クロスメディアを活用して広報戦略を強化する具体的な3つの施策
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2023.06.22

クロスメディアを活用して広報戦略を強化する具体的な3つの施策

インターネットの普及に伴い、最近は広報活動にWeb施策を取り入れる企業が増えています。でも、Webでのプロモーション施策ではなかなか効果が出ない、Webだけだと広報活動に広がりがない、などと感じている広報担当者の方もいるのではないでしょうか。

確かに、Webサイトを利用した広報活動はあまりコストがかからず、情報の伝達速度も早く、手軽に活用できるというメリットを持っていますが、やはり、Webだけでの広報活動には限界があることも事実です。

そんな時、ぜひ検討していただきたいのが「クロスメディア」です単一のメディア(媒体)だけを使った広報施策は、ユーザーやステークホルダーとのコミュニケーションが良好な状態でないと思うような効果が得られない場合があります

今回の記事では複数のメディアを組み合わせることで、効果的なプロモーション活動を行う「クロスメディア」について、その意味や目的、効果などを解説していきます。

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クロスメディアとは?

クロスメディア

クロスメディアとは自社の商品やサービスの情報を、複数のメディア(媒体)を組合わせて活用するプロモーション活動を言います。身近な例で言うと、テレビCMの最後に表示される「続きはWebで」、「詳しくは明日の折込で」などの仕掛けがクロスメディアとなります。

これはクロスメディア戦略の中でも代表的な例で、まずは、不特定多数のターゲットに情報伝達できるテレビという媒体を使って関心を持たせ、そこで絞り込まれたターゲットを自社のWebサイトへ誘導するという施策です。自動的にセグメントされたターゲットに、自社サイト内で商品やサービスの特徴や魅力を訴求し、購入行動へとつなげていくのです。

それぞれのメディアはそれぞれの媒体特性を持ち、通常は独立した一媒体として機能していますが、クロスメディアはそうした様々なメディアを組み合わせ、広報活動に相乗効果を狙う目的があるのです。クロスメディアは、それぞれのメディアの利点を生かし、欠点を補い合い、情報伝達効果の最大化を図る施策なのです。

 

メディアミックスとの違い

クロスメディアと似たような言葉にメディアミックスがあります。複数のメディアを使って情報発信するという点では同じですが、実はこの二つの施策には、基本的な手法において大きな違いがあるのです。

●クロスメディア

使用するメディアに連動性を持たせ、各メディアが持つ媒体特性に合わせて、「情報内容を変えて」発信するもの。

●メディアミックス

基本的に「同じ情報内容」を複数のメディアに発信し、より多くのユーザーに情報伝達することを目的とするもの。

上で簡単にまとめたように、メディアミックスとは、同じ情報内容を複数のメディアに発信し掲載する広報広告活動の手段です。一見すると、クロスメディアと同じように見えますが、手法の点で異なります。

クロスメディアでは、使用する複数のメディア間に連携を持たせますが、ミックスメディアの場合は、基本的にメディア間に連携はありません。また、そこで発信する情報内容も、クロスメディアは媒体特性によって変化をつけますが、メディアミックスの場合は基本的に同じ内容となっています。

 

クロスメディアを実施するメリット3選

このように、さまざまな利点を持ったクロスメディアですが、それでは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、3つの例をあげて解説していきます。

①ヘビーユーザーを集客することができる

クロスメディアは、ユーザーが複数のメディアを経由することで、自然にターゲット層が絞り込まれ、最終的には自社商品やサービスに深い関心を持つユーザーが残ります。それらのユーザーには高い購入意欲が見込まれ、ヘビーユーザーとしての育成や集客につながります。

誘導先をWebサイトやチラシに選定すれば、マス媒体より詳しい情報が発信できるため、ユーザーにおける商品やサービスの認知と理解が推進され、購買行動を起こす契機となるのです。

②それぞれのメディアが持つデメリットを補い合える

メディアには、その媒体特性においてメリットもありますが、一方でデメリットもあります。例えば、テレビ媒体は幅広く多くのユーザーに情報発信ができますが、時間に限りがあるため、詳細を伝えることはできません。

そうしたデメリットを補完するのが、例えば、Webメディアです。Webメディアは、訴求力という点ではテレビ媒体に劣りますが、商品やサービスの情報を深く詳しく伝えることができます。このように、テレビ媒体とWebメディアを組み合わせることにより、それぞれのメディアの持つデメリットを補い合うと同時に、両者の強みを発揮するプロモーションが可能となります。

③各メディアにおける効果測定ができる

使用した複数のメディアに対し、それぞれの効果測定を実施し、効果や成果を検証することができます。また、各メディアに対する情報発信量の配分を算出したり、表現内容のチェックも行えます。このように、単一のメディアだけで広報活動やマーケティング活動を行うよりも、問題点や課題を見出すことが容易となり、迅速な改善が可能となります。

 

クロスメディアを成功に導く3つのポイント

クロスメディアを効果的に運用し成功に導くためには、企画や運営の面でいくつか重要なポイントがあります。ここでは、3つのポイントに絞って解説していきます。

①ターゲットを調査し分析する

クロスメディアを成功に導くためには、ターゲットに合ったメディア選定をすることが大事です。ターゲットが年配のシニア層だったとしたら、Webメディア、もしくはSNSを使用しても、あまり効果は期待できません。一方で、この層は新聞の購読率が高いため、新聞記事や広告、折込チラシなどを利用すると、多くの効果が期待できます。

つまり、最適なメディアの選定をするためには、ターゲットの行動傾向や特性を調査して分析することが重要なカギとなるのです。

②「カスタマージャーニーマップ」を作る

カスタマージャーニーマップとは、ユーザーが商品と出会い、興味を持ち、購買に至るまでの一連の行動プロセスを、チャートや図にまとめたものを言います。カスタマージャーニーを的確に設定することで、普段、ユーザーが触れる機会の多いメディアが割り出され、情報取得の流れや手段が把握できます。

③PDCAを意識して情報発信を行う

クロスメディアの実施は、常にPDCAサイクルを回しながら情報発信をすることが大事です。複数メディアを組合わせることで、効果的な情報伝達を行うクロスメディアですが、どこか一つのメディアに問題点が発生すると、想定した効果が得られない場合があります。使用する各メディアに対して効果測定を行い、迅速で的確な改善を行いましょう。

 

クロスメディアで広報を強化しよう

今回の記事では、クロスメディアの意味やメリット、実施する際のポイントなどを解説してきました。クロスメディアは、ただ単に複数のメディアを使用すればいいという施策ではありません。それぞれのメディアのメリットやデメリットを考慮して、最適な組み合わせをすることで、効果的な情報発信ができることがクロスメディアの特徴です。広報担当者の方は、今回の内容を参考にして、また、他社の活動事例なども研究しながら、効果的なクロスメディアに取り組んでみてください。


執筆者・監修者
上岡正明
テレビコメンテーター・経済記者
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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