広報とブランディングの関係性を解説!企業の最重要課題、コーポレートブランディングとは
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2023.06.22

広報とブランディングの関係性を解説!企業の最重要課題、コーポレートブランディングとは

広報活動のひとつに、ブランディング戦略があります。ブランディング戦略__よく聞く言葉ですが、通常行っている商品やサービスの広報PR活動とは別物と考えた方が良いでしょう。両者は、基本的な部分で関連性を持つものの、企画の立て方や戦略上の意味合いなどにおいて大きな差異を持っています。

ブランディング戦略を策定し、実際に取り組んでいこうとする時、、そもそも「ブランディング戦略とは何か」をしっかり理解していないと、企画の立案も上手くいかず、その効果も期待できません。今回の記事では、そんなブランディングの持つ意味や重要性、具体的な戦略などを解説していきたいと思います

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ブランディングとは

コーポレートブランディング

広報業務をやっていると、よく耳にする言葉に「ブランド」と「ブランディング」があります。まず最初に、この言葉の意味から解説していきます。

●ブランドとは

ブランドとは、商品やサービスが本来持っている「機能」としての商品価値に加えて、ユーザーが少々割高な対価を払ってでも購買したいと思える価値を言い、その裏付けとなるイメージによって醸成されます。ブランドは、企業のイメージを高めることによって、自社の商品やサービスの価値を高め、ユーザーの中に固定したファン作り出す目に見えない力を持っています。

●ブランディングとは

ブランディングとは、企業などが自社の商品やサービス、そして、自社そのもののブランド形成を目的として行うコミュニケーション戦略を言います。ブランドは、企業サイドだけで一方的に構築できるものではなく、企業とユーザー(生活者)が相互に作り上げるイメージで、両者の間で共有されなければなりません。そのイメージを戦略的に形成して行くために、企業が行う戦略がブランディング戦略です。

 

コーポレートブランディングを行う目的とメリット

それでは、企業がコーポレートブランディングを行う目的とメリットについて、3つのポイントに分けてご紹介していきます。

①ユーザー(顧客)のロイヤリティを向上させることができる

ロイヤリティとは忠誠心という意味ですが、マーケティング的には、ユーザーが企業に感じる信頼感を言います。ブランディングは、ユーザーのロイヤリティを高めることを目的とし、自社に対してブランド価値を持ってくれるユーザーとの関係を強化し、継続させることができるのです。そして、その結果として、自社の商品やサービスを長期的に利用してくれるファンを育成できます。

②他社の商品やサービスと差別化できる

自社の商品やサービスが他社のものと比べて、機能面・価格面で大きな差がない場合でも、ブランドイメージの醸成によって、ユーザーに他社商品との違い(優位性)を感じてもらうことができます。同じ価格、同じスペックの商品でも、イメージ的に優位に立つブランドを持った商品の方を選ぶのがユーザーの心理というものです。

③コラボレーションの機会を創出できる

ブランディングは、コラボレーションの機会創出にも大きく役立ちます。ブランディングによって、企業のイメージが向上すれば、他の業界や業種からも注目を浴び、ブランドの価値を軸にした、さまざまなコラボ企画が実現するチャンスが創出できます。

 

広報によるブランディング戦略の流れと立案の仕方

ブランディングを行うメリットを理解したら、次は企画・立案のプロセスと留意するべきポイントを見ていきましょう。

①コンセプトを設計する

まず、自社が目指すブランドイメージのコンセプトを設計します。ユーザーやステークホルダーに、どんなイメージを持って欲しいのか、どんな会社に見られたいのかを熟慮し、ブランドが持つ品質や価値の内容を明確にしていきます。この場合は、社長や経営陣が持つビジョンや意向をしっかりヒアリングして、コンセプトを設計することが必要です。

②ターゲットを決める

まず、ブランディングを行うターゲットを選定しましょう。ブランディングは、世の中の全ての人に対して行うという広義の解釈がある一方で、近年、企業は特定の層を狙ったきめ細かなブランディングを行っているのも確かです。どの層にブランドを訴求するのか、どの層が自社のブランドのファンになってくれるのか、など、具体的なターゲットを選定することが重要です。

③自社の強みを分析し、把握する

①で述べた「コンセプトの設計」にも含まれますが、自社の強みを分析し、把握することを、まず念頭に置いてください。他社と差別化する時は、自社の強みをポイントにするのが常道ですが、ブランドを訴求するターゲットによって、その強みの内容も微妙に変わる場合があります。機能面の強みだけでなく、感性的な強みにも目を向けて、ターゲットに合った的確な強みを打ち出しましょう。

④ターゲットへの訴求方法を考える

自社のブランドにユーザーが触れる場所や、どのような形で関わっているのかを検証して、狙ったターゲットに最も有効なメディア(媒体)やツールを選定します。若い世代をターゲットにした場合、新聞を使って情報発信しても大きな効果は望めません。そんな場合は、WebサイトやSNSの利用を考慮に入れるべきです。

ターゲット層のライフスタイルと、それぞれのメディア(媒体)の特性を掛け合わせて効果的なブランディング戦略を組み立てましょう。

 

ブランディングを成功に導く4つのポイント

①発信する情報に一貫性を持たせる

発信する情報に一貫性がないと、ユーザーはブランドを正しく認知してくれません。それどころか、情報ごとのブレや矛盾点にユーザーは拒否反応を示すようになり、ブランディングとは逆の結果を招いてしまいます。媒体によって発信する情報の表現は違っても、主旨やポリシーを変えずに一貫性のあるメッセージを発信してください。

②継続して行う

ブランディング戦略は継続して行うことが重要です。ブランディングは短期間で成果が出るものではありません。長期に渡り継続的に施策を実施することで、成果が出るのです。ブランドの構築は、性急に成果を求めることなく、企業とユーザーが一緒になって作っていくという気持ちで、少しずつコツコツと進めていくことを心がけてください。

③一定の期間を定めて効果測定を行う

ブランディングは短期間で効果が出づらいと書きましたが、その分、定期的に効果を検証することで、戦略がうまくいっているのか、把握・検証することができます。効果測定を行う際には、最初に定めた目標を再確認し、また軌道修正や微調整することもできます。

④戦略を改善する

ブランド戦略は必要に応じて、定期的に改善することも大事です。企業のブランドは時代のトレンドや社会情勢など環境の変化に伴って、見直す必要があるからです。③で述べた効果測定を参考にして、常に新しい発想でターゲットにアプローチする施策を模索してください。

 

広報戦略の一環にコーポレートブランディングを据えよう

今回の記事では、ブランディングについての解説をしてきました。ブランディングは、外部に発信する広報活動と捉えられがちですが、実は、自社の強みやイメージを整理し強化するという社内業務をベースにしているのです

ブランディングはすぐに成果が出るものではありませんが、長期に渡り継続的に情報発信することで大きな効果が期待できます。コツコツと粘り強く自社ブランドの育成に取り組んでください。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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