【イマドキの広報・PR】ファンマーケティングのメリット3選+具体的な施策5選
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2025.06.16

【イマドキの広報・PR】ファンマーケティングのメリット3選+具体的な施策5選

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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、ファンマーケティングのメリットや具体的な施策などについてお伝えしていきます。

「そもそもファンマーケティングとは?」という方から、「ファンマーケティングを始めているもののなかなかうまくいかない」とお悩みの広報・PR担当者にまでおすすめの内容となっています。

本記事ではファンマーケティングの概要と広報・PRとの関係性、そしてファンマーケティングを検討するべき理由、ファンマーケティングのメリット、具体的な施策などに関して解説しますのでぜひ参考にしてください。

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ファンマーケティングとは?|広報・PRとの関係性は?

ファンマーケティングとは、企業やブランドそのものを好きで、応援してくれる「ファン」との関係性にウエイトをおいて行うマーケティング手法のことです。これとは異なる言葉にマスマーケティングがありますが両者の違いは主に以下の通り。

  • ファンマーケティング:一人ひとりとの関係構築を重視。長期目線のマーケティング
  • マスマーケティング:不特定多数へのアプローチを重視。あまり長期目線を持たない

そして「ターゲットを狭くしつつ、一人ひとりとの関係構築を重んじる広報・PR活動」が、ファンマーケティング的な広報・PR活動ということになるでしょう。

広報・PR担当者がファンマーケティングを検討するべき3つの理由

それではファンマーケティングを検討するべき理由をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。

理由①:人口減少、物価上昇、賃金低下

現在の日本は「人口が減り、平均的な賃金が下がり、物価が上がる」という状態が続いています。これは極端に言えば、「濃いファンを増やして、一人ひとりに利益などに貢献してもらうしかない」ということです。

日本の少子高齢化は今後も進むとされていますので、将来的にはさらにファンマーケティングが重視されるようになると言われています。

理由②:「一般消費者側の発信」の影響も強くなっている

SNSの普及や「口コミ・レビューをする文化」の浸透によって、一般消費者側の発信の影響も強くなっていると言われています。一昔前の、乱暴に言えば「一般消費者は企業の発信を参考にするしかない」という状況とは大きく異なります。さらに情報過多とも言える現代では、企業そのものの発信よりも、第三者である一般消費者のリアルな声を信頼する人も増加したと見られています。

そのため「ファンが自然に商品・サービスをおすすめしてくれる状況を作ること」がとても大事になってきていると言えるでしょう。

理由③:商品やサービスのスペックだけで差別化することが難しくなった

現代日本には、高品質な商品・サービスがあふれかえっています。どこかの企業が斬新な商品やサービスを世に送り出したら、すぐに類似品が出回ります。つまり「純粋なスペックだけでの差別化」が困難になっているのです。そのため品質、機能性、価格面に注力するだけでなく、「ファンを増やして買ってもらう施策」の必要性が高まっていると言えます。

広報・PR担当者がファンマーケティングを行うメリット3つ

続いてはファンマーケティングの主なメリットを紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひチェックしてください。ファンマーケティング関連に限りませんが、必要に応じて他部署とも情報を共有していただければ幸いです。

メリット①:価格競争から抜け出しやすくなる

ファンは企業やブランドそのものが好きなので、その企業の商品やサービスに関しては価格や利便性を重視しません。もちろん完全に度外視するわけではありませんがハードルが低く、「買うのに無理のない価格なら良い」「必要以上の利便性を求めない」という人が多いです。つまり価格競争から抜け出しやすくなり、売上も安定しやすくなるということですね。

メリット②:客単価や購入頻度が上がる

ファンは「この企業のものなら買いたい」「できるだけ買いたい」「他より優先して買いたい」くらいには思っているので、適切にファンマーケティングをしていれば客単価や購入頻度を上げやすくなります。

一方、「不特定多数に情報発信をして、その都度買ってもらう」という従来のマーケティング、広報・PR手法では、一時的に売上が伸びることはあっても、なかなか「安定」まではたどり着きません。

メリット③:ファンの声が商品・サービスの改善、新しい企画・取り組みのヒントになる

また、ファンの声が商品・サービスの改善や、新しい企画・取り組みのためのヒントになるケースもあります。

「ファンではない不特定多数からの声もヒントになるのでは?」と感じるかもしれません。しかしファンではない場合、生々しく言うと「結局はお金を出さない人の意見」なのであまり参考にならない可能性があります。「全く買ったことがない人の、なんとなくのつぶやき」程度である場合もありますよね。

一方、ファンの声の多くは「商品・サービスを実際に使ってみての感想」、「その商品やサービスが世に送り出されれば自分も買う前提の感想」なので、本当に参考になる可能性が高いです。

広報・PR担当者にできる代表的なファンマーケティング施策3選

続いては代表的なファンマーケティング施策をいくつか紹介しますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。必要に応じて他の部署とも相談・協力しつつ、施策を進めていきましょう。

施策①:ファンコミュニティを作る

企業やブランドに魅力を感じた人たち同士でコミュニケーションできる場所を作ることで、ファンからの愛着をより強めることができます。オンラインでいえばFacebookのグループ、LINEオープンチャット、Slackなど。オフラインではファンミーティングや座談会などを行うといいでしょう。

これらによって企業側がそれほど働きかけることなく、ユーザー間で交流してくれることでしょう(言われて行う行動よりも自発的な行動こそが大事)。

また、一時的にファンだった人が何も言わずに離れていくことも多々ありますが、ファンコミュニティ自体やメンバーへの愛着によって「まだ登録はしておいていいかもしれない」「急いで離れることはない」などと判断してくれるかもしれません。

施策②:公式SNSアカウントを作る

たとえファンマーケティングを行わないとしても、現代の企業は特別なブランディングをしていない限りSNSアカウントを持つことをおすすめします。一般的な情報発信をしつつ、ファンマーケティングをする場合はさらに以下のことをしてみてはいかがでしょうか。

  • ファンらしきフォロワーにはフォロー返しをする
  • ユーザーの投稿をリポストする
  • ユーザーの投稿に返信する(ネガティブな投稿にも誠実に返信する)
  • ユーザーが参加できるキャンペーンを行う

施策③:メールマガジン配信

メールマガジンに登録するような人は、最低限企業やブランドに興味があるためファン、もしくはこれからファンになってくれる可能性がある人といえます。そのためメールマガジンにはSNS発信など誰でも閲覧できる発信よりも、ある程度「濃い」情報を載せるといいでしょう。

例えばSNSなどよりも一足先になんらかの情報を解禁する、ファンの声・体験談、ファン同士の交流のエピソードを入れるなど。他にも「SNSで発信しても誰もが興味があるとは限らないが、メールマガジンで発信するならついてきてくれる」と判断できる情報を含めるといいでしょう。

✅ファンを増やすことが優先ならメールマガジンに特典を付けないことも検討する

例えばメールマガジン限定クーポンなどの特典があると、それだけを目当てに登録する人も増えてしまいます。そのためファンを増やすことを最優先するなら、メールマガジンには特典を付けないことも検討しましょう(もしくは控えめにする)。

また、さらに濃いファンしか欲しくないのであれば有料のメールマガジンにすることも考えてみてはいかがでしょうか。

施策④:ファンイベント(リアルイベント)を開く

特に実店舗のある企業や、全国展開している企業にとって、リアルイベントを開いてユーザーと直接的に交流することはとても効果的です。ユーザーがダイレクトにブランドに触れる機会を設けることでファンを育てることができます。

具体的には、限定商品の先行販売・体験会、地元企業とのコラボレーション企画など。「オンラインイベントを行っているから十分」と思えるかもしれませんが、やはり直接コミュニケーションを取ることで「空気感」や「企業の世界観」などを感じ取ってもらいやすくなります。

施策⑤:ユーザーが参加できるコンテンツを作る

ユーザーが参加できるコンテンツを作ることで、ファンに「もはや自分もブランドの仲間である」と思ってもらいやすくなります(帰属意識)。

具体的には、企業公式ウェブサイトなどにファンの声を載せる、商品・サービス開発のアイデア募集をする、商品・サービスの名前を募集するなどのコンテンツが考えられます。他にもユーザーが無理なく参加できるものがあれば、検討してみてはいかがでしょうか。

✅企業側がユーザーを管理しすぎない

すでに少し触れていますが、コミュニティやユーザー参加型コンテンツについては企業側が管理しすぎないようにしましょう。過剰に干渉するとそれだけで「やっぱり楽しくない」と離れていく可能性がありますし、途中から干渉を強めると「もう自由にできなくなった」と好感度が下がるかもしれません。

もちろん無管理ではいけませんが、例えば「自由にアイデアを出してください」と言ったのであれば本当に自由にしましょう。何か制限したい場合は、最初にその条件を明確にしておくべきです。また、場合によってはユーザー側にも管理者(リーダー)のようなポジションを設定する手もあります。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事