タイアップ企画のために広報・PR担当者が知るべき注意点と努力するべき6つのポイント
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2025.03.27

タイアップ企画のために広報・PR担当者が知るべき注意点と努力するべき6つのポイント

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、タイアップ企画のために広報・PR担当者がするべきことのポイントなどについてお伝えしていきます。

「そもそもタイアップの意味を正確には知らない」という方から、「実際にタイアップの計画を立て始めている」という広報・PR担当者にまでおすすめの内容となっています。

本記事では、タイアップの概要やコラボレーションとの違い、タイアップのメリット、そしてポイントなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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企業タイアップとは?コラボレーションとの違いは?

企業タイアップとは、「複数の企業・団体、もしくはその企業・団体の有するコンテンツと連携して行う広報・PR・マーケティング活動」のことです。タイアップ先としては企業・団体、ブランド、メディア、有名人、漫画・アニメなどの二次元コンテンツ、学生団体などがあります。

コラボレーションとの違いは?

企業タイアップとコラボレーションの主な違いは以下の通りです。

  • 企業タイアップ:メインの企業・団体が存在する。「メイン企業の利益」を主目的にして、タイアップ先が持つ価値を活かした施策をする
  • コラボレーション:各企業・団体はフェアな関係。各企業・団体が、相乗効果で新しい価値を生み出す

ちなみに「タイアップ」という言葉に対して「広告・販促」をイメージする一般消費者が少なくないため、あえて「コラボレーション」という表現を使うケースも多いです。ただ、関係者は両者の違いを理解し、各企業・団体の役目や目的に沿って動くことが大事です。

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広報・PR視点での企業タイアップに期待できるメリット4選

続いては広報・PR視点での、企業タイアップに期待できる主なメリットを紹介していきます。生活の中でよく耳にする言葉ではありますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット①:広報・PRの企画が組みやすい

企業タイアップの場合、やはり自社だけの取り組みではできない広報・PRの企画を組みやすいです。「タイアップであること自体」を宣伝できますし、他企業・他団体の「色」を取り入れることで、オリジナリティ、トレンド感、地域性、社会性などの、メディアフックも作りやすくなります。

例えばアニメやゲームとのタイアップであれば、そのアニメやゲームにちなんだ広報・PRをするだけでほぼ間違いなく最低限のパワーが確保できます(工夫次第ですが)。

また、学生団体とのコラボレーションも社会性や地域性を生みやすいですし、「学生の活動の支援」というのはとにかくイメージが良いものともいえます。

メリット②:一般消費者に親しまれやすい・信頼されやすい

自社だけの広報・PRやマーケティングでは、どうしても「一方的な売り込み」と思われてしまいやすいです。

しかしタイアップでは他社・他企業が関わるため、「一つの団体が自社のものを売り込む雰囲気」が薄れやすいです。言い換えると、自社や自社商品・サービスの魅力を、第三者の立場から発信できるということですね。

人はとにかく「自分で言うだけの情報」よりも、「第三者が言う情報」の方を信頼し、親しみを感じるものです。

メリット③:新しい層にアプローチできる

タイアップによって、自社のこれまでのターゲットとは違う層にアプローチできます。わかりやすい例でいえば、例えばアニメとのタイアップをすれば、そのアニメのファン層に興味を持ってもらえる可能性があります。

メリット④:「自社のターゲット層」と「タイアップ先のファン層」の親和性が高ければ広報・PRがより刺さりやすい

また、「自社のターゲット層」と「タイアップ先のファン層」の親和性が高いような企業・団体を選ぶことで、より刺さりやすい広報・PRやマーケティングをすることが可能です。

例えば筋トレ系の商品を売っている企業であれば、筋トレ系のユーチューバーとタイアップするなど。そして特に「商品」と「ユーチューバー」が両方刺さる人は、登録や購入などのアクションを取ってくれる可能性が高いです。

これにより③の「新しい層にアプローチする」という要素は薄れるものの、「中途半端な広報・PRやマーケティングになって効果が思ったほど出ない」というリスクは下がるかもしれません。

タイアップの成功のために広報・PR担当者が取り組むべきポイント6選

続いてはタイアップの成功のために広報・PR担当者が取り組むべきポイントについていくつか紹介していきます。

ポイント①:自社とタイアップ先の関連性や相性を大事にする

自社とタイアップ先の関連性や相性を大事にしましょう。例えば「人気だから」「話題性があるから」だけでタイアップ先を決めると(オファーを出すと)、思うような広報・PR効果が出なくなる可能性が高いです。

重要なのは「目的の達成のために適したタイアップ先なのか」です。具体的には、「タイアップによって一般消費者からどう思われたいのか」「最終的にどうなりたいのか(認知度、売上など)」などを考えつつ、タイアップ先を探すべきといえます。

ポイント②:タイアップ相手の顧客層を把握する

ポイント①ともつながりますが、タイアップ相手の顧客層やターゲット層などをきちんと把握しましょう。例えば「取り組みを考えると自社と相性が良さそう」でも、顧客層やターゲット層にはよっては、意外と施策の効果が下がる恐れもあります。

ポイント③:広報・PR担当者もタイアップ先の商品やサービスを利用する

深く理解するためにも、広報・PR担当者もタイアップ先の商品やサービスを利用してみることをおすすめします。

ただし自費でするべきことではないので、一部~全部経費が出ないかしかるべき部署に相談しましょう(プライベートでも使えるなら経費の範囲を狭くするなど)。

ポイント④:版権利用について確認・相談しておく

特にキャラクター、アニメ・ゲーム・漫画、芸能人・有名人などとタイアップする場合、版権利用のルールや流れを確認しておくことをおすすめします。

早めに動くことが大事なので、企画を具体的に動かす前にタイアップのイメージを固めておきましょう。そして、デザイン変更や調整、版権利用可能範囲を超えることに関する相談・打診・調整などもあり得るので、できるだけ事前に細かな条件もチェックしておくべきです。

さらに企画が終わってからも、自社サイトなどに版権キャラクターなどを掲載できるかどうかも確認しておくことが大事です。

✅タイアップ先担当者と面談で細かく確認するべき

版権利用のことに限りませんが、タイアップ先担当者と面談で諸々のことについて細かく確認することをおすすめします。

メールなどのやり取りだけで十分に思えるかもしれませんが、実際には顔を合わせることで詰めるべき部分がさらにいくつも見えてくる可能性が低くはありません。また、企画そのものへのアイデアも出し合えて、さらにブラッシュアップできることでしょう。

ポイント⑤:タイアップの目的をクリアするための導線設計が大事

タイアップの目的をクリアするための導線設計が大事です。あえてシンプルな例を挙げますが、目的が「特定の商品の売上アップ」だったとしましょう。

この場合例えば、単に「タイアップについてSNSで宣伝」→「SNSが盛り上がる」→「タイアップ企画の公式サイトのアクセス数が増える」だけでは、売上アップに直接つながるとは言えません。

このケースでは一例として、「SNS投稿、タイアップ公式サイトなど各所に購入サイトへのリンクを貼る」「購入サイトでのみ楽しめるタイアップイラストの存在を宣伝する」など、購入へとダイレクトにつなげるような工夫をすることが大事です。

ポイント⑥:企業タイアップでついたユーザーをつなぎとめる施策が必要

企業タイアップでついたユーザーの多くは、タイアップ企画が終わると離れてしまうものです。やはり「このブランドがタイアップしているから」という理由で購入・登録などをするものだからです。

そして離れた後は徐々に忘れられて、「認知」さえも消えてしまう可能性が高いです。つまり後に、「離れたユーザーが興味を持つかもしれない一般商品」を発売することがあっても、その人の選択肢にはほぼ挙がらなくなるのです。

そのためにも企業タイアップでついたユーザーをつなぎとめる施策を実行しましょう。例えば以下のような方針があります。

企業タイアップでついたユーザーをつなぎとめる施策2つ

方針①:タイアップ企画中に他の商品・サービスの魅力も伝える広報・PRをする

「タイアップ企画自体の魅力」だけでなく、他の商品・サービスの魅力も伝えることによって、新たなファンをつなぎとめる戦略です。

「かたくなにタイアップのことにしか興味を持たない」という人だけではありません。特に日用品など多くの人が「何気なく買う」タイプの商品であれば有効なやり方といえます。

ただ、あくまでタイアップ商品が目当てのファンが多いでしょうから、それの邪魔にならないレベルの広報・PRやマーケティングに抑えるなどの戦略も必要です。

方針②:タイアップ企画そのものを長期的に続ける

力技ですがタイアップ企画そのものを長期的に続けることで、「タイアップでついたファン」を長くとどめ、そのまま自社ブランドのファンにすることができるかもしれません。

ただし例えば「タイアップ商品を1つ発売するだけ」かつ「タイアップ期間が長期」では、ユーザーにとっては実質的に「商品を買ったら終わり」になってしまいます。そのため第2弾、第3弾と続けたり、SNSや動画企画など商品以外のコンテンツも作ることをおすすめします。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事