企業のオフィス移転を広報PRネタにする場合の注意点やポイント6選
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2025.01.04

企業のオフィス移転を広報PRネタにする場合の注意点やポイント6選

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、「オフィス移転」を発信ネタにする場合のポイントなどについてお伝えしていきます。

「オフィス移転があるので、それを広報・PRで活かせないだろうか」とお考えの方もいると思います。

そこで本記事では、オフィス移転を発信ネタとして扱うことのメリット、そしてネタにする際のポイントなどに関して解説します。

広報・PRのネタとして「オフィス移転」を取り扱う2つのメリット

自社社員からすると「ただ会社の場所が変わるだけ」かもしれませんが、そのオフィス移転を広報・PRであえて扱うことにはメリットがあるので紹介していきます。

①:移転の目的や背景などを知らせることができる

「オフィス移転」を必要な相手に淡々と伝える場合は、メールやハガキなどで一斉に知らせることになるでしょう。

ただ、それでは「移転先住所」「移転先での事業再開日」など最低限の内容に留まるため、人によっては「もっと詳しいことが知りたい」と感じるかもしれません。「新商品・新サービスなどの情報よりも、なぜ移転したのかの方が気になる」という人は意外と多い印象です。

そのため自社の公式サイトで特別なページを作ったり、プレリリース配信をしたりしつつ、「移転した理由(移転に至った想い)」「これまでのオフィスとの違い」「これからのビジョン」などを発信することには価値があるといえます。

②:「オフィス移転」という派手な情報で引きつけつつ、他の効果も狙える

あえて悪い言い方をしますが、オフィス移転を「客寄せパンダ」にしつつ、他の効果を狙うこともできます。例えば以下の通りです。

  • 「地方から都心にオフィス移転しました」と求職者にアピールする(合わせて求職者向けの情報への導線を作る)
  • 「働き方改革の一環としてオフィス移転しました」とアピール
  • 「商品の原材料調達をしやすくするための移転」「サービスを提供しやすくするための移転」などで商品やサービスのアピール

もちろん読む人・見る人に「むしろオフィス移転の告知は、ついでだな……」とすぐに見破られるレベルのやり方を採用するのは好ましくありませんが、この程度の狙いはあっても構いません。

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オフィス移転をネタにした広報・PRで含めるべき6つのこと|プレリリースなど

続いてはオフィス移転に関するプレリリースなどに含めるべき項目を紹介しますので、広報・PR戦略の参考にしていただければ幸いです。

①:移転先の基本情報

移転先の基本情報を記載しましょう。具体的には名称、住所、最寄り駅などです。記載するにあたっての主なポイントは以下の通りです。

  • 複数のオフィスがある場合は「どのオフィスがどこに移転するのか」を書く
  • 来客が多い企業の場合はアクセスについても書く
  • 企業の名称を省略しないなど、まったく知らない人が読んでもわかるように書く

②:移転先オフィスでの事業再開日

移転先オフィスでの事業再開日が決まっているのであれば、それも住所と一緒にわかりやすく書いておきましょう。特に「オフィス移転が決定したものの、移転自体はかなり先」という場合には大事です。

例えば「事業再開日前に重要人物が来訪してしまう」などのことが起きると信頼性が大きく下がるので気を付けてください。

また、事業再開日が決まっていない段階で告知せざるを得ない場合は、「事業再開日が決まり次第お知らせします」などと明記しましょう。

✅「移転完了→事業再開日」までの間が長い場合はその期間中の対応についても書く

なんらかの理由で「移転完了→事業再開日」までの日数が長くなる場合は、その期間中の対応についても書きましょう(メール連絡のみ受け付ける、別オフィスなら来訪OKなど)。

また、そもそも「なぜこれほど再開までの時間が長いのだろうか」と不審がられる可能性もあるので理由も明記することをおすすめします。

③:移転先の環境がわかる情報(写真、動画なども)

移転先の環境がわかる情報もプレリリースなどに載せることをおすすめします。テキストではわかりにくいので写真や動画素材を掲載するといいでしょう。なおオフィスが完成していない段階でも「完成後の設計図」などを載せることは可能です。

特にオフィス移転の目的や背景に「環境を変えること」が密接に絡んでいる場合は、移転先オフィスの周辺環境なども紹介できるといいですね。

④:移転先オフィスでの取材や外部活用について書く

移転先オフィスで取材を受ける予定がある、もしくは取材があれば受け入れられる場合は、メディア関係者などに向けて「何日から取材OKになるか」「取材前に必要なこと(事前連絡、打ち合わせなど)」などを記載しましょう。

また、外部活用(見学受け入れ、イベント開催など)をする場合も、「見学できる期間」や「予約・問い合わせ方法」などを書いておきます。

✅広報・PRに直接つながらなくても「取材」や「見学受け入れ」に価値はある

移転先オフィスで取材を受けたり、一般人や各種業界関係者の見学を受け入れたりしても、商品・サービスなどの広報・PRに直接つながることはないかもしれません。

ですが企業そのものの知名度を上げたり、「オープンな企業」というブランディングをしたりすることは可能なので必要に応じて検討しましょう。

また、あまり大きな声では言えませんが、経営者などが広報・PRにあまり関心がない場合でも、このような「イベント感」があるものに関しては好意的に受け止めてもらいやすいです(そもそも経営者に広報・PRの重要性を説明するべきではありますが)。

⑤:オフィス移転の目的・理由・ストーリーなど

先ほどもお伝えした通り、オフィス移転の目的・理由・背景ストーリーなどを記載することも大事です。具体的には、経営者・社長や移転担当者のコメント、環境作りに関係する人のコメントなどを載せるのがおすすめです。

これらを書くことで企業としてのビジョンや取り組みなどを発信できるため、場合によっては投資家などへのアピールにもなるかもしれません。

✅ポジティブでない理由で移転する場合はストーリーでフォローできる可能性も

また、あまりポジティブでない理由で移転する場合も、ストーリーによってフォローできるかもしれません。例えば事業縮小が理由なら、「○○(地域名)は□□で活発なエリアであり~」などです。

ただ、微妙な話ですが、そもそもポジティブでない理由でオフィス移転するのであれば大々的に告知せず、基本情報のみを関係者にメールなどで伝えるだけでいいかもしれません。

とはいえ関係者の中には「なんとなく理由を察している人」も多いでしょう。そのため、そういった方に向けて「なるほどこんな前向きなビジョンがあったのか」と思ってもらえるストーリーを無理なく示すことができるのであれば、ある程度大きくアピールすることにも意味があります。

⑥:(オフィス移転と絡めて説明できる場合は)商品やサービスの情報

先ほどもお伝えした通り、オフィス移転と絡めて商品やサービスの情報を記載するのもいいでしょう。ただ、あくまでオフィス移転との関係性に無理が出ないケースに限ります。

そのため、どうしても不自然になるのであれば、例えば「関連URL」として商品やサービスの情報を記載したページのURLなどをさり気なく載せておくといいでしょう。これなら「直接の関係はありませんが、よろしければ商品やサービスの情報も見てください」という雰囲気になるので嫌味がありません。

オフィス移転を広報PRネタにする際の注意点(まとめ)

オフィス移転の場合によっては広報・PRの大切なネタになりますので、機会があれば自社の状況やビジョンに合わせて、プレリリースなどを作成することを検討してみてはいかがでしょうか。

また、「オフィス移転そのもの」もネタになりますが、それによって興味を引きつつ他の情報(ビジョン、商品やサービスなど)をアピールすることも有効な手法の一つですので、ぜひ選択肢に入れてみてください。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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