大学広報とは?差別化を図るための大学広報のポイントと4つのルール
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2026.02.05

大学広報とは?差別化を図るための大学広報のポイントと4つのルール

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今、大学における学生獲得競争は激化の一途を辿っています。18歳以下の人口減少と相次ぐ大学数増加に伴ういわゆる「2018年問題」が現実のものとなる中、入試広報では、大学のコンセプト(訴求ポイント)をつくり効果的にアピールすることがますます重要になってきています。しかしながら、大学案内や入試広報ツールは特性上どうしても他の大学とコンテンツや情報が似通ってしまい、差別化がなかなか難しいのが現状です。そこで今回は、どうすれば効果的なPRができるのか、大学広報における仕事内容やブランディング戦略のポイントをご紹介したいと思います。

学生獲得以外にも大学広報の業務は多岐に渡ります。さまざまな関係者、ステークホルダーへ向けて大学のビジョンや取り組みを発信するのも大学広報の大事な仕事。受験生向けの広報から、研究成果や産官学連携など大学のブランディング、卒業生や保護者に向けた情報発信まで、幅広い業務にかかわっています。そして、それらの業務は「入試広報」と「大学広報」の二つに分けることができます。

●「入試広報」は受験生を集めるための広報活動で、そのターゲットは大学受験者とその家族、および高校関係者。
●「大学広報」は大学名やブランドを訴求するための広報活動で、その対象は大学受験者を含む社会全体(オールターゲット)となります。

この部分をしっかりと押さえて、大学広報の特徴と役割を4つの視点から見ていきましょう。

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1、「学ぶこと」の本質を訴求すること。

大学広報と一般企業・団体の広報と違うところは、大学は学ぶ所であり、学ぶことは人間の基本的な成長と進化を促し、産業を発展させるという人間と社会の基盤を作る重要な場所であるということです。学ぶことの価値を体系的に整理し、それを言葉にして発信することが大事です。営利主義とは一線を画すアカデミズムの世界観の訴求、これが大学広報が情報発信をする時の基本的なトーン&マナーです。

2、 入学希望者増加に貢献すること。

現在、大学広報の中で最も重要視されているのが、この「入学希望者増加」対策です。一人でも多くの受験生に「この大学に通いたい」と思ってもらうことが、大学存続のために極めて重要です。広報PRとしてオープンキャンパスや説明会など地道な活動を重ね、大学のイメージを高めることで受験者数(出願者数)を増加させることが大学広報の重要な役割です。この場合、受験生の視点に立って情報を構築しセレクトすることが大事です。

3、大学の特徴を伝えること。

受験生の多くが注目するのが大学のイメージで、このイメージ戦略は非常に大切なポイントです。「自由な校風」、「由緒ある歴史」、「就職に強い」など、大学の持つストロングポイントを今風の世界観で訴求し大学のアイデンティティとして覚えてもらいます。これは、受験生だけでなく、社会全体にも継続して訴求していくべきことで、他の大学との差別化にも繋がり、引いては大学のブランディングに大きな役割を果たします。

4、大学運営の円滑化を推進する。

大学広報の役割は、情報を発信するだけではありません。受験生をはじめとして、在校生・卒業生、そして彼らの親たちの声をフィードバックして大学運営の経営改善につなげるというミッションがあります。また、大学内の教員、職員、関係者たちと情報共有を図ることで、学内に一体感が醸成され、職員間のコミュニケーションも円滑になるでしょう。就職率のことを考えれば、卒業生とのコンタクトは学生が社会に出るときの一助にもなります。

地域を意識し、時代に合った広報活動を

●地域と共存し、共に歩むという姿勢

大学のある街には喫茶店や書店、安くてボリュームのある定食屋があるというイメージがありますが、大学は地元地域と深い関わり合いを持ちます。教員や在学生たちも、地域と良好なコミュニケーションを持ち共存する関係性を保持する必要があります。そのためにも、大学広報は地元の街(地域)を好きになってもらうよう社会にアピールすることが必要です。大学のイメージは街のカラーが大きく影響します。お洒落な街にある大学に憧れるのは人間の心理で、受験生たちの大事なモノサシの一つでもあるのです。大学のファンになってもらうために、まず、その街のファンになってもらう、こういった施策も一般企業にはない大学広報の特徴です。

●時代に合った広報活動を

大学広報が使用する告知媒体も時代と共に変化しています。昔はパンフレットが主な告知媒体でしたが、その後Webサイトの使用が通常化しホームページでの訴求が大きな割合を占めてきました。そして、現在はと言えば、ホームページでの情報発信に加え、数々のSNSを使った広報活動が活発になっています。
受験生向けにInstagramを始めた都内のS大学は、所謂「映え」の写真に拘らず、在校生へのインタビューを元に自分が実践した受験勉強法やおすすめの参考書など、受験生が知りたい実用的な情報をマガジンとして発信しています。このInstagramは運用開始から1年間で11万回を超える閲覧数(リーチ数)を達成しています。時代に敏感な受験生にとって、InstagramやTwitterを使うことは、大学が時代の先端を見据えているというイメージにもつながります。いずれにせよ在学生の生の声が聞けて大学生活についても知ってもらえる良い施策例だと思います。

●ミスマッチのない学生生活を後押し

大学広報の基本的な仕事は自分の大学のファンになってもらうことです。この大学に興味があったにもかかわらず、何らかの事情で他の大学に進んだ人たちにも、自分の子供たちはこの大学に入れたいと思ってもらえるような、そんなことを目標にしている広報担当者も多く存在します。そして、広報活動によって興味を持ち入学した学生たちが、ミスマッチを感じることなく充実した大学生活を過ごしてくれること。それこそが大学広報を担当する者の本懐ではないでしょうか。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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