワーケーションを実施し、企業のブランド向上と総合力強化につなげてください。