年頭所感をプレスリリースで作成・配信する注意点と6ステップを解説
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2025.03.14

年頭所感をプレスリリースで作成・配信する注意点と6ステップを解説

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、年頭所感を作成・配信するまでの流れをステップ分けして解説していきます。

「年頭所感」をテンプレート的・決まり事的に作成している企業も少なくありませんが、広報・PRに活用してみてはいかがでしょうか。

本記事では、年頭所感の概要、年頭所感と広報・PRの関連性、年頭所感を配信するべき理由、そして年頭所感を作成・配信するまでのステップなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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年頭所感とは?|広報・PRとの関連性は?

年頭所感(ねんとうしょかん)とは、「年始に、様々なステークホルダーに向けて、前年の取り組み実績、今年の目標、今年の取り組みや豊富」などを広く伝えること、もしくはその内容のことを指します。

そもそも年頭所感とは?

年頭所感とは経営者やその業界のトップが年明けに発表する所感のことを指します。主に、その年のトピックを反映している場合があります。

年頭所感は基本的に広く「発信」するものですから広報・PR部署が主導するべきです。また、各種情報・意向・意気込みを広く発信することで、結果的に売上アップなどにつながる可能性もあります。そして「発信」によって、直接的・間接的に売上向上を目指すのは、まさに広報・PR部署の仕事といえます。

広報・PRで年頭所感を配信するべき3つの理由

それでは広報・PRで年頭所感を配信するべき理由を3つ紹介します。逆に言えばこれらの理由に沿う、有意義な年頭所感を作成する必要があります。

理由①:実績などを伝えてブランディングができる

前年度の活動実績、新年度の目標、現在取り組み中・取り組み予定の企画などを幅広く伝えること。

それはすなわち「我が社はこのような活動に取り組み、今後も取り組んでいく企業です」と宣言していることに他なりません。これは企業のブランディング活動の一環として、かなり強力なものといえます。

理由②:キーワードを入れて今後の広報・PR活動の布石を打てる

年頭所感に「今年力を入れることのキーワード」を含めることで、その後の広報・PR活動の布石を打つことができます。

「このキーワードのことを頑張ります」と宣言するのでステークホルダーも期待・安心しますし、メディア関係者にも興味・関心を持ってもらえるかもしれません。

理由③:長期目標を表明できる

今年分はもちろんですが、それ以上の長期目標を年頭所感で表明することもできます。

特に長期目標については「一応存在するだけで社員も覚えていない」などになっている企業も少なくないのではないでしょうか。年頭所感を作成することで、その状況を脱却できるかもしれません。

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広報・PRで年頭所感を作成・配信するまでの流れ6ステップ

それでは広報・PRで年頭所感を作成・配信するまでの流れをステップ分けして解説していきます。「ただの定型的なあいさつ」で終わらせないためには、しっかりとした準備が必要ですので早めに動き出しましょう。

ステップ①:前年度実績の振り返り+社会情勢の振り返り

まずは自社の前年度の実績を振り返ります。ポイントは「何をしたか」という単純情報だけでなく、「それにより何が起きたか」という情報も書くことにあります。

なお前年度も年頭所感を作っているのであればそこに目標を書いたはずなので、それを達成できたかという視点でも実績を確認しましょう。「前年度の目標はこうで」→「目標を達成できました(できませんでしたが○○でした)」→「だから今年の目標はこうです」と書けると、ステークホルダーからの信用が強まります。

また、自社の実績のみならず、社会情勢などの外部要因も振り返ることが大事です。そして「自社のこの実績には、○○(なんらかの外部要因)の変化も関係している」などの趣旨で書きます。すると振り返りに具体性が生まれますし、ステークホルダーも「きちんと社会情勢を理解している」とさらに安心します。

ステップ②:今年度、力を入れることを整理する|キーワード選定

続いて今年度に力を入れることを整理します。ここで具体的なキーワードを出すことで文章をまとめやすくなりますし、発信を受け取る側の理解を助け、さらにインパクトを生むこともできます。

ただ、他の項目にも言えることですが、他部署からヒアリングしたり相談したりしないとわからないことが多いはずなので、早めに動き出しましょう。そうすることで今後の具体的な広報・PR計画も練りやすくなります。

ステップ③:年越しの長期計画があればその現在地点と、これからの目標を確認する

目標達成までに数年かかる長期計画に取り組んでいる場合は、その現在地点(進捗状況)を確認しましょう。

その上でこれからの目標について今一度整理します。特に「一応存在しているだけの目標になって、見直しもできていない」という場合はこれを機にメスを入れることをおすすめします。見直した結果「この目標は捨てる」となったのであれば、特別に質問されない限りは伏せて構いません。

また、「達成したい目標であり取り組んでいるものの、現時点で達成までのビジョンが見えない」という場合もあると思います。そういったケースでも一切進捗していないことはないはずなので、きちんと整理しましょう。現在地をハッキリさせるだけでも、ステークホルダーやメディア関係者などからの共感を得られるかもしれません。

ステップ④:ここまでの内容を整理して、年頭所感の大枠を作成する

ステップ③までできたら、ここまでの内容を整理して、年頭所感の大枠を作成しましょう。一律の形式はないので、企業のカラー、地域性、業界性などを踏まえて、「情報が整理されつつ、個性と少しの楽しさを感じる文書」にまとめるのが理想です。

ただ、誰が読んでも簡単に理解できる文書でなければならないので、専門用語の使い方などには気を付けてください(無理に難しい言葉を使わない)。

また、この段階で経営陣など上層部からのチェックも受けて、修正・調整をしておくと後が楽になります。

ステップ⑤:大枠をベースにしてプレリリースのようにまとめる

作成した大枠をベースにして、普段のプレリリースのようにまとめましょう。この段階で大枠から内容がガラッと変わることはないと思いますが、内容を一つひとつ丁寧にチェックして、間違い、誤解を生む表現、理解しにくい表現などを潰すことは大事です。

ステップ⑥:配信・公開する

完成した年頭所感を多くの人に見てもらうために、PR TIMESなどのサイトで配信・公開しましょう。また、企業公式サイトなどにも載せて構いません。ただ、公式サイトに載せるにしてはボリュームがありすぎるという場合は、適度にカットしてまとめることをおすすめします。

なお配信時期は1月上旬にしておくといいでしょう。それ以上に遅れると「年頭」感がなくなり、読まれにくくなる恐れがあります。

✅社員にも共有する

年頭所感には自社社員にとっても大事な情報が掲載されているはずなので、社内ネットワークなどを通じて社員にも共有することをおすすめします。

✅メディア関係者に直接、年頭所感を送ることは基本的にしない

普段のプレリリースであればメディア関係者に直接送ってメディア掲載を狙うことも大事です。ですが年頭所感は様々な情報をまとめているため、そのまま記事・番組にするようなものではないので、メディア関係者にダイレクトに送ることは基本的におすすめしません。

✅必要に応じて動画でも年頭所感を公開する

必要に応じて動画でも年頭所感を公開することをおすすめします。文章よりも臨場感をもって伝えることができますし、そもそも「文章は気が進まないけれど動画なら観る」という人も少なくありません。

また、動画で社長が話すことによって「親しみが持てる」「気取っていない」などと思ってもらえるので、ブランディングの方針によっては出演してもらってみてはいかがでしょうか。

なおテキスト版の年頭所感に動画のリンクを貼る、動画の概要欄にテキスト版へのリンクをつけるなど、それぞれを接続することも忘れないようにしましょう。

年頭所感をプレスリリースで作成する際のコツと注意点まとめ

年頭所感を単なる「企業による新年のあいさつ」にしてしまうのはもったいないので、本記事の内容を参考にしながら広報・PRに活かしていただければと思います。企業が長期的な目標を自然に語ることのできる機会は意外と少ないです。

ただ、ここまでお読みいただいた通り、年頭所感を作成・配信するまでには意外と期間・労力を要しますので早めに動き出すことをおすすめします。最初の1年分(1回分)を書くことができれば要領を掴めますし、翌年以降にある程度流用できる部分も出てくるので頑張ってください。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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