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最近、私の元に届く相談で急増しているのが、「社長がメディア露出や社内広報の内容に激怒し、社内にクレームの嵐が吹き荒れている」という不穏な事態です。
日経平均が5万3000円を超えようが、社内がバラバラであれば、その企業に未来はありません。社長が「この記事の内容は何だ!」「意図が伝わっていない!」と激昂したとき、広報担当者やマネジメント層はどう動くべきか。
心理的なメカニズムを紐解けば、トップの怒りの正体は「コントロール感の喪失」への恐怖です。自分のビジョンが正しく伝わらないことへの焦燥感。これを鎮めるための「鉄壁の対応マニュアル」をここに提示します。
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記事内容に対するクレームが出たときの基本方針は?
広報担当者などの活動が実って、晴れて新聞や雑誌に記事が掲載された。
しかし、その記事内容に対して社長や他の社員からクレームが出た……といったトラブルが発生する場合があります。
これに関してですが、
・数値が違う
・固有名詞が違う
・意味が真逆になっている
などの致命的な問題がある場合を除き、「そのまま納得してもらう」しかありません。
実際、「訂正記事の掲載」を要求したところで、上記のいずれか(もしくはそのレベルのミス)に該当しない限りは受け入れてもらえません。
広報担当者の対応のポイントは主に3つ
では、社長やスタッフなどから記事内容に対する苦情が出た場合の対応のポイントをいくつか挙げていきます。
1:とりあえず社長を説得する
まずは、社長などクレームを出してきた本人を説得しましょう。
その際、「あの記事内容、私もどうかと思っているんですよね~」という方向性に話を進めていくのは絶対にダメです。
「どうかと思うような記事を書かせたのか」と感じられてしまいますし、そのような言い方をするのは責任転嫁でしかありません。
そもそも、問題のない記者である限りは真っ当な記事を書きます(実力のある記者を探すのも広報担当の重要な仕事です)。
また、「記事内容=自社・商品・サービスが世間にどう思われているのかの客観的な指標」であると言えます。
したがって、
「言いにくいことですが、記者も一般人である事に変わりはありません。つまり、今世間に我が社はこのように思われているという事なのです。それを踏まえて、これから先の経営プランなどを練って対応していくべきでしょうか」
などと伝えるのが正解だと言えます。
それに対して社長がさらに怒るかもしれませんが、仕方のない事です。
じっくり説得してください。社長と良好な関係を作ることも広報担当の重要な仕事の一つですが、妙に下手に出るのはNGです。
また、こうした行き違いがないよう、日頃から社長とは綿密なコミュニケーションを取ることをお薦めします。
2:他の社員に対してもヒアリングをする
「クレームを言ってこない社員=記事内容に納得している」とは限りません。
不満があっても黙っている社員がいるかもしれません。
ですから、他の社員に対しても聞き取り調査をしてみましょう。ただ、会社の規模にもよりますが、全員にヒアリングをするわけにもいかないでしょうから、
・新入社員数名
・20代の社員数名
・30代~
・40代~
・50代~
など、ある程度絞ることをおすすめします。
また、年代だけでなく、性別や役職などで分類することも検討しましょう。
それから、できれば「社長からクレームが出た」という情報は伏せてください。
(そもそも社員に周知させる意味がある情報ではありません)
単に「この前の新聞記事に対するアンケート」という形で行いましょう。
そうすれば本音を聞き出しやすくなります。
3:SNSへの投稿に関して指導しておく
フェイスブックやツイッター等のアカウントを持っている社員が
・こんな内容の記事を出された!不満!
・あの新聞社はどうかしている
・あんな雑誌の取材を受けなければ良かったんだよ
などと投稿してしまえば一大事です。
「○○新聞でウチの会社の記事が載っています!」くらいなら良いですが、そうでないネガティブな内容の投稿はさせないようにしましょう。
広報の仕事ではないかもしれませんが、担当しそうな部署がない場合は対応するしかありません。
一度社内メールなどを通じて、この辺りの教育をきちんと行っておきましょう。
表に出る前に記事内容をチェックできる場合は?
基本的にテレビ番組・新聞記事に関しては、「この内容で掲載(放送)して良いですか?」という確認が入ることはありません。ですから、掲載・オンエア時に初めて内容を知ることになります。
例えば「ガイアの夜明け」などの影響で世間からの評判が下がる企業がたまにありますが、事前確認があるのだとしたら、放送内容は変わっていたかもしれません。
もちろん「数字のミス」「固有名詞のミス」「文意が真逆になっているミス」だけは修正意思を伝えましょう。
ですが、それ以外の部分に対する社長からの要望については、
「それでは、社会の客観的な評価を直し過ぎですので、これくらいにしておきましょう。」などと広報がバランスを取ることが大事です。
【社内広報:危機対応の基本方針】
- 即時「火消し」ではなく「傾聴の儀式」を: 反論は自殺行為です。まずは社長の怒りの「源泉」が、事実誤認なのか、ニュアンスの不一致なのか、それとも自身のプライドへの毀損なのかを峻別してください。
- 「全否定」を「修正・補足」にすり替える: 記事を削除するのではなく、続編や補足インタビューという形で「上書き」を提案する。これが組織のメンツを保つ高度なテクニックです。
- エビデンスによる沈静化: 感情にはデータで対抗します。「読者の何%がポジティブに受け取ったか」という定量的フィードバックを即座に出せる体制を整えておくこと。
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