現役記者がメディアキャラバンの重要性を解説!広報活動は長期的な人脈形成が大切
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2023.06.22

現役記者がメディアキャラバンの重要性を解説!広報活動は長期的な人脈形成が大切

新型コロナウィルスの猛威も落ち着きを見せ始め、穏やかな収束段階を迎えています。場所によっては、マスクの着用がマストではなくなり、これまでリモートワーク中心だった働き方も、徐々に出社勤務へと戻す企業が増えています。

そのような社会背景を受けて、対人で広報活動を行う「メディアキャラバン」の重要性が、今、再び見直されています。今回の記事では、広報活動の基本とされる「メディアキャラバン」について、その進め方や効果について解説していきたいと思います。

コミュニケーションの原点は「人に会う事」。フットワークを使って広報活動する意味を、そしてface to faceで情報を伝える重要性を、改めて考えてみます

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メディアキャラバンとは

メディアキャラバン

メディアキャラバンとは、自社の商品サンプルやサービスの資料、提案書、最新のプレスリリースなどを持って、様々なメディアを訪問し、広報活動することを言います。メディアの担当者に直接会うことで、自社の商品やサービスの特徴や差別化ポイントをしっかり伝えることができます。

メディア各社に、自社の商品やサービスの情報を持ち込むと聞くと、何やら「営業」というイメージがありますが、実際、メディアキャラバンは「広報業務における営業活動」と位置付けられることもあります。営業と聞くと、違和感を覚える方もいるかも知れませんが、メディアキャラバンは広報活動の根幹をなすメディアリレーションの一部であり、非常に重要な戦術です。

 

メディアリレーションとの違い

メディアを訪問して情報発信する、そして担当者との密なコミュニケーションを構築する、と聞いて「メディアリレーション」を連想した方もいるのではないでしょうか。

この二つは混同されることが多いのですが、メディアリレーションとは、メディアとの良好な関係を作り維持するという全体的な呼称であるのに対して、メディアキャラバンはメディアリレーション構築の中の一つの活動です。つまり、メディアリレーションという概念の中にメディアキャラバンが含まれるという関係になります。

 

メディアキャラバンの効果

メディアキャラバンは、広報担当者が直接メディアに足を運ぶことになるため、当然、プレスリリースやメールを配信するだけの広報活動に比べ、時間も費用もかかります。ただ、メディアキャラバンには、それらのコストを差し引いても、大きな効果を得られるポテンシャルを秘めているのです。それでは、メディアキャラバンの効果について見ていきましょう。

①メディアリレーションを構築することができる

多くのメディアを訪問することで、メディア担当者に自分の顔と名前を覚えてもらうことができ、メディアとの関係性を築くきっかけとなります。

②自社商品やサービスの認知と理解を広めることができる

自社の商品やサービスに対する認知・理解を促進させることができるのも効果の一つです。これは、メディアの特性と情報の親和性を高めることで、更なる効果が期待できます。

③メディアのニーズを把握することができる

メディア担当者と直接会える機会ですから、メディア側の情報や要望をヒアリングしてみるのも良いでしょう。メディア側のニーズを知ることができれば、継続的な関係性を維持するヒントとして役立てることができます。

 

メディアキャラバンを行う7つのステップ

メディア担当者と直接対面でき、情報を詳しく説明できるといったメリットを持つメディアキャラバンですが、では、どのように進めていけば良いのでしょう。そのプロセスを追いながら、7つのステップを解説していきます。

①企画を作る

まず最初は、企画作りから始めます。メディアキャラバンを行うことによって、メディアの担当者に何を伝えたいのか、要点を整理してまとめます。

メディアキャラバンを行う時、対象となるメディアは、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の各社、Webサイトの主催会社など様々です。そして、それぞれのメディアが持つターゲット層や、情報発信の周期なども多岐に渡ります。訪問先のメディアの特徴を調べ理解し、その媒体特性に合った切り口を用意しましょう。

②メディアを選定する

伝えたい情報を、どのようなメディアに取り上げてもらい、どのような成果が欲しいのか、目的とゴールをしっかり設定した上で、メディアの選定を行います。この場合、①で述べたように、各媒体の特性を十分理解することが重要です。

また、やみくもに多くのメディアを訪問するのではなく、自社の商品やサービスのターゲット層が利用し接点が多いメディアをリストアップすると良いでしょう。リストアップした上で、そのメディアが扱うことが多い情報や過去の掲載事例などを調べておくことも必要です。

③サンプル品や資料を準備する

せっかくメディアの担当者と会って話ができるのですから、電話やメールでは伝えられないものや、face-to-faceの対面だからこそできるアピールの仕方を考えましょう。

メディアの担当者に紹介したい商品やサービスのサンプル、資料を用意します。直接手に取れる商品のサンプル品は、文章や画像だけで情報を伝えるより、はるかに大きな広報効果を持ちます。

また、各メディアの特性を考慮した上で、違った切り口からのアプローチを用意しておくのも良いでしょう。メディアの担当者が求める情報をそのメディアに適した形式で提供できるよう準備することも大事です。

④アポ取りをする

メディアの担当者には、日々大量のプレスリリースが届きます。それらの情報に目を通すだけでなく、たくさんの関係者との連絡や交渉、取材や編集など、担当者は多忙を極めています。自社名、伝えたい情報内容、希望日時などを簡潔にまとめて、アポイントを取るのが良いでしょう。

⑤メディアを訪問する

メディアを訪問する時の注意点は、「必要な情報を簡潔に伝えること」と「メディアサイドの要望に応える」の二つです。訪問先のメディアの特性に合った情報や資料を用意しておきましょう。

⑥訪問後のお礼、アフターフォローをする

メディアキャラバンを実施した後には、訪問したそれぞれのメディアに対してアフターフォローを行います。キャラバンの実施で、すぐに取材・掲載という運びにならなくても、訪問したメディア担当者にお礼のメールを送るなど関係性を継続しておくことが大事です。

⑦結果をまとめて検証する

メディアキャラバンによって、何件の取材があったか、何件のメディア掲載があったか、などに加えて、訪問したメディアとの信頼関係、担当者とのコミュニケーション、反省点や課題を検証します。

次回のメディアキャラバンを行う際に、今回設定した目的が正しかったのか、掲載依頼に無理がなかったか、などを見直すためにも、結果を検証することは大事な作業となります。

 

メディアキャラバンで長期的な人脈形成を行おう

メディアキャラバンは、自社商品やサービスを、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Webメディアなど、各メディアに紹介し、興味を持ってもらい、媒体上に情報を掲載してもらうための広報活動です。また、メディアキャラバンは単発の情報提供にとどまらず、メディア担当者との良好なコミュニケーション構築のチャンスでもあるため、今後を見据えた長期的な人脈の形成や情報収集の手段として活用することをお薦めします。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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