テレビ番組に取材してもらうためのカギは「体験」にある【広報の必勝知識】
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2021.01.23

テレビ番組に取材してもらうためのカギは「体験」にある【広報の必勝知識】

近年、いわゆる「街歩き番組」が増えてきています。
例えば、「モヤモヤさまぁ~ず」や「有吉くんの正直さんぽ」などですね。

広報担当者である以上は、「街歩き番組が多いなあ」とぼんやりと考えるだけでなく、なぜ街歩き番組が多いのか、その理由の部分を考察してみましょう。

テレビ番組に「街歩き番組」が多い3つの理由

●理由1:視聴率が取りやすい

最もシンプルな理由として「視聴率が取りやすい」という事があります。
何を当たり前のことを……と感じるかもしれませんが、
「全てのテレビ番組は視聴率を取るために作られている」と強く意識しておくと、広報担当者としての活動内容も研ぎ澄まされていくはずです。

では、なぜ視聴率を取りたいのでしょうか。

それは、CMスポンサーに喜んでもらうため、そして「CM枠の価格」を上げるためです。

視聴率が上がれば多くの人がCMを見るのでスポンサーが助かります。少し夢がないように感じたかもしれませんが、「視聴者に喜んでもらうため」というのは、その副産物のようなものです。
ですから、広報としては「テレビを観る人に喜んでもらうため」ではなく、「視聴率を取るため」と考えて、プレリリースなどを送ると視界が開けるかもしれません。

また、もっと具体的な話として「スポンサーNG」にも気を付けなければなりません。
これは例えば、「自動車会社がスポンサーである(自動車のCMが流れる)場合、その番組で自動車事故などのネタを扱うことは(基本的に)できない」というものです。

もちろん、他の自動車メーカーのネタが扱われることは絶対にありません。

さらには、一例として「自転車ネタ」「ウォーキングネタ」なども、「車離れにつながる」という理由で扱えない可能性があります。「自動車に関するポジティブなネタ」であっても、「全ての視聴者がポジティブに受け取ってくれるか分からない」「色々と考えると面倒なので、車ネタは全てNGにする」などの理由で、扱われない可能性があります。

ですから、取り扱ってほしい番組がある場合は、まずその番組のCMスポンサーを調べましょう。ネット検索で簡単に分かります。

●理由2:コストを抑えることができる

スタジオ収録よりも、ロケ収録のほうがコストを抑えることができます。
ここで言う「コスト」という言葉には、「お金」という意味も「人員・労力」などの意味もあります。

取り扱ってほしい番組がある場合は、取材方式が「テレビスタッフ側がお金を使わないとできない取材」にならないようにしましょう。

と言っても、広報はテレビ収録のプロではありません。

ですから、だんだんとテレビ関係者との人脈も広げていく中で、知り合いになったディレクターなどにそれとなく聞いてみましょう。

●理由3:「体験取材」がしやすいから

これが最も大きな理由です。

体験取材とは、文字通り「レポーター・アナウンサー・芸能人などがその場で体験できる取材」のことです。例えば、「新商品を試してもらう」ですとか「新しいメニューを食べてもらう」などですね。

テレビスタッフ側にとっての体験取材のメリットについて、次項でさらに詳しく解説します。

テレビスタッフ側にとっての「体験取材」のメリットは主に3つ

1:動きのある映像になる

・ただ単に新商品の外観を捉えるだけの映像
・レポーターが新商品を試す映像

どちらが面白いでしょうか。言うまでもなく後者です。なぜなら、後者の映像のほうが「動き」があるからです。
人間は「画像(に近い映像)」よりも、「動画」のほうが興味を示しますし、見ていて退屈を感じにくいものです。

「動きのない何か」を映すだけでは3秒も持ちませんが、動きのある映像であれば視聴者に「しつこい」と思われない限りは問題ありません。

2:「リアルなコメント」には説得力が生まれる

インターネットが普及するにつれて、「他人の色々な意見・感想」などを浴びるように読むことができるようになりました。

そのため、特に若い世代の人は「嘘っぽいコメント」と「本当であろうコメント」を鋭く見抜くようになりました。具体名は出しませんが、近年では「ステルスマーケティングのせいでむしろ信頼を失ったもの」も少なくありません。

そして、一度「この番組のコメントはいちいち嘘っぽい」などと思われてしまえば、どんどん視聴者を失っていく可能性があります。

ですが、リポーター・アナウンサー・芸能人などが「体験してその場で出すコメント」であれば臨場感があるので、「本当っぽい」と思ってもらいやすくなります。

最近では、例えば飲食店のメニューに対して「面白い味……」と言ったり、ある製品に対して「う~ん。ユニークですね……」とこぼしたりなど、「無理に絶賛するくらいなら、(ネガティブな印象になり過ぎない範囲で)リアルな感想を言ってくれたほうがいい」と考える視聴者も少なくありません。

3:「私も体験できる」という感覚が重要

「テレビに映る有名人や特別な関係者しかできない体験」ではなく、「テレビを観ている人が誰でもしようと思えばできる体験」が取材の中に入っていると取材されやすくなります。

実際、自分が行く飲食店や買う商品をテレビ番組から決める人もいます。

全ての広報担当者は「どうすればテレビで紹介された後に、視聴者も体験できる形になるのか」を考えて、それを満たすように構築してからプレリリースなどを送りましょう。

 


執筆者・監修者
上岡正明
テレビコメンテーター・経済記者
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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