広報の新時代トレンド、異業種コラボレーションの特徴と4つのメリットを解説
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2023.06.22

広報の新時代トレンド、異業種コラボレーションの特徴と4つのメリットを解説

広報活動の目的には、企業のブランディングや、自社の商品・サービスの情報発信と認知率の拡大、そして、ステークホルダーとの良好な関係構築などがあげられます。同時に、そうした目的を達成するためには、ユーザーやメディアに向けて、コンスタントに情報発信し続ける必要があります。

そうした地道な情報発信の中で、ひときわ目を引くニュースが、「異業種コラボ」です。他社との業務提携は、自社の事業展開に新しい可能性を見出すための有力な施策と言えますが、近年においては、業種の異なる企業と企業が協力し合って取り組む「異業種コラボレーション」が増えています

今回の記事では、広報担当者として知っておきたい「異業種コラボ」の意味やメリット、実施までの流れなどについて解説していきます。

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異業種コラボレーションとは

コラボレーション

異業種コラボ(異業種コラボレーション)とは、業種の異なる複数の企業がパートナーシップを結び、協力しながらビジネスを展開することを言います。異業種コラボは、商品開発やマーケティング戦略において、他の業種からの斬新な視点やアイディアを取り込むことができるため、独創的でオリジナリティのあるプロジェクトが展開できるのです。

また、異業種コラボは、お互いの企業のウィークポイントを補完し合い、ストロングポイントを共有することで、多くの成果が期待できます。例えば、販路の拡大を課題とする人気商品を製造するメーカーと、目玉商品が欲しい大手流通企業がコラボすれば、両社はウィンウィン(win-win)の関係となり、両社の業績アップにつながります。

 

広報における異業種コラボ実施のメリット4選

企業が異業種コラボを実施することで、広報活動にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、4つのポイントに分けて紹介していきます。

メリット①話題性を喚起できる

異業種コラボの実施は、話題性の喚起につながります。異業種とのコラボは、自社だけでは実行できないプロモーションやキャンペーンが組めるため、意表を突いた企画や独創的なコンテンツの提供が可能となり、世間やメディアから大きな関心を集めることができます。

メリット②新たなメディアリレーションが構築できる

異業種コラボを実施することで、コラボ先が懇意にしているメディアにもアプローチできます。これまで、コンタクトのなかった新規のメディアとの関係性を構築するだけでなく、そのメディアに自社の情報を知ってもらうことで、今後の広報活動の幅が広がります。

メリット③新規顧客の獲得が期待できる

企業が持つ既存の顧客層は、既に自社のことを知っています。異業種コラボを行えば、コラボ先の企業の顧客層にも、自社の商品やサービスの情報が届き、それをきっかけとして、新たな顧客の獲得につながる可能性が生じます。

メリット④ブランディング効果がある

コラボ先の企業が、自社に比べて知名度が高かったり、高いブランド価値を持っている場合、協力してコラボ活動に取り組みを行うことで、自社の知名度やブランド価値が向上する場合があります。

 

異業種コラボの実施に伴う広報活動の流れ

このように、さまざまなメリットがある異業種コラボですが、ここからは具体的な異業種コラボ実施に伴う広報活動の流れをご紹介していきます

ステップ①コラボに至るストーリーを作成する

まず最初に、異業種コラボに至った「ストーリー」を作ることから始めます。「何のために異業種コラボを実施するのか」、「なぜ、この業種の企業とのコラボなのか」、などを明確にして、広報活動のベースにします。このコンセプトにブレが生じてしまうと、今後の施策に一貫性が失われて、効果的な広報活動ができなくなります。

ステップ②コラボ先の企業の選定

コラボ先の企業を選ぶ際には、自社と相手の企業がコラボすることによる相乗効果で、ウィンウィン(win-win)の関係になることが重要です。自社のウィークポイントを補完してくれる企業であったり、自社のストロングポイントを大きく引き出せる企業を選ぶことが大前提ですが、同時に相手企業のメリットについても考慮しながら選んでいきます。

ステップ③コラボ先の企業へプレゼンテーションする

コラボ先の企業が決まったら、コラボ先へのプレゼンテーション(提案)を行います。プレゼンテーションは、コラボの主旨を企画書にまとめて、相手企業の役割やメリットをしっかり明記します。コラボ実施に想定される両社のコストの概算なども併記しておくと良いでしょう。

ステップ④メディアに情報発信する

コラボの実施が決まったら、メディアや社会に向けて、情報発信(開示)を行います。プレスリリースを配信したり、共同記者会見を開くなど、さまざまな手段で情報発信していきますが、注意点としては、情報元はコラボ先の企業との「連名」にすることです。自社だけが突出したような印象を与えないように、心がけましょう。ちなみに、コラボレーションは、連携する複数の企業は対等の立場で位置づけられます。

ステップ⑤効果の検証を行う

メディアや社会に向けた情報発信を行ったら、メディアにおける掲載状況や企業のWebサイトへのアクセス数、SNS上の反響、問合せ数などを調べて検証します。検証結果は、コラボ先の企業と共有し、両社の目標達成に届いたかどうかを確認します。こうした検証結果は、両企業にとって、今後、事業活動を展開する上で、貴重な資料となります。

 

異業種コラボを実施する際に押さえておきたい3つのポイント

異業種コラボを行う際に、コラボ先の企業と良好な関係を持ってスムーズに広報活動を行うために必要な3つのポイントをご紹介しておきます。

①コラボ先の企業がメリットを感じられるような企画にする

異業種コラボを実施する際には、どうしても、自社のメリットや事業効果に目が向きがちですが、自社の事情ばかりを優先してしまうと、コラボ先の企業は、「利用されているのでは」というような疑心暗鬼に陥ってしまいます。コラボ先の企業のモチベーションを高め、コラボの施策が円滑に推進できるよう、両社にメリットのある企画を立てましょう。

②情報発信するメディアを両社で棲み分ける

両社が持つメディアリレーションの中で、最大限の広報効果を生み出すためには、活用するメディアを両社間で棲み分けることが大事なポイントです。プレスリリースの配信や記者会見への招待などは、発信先のメディアが重複しないように注意します。両社がそれぞれ、アプローチするメディアのリストを作り、照らし合わせをしながら、活用するメディアを分担し、情報発信を行いましょう。

③FAQに対して、両社間で整合性のある対応をする

異業種コラボ実施の情報発信をした後に、メディアの記者やライターから、内容についての質問や問合せが来ます。また、記者会見の会場でも、メディアとの質疑応答があります。そのような時、両社間で、あらかじめメディアからの質問事項を想定しておき、回答や応対を擦り合わせておくと良いでしょう。

 

まとめ 上手なコラボレーションで話題作りを行おう

異業種コラボは、意外性のある企業同士の組み合せにより、これまでになかったコンテンツやプロモーションを打ち出すことができるため、世間に大きな話題性を喚起することができます

新たな価値を生み出し、ブランディングにも大きな効果を発揮する異業種コラボ、今回の記事を参考に、あなたの企業でも検討されてみてはいかがですか。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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