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この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、プレスリリースの切り口の考え方などについてお伝えしていきます。
特に「プレスリリースのネタ切れで悩むことが多い」、「率直に言ってプレスリリースにできるほどの大きなネタがほとんどない」という広報・PR担当者の皆さんにおすすめの内容となっています。
本記事では、プレスリリースのネタに関する心構え、そしてプレスリリースの切り口の考え方などに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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「良いネタを探す」よりも切り口を工夫して「良いネタにする」のが広報・PRの役目
特に経験の浅い広報・PR担当者の中には、いざプレスリリースなどのネタを探そうとして「自社には発信できるようなネタがほとんどない」、「新商品・新サービスがない時期はプレスリリースが書けない」と感じてしまう人も少なくないようです。
ただ、現実として大手企業でもなければ、工夫なくそのまま発信してもウケるレベルのネタが、次から次へと降ってくるようなことはまずありません。むしろそういったレベルのネタがほとんどないような企業が少なくないと言えます。
では、プレスリリース作成を諦めるべきかというと、それは間違いです。広報・PR担当者には「良いネタを探すこと」よりも、切り口などを工夫して「良いネタにすること」が求められています。
広報・PR効果の高いネタにするためのプレリリースの切り口の考え方9選
それでは、良いネタにするためのプレリリースの切り口の考え方をいくつか紹介していきますので、広報・PR担当者の皆さんはぜひ参考にしてください。漠然と「良いネタにする」と考えても意外と難しいのでぜひ参考にしてください。
また、これらの切り口を組み合わせることでさらに強力なネタになる可能性もあるので、視野を広げて考えてみることが大事です。
考え方①:「季節」にフォーカスする
例えば「最新型の釣り竿」のプレスリリースを書きたいとします。この場合は「季節」にフォーカスすることで、ネタの切り口をいくつも作ることができます。
一例として、春~夏くらいまでは「ファミリーで釣りを楽しむために」など、「ファミリー」というキーワードを押し出す。秋~冬くらいまでは「秋~冬の釣りを楽しむために」と、「釣りそのもの」に重点を置くなど。
「季節ごとに人々がどのように動くか・何を求めるか」を考えてみるのがコツといえます。
考え方②:「特定の時節イベント」にフォーカスする
こちらはバレンタインデー、ハロウィン、クリスマスなど、「特定の時節イベント」にフォーカスする考え方です。普段販売しているチョコレート菓子をバレンタインデー向け商品として、ケーキをクリスマスケーキとしてアピールするなどですね。
また、例えば「クリスマスこそ、雪を連想するワタアメを!」など、新しいことを世の中に提案する手法もあります。ただ、プレスリリースとして仕上げる難易度は上がりますし、関係部署との協力もさらに不可欠となります。もちろん不発に終わる可能性も高くなるので気を付けてください。
考え方③:「トレンド」にフォーカスする
例えば、なんらかの「予約システム」についてプレスリリースを作成するにあたり、「実は高度なAI技術が搭載されている」→「開発した部署からヒアリングをする」→「『AI』にフォーカスしたプレスリリースに仕上げる」などのやり方が該当します。
こうすることで「ほとんどの要素がありふれた予約システム」だったとしても、ニュースバリューを大きく高めることができるかもしれません。
ただし感覚だけで「これが今のトレンド」と決めつけるのではなく、Googleキーワードプランナーなどのツールを使ってきちんと分析しましょう。また、もちろん「そのトレンドの話題を求めているメディア」にプレスリリースを送らないとまず相手にされません。
考え方④:「普遍的な人気キーワード」にフォーカスする
上で解説したようなトレンドキーワードではなく、普遍的に注目されるキーワードにフォーカスする方法もあります。例えばグルメ、スイーツ、ファッションなど。商品・サービスによってはこちらに重点を置くことできるかもしれないので、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
また、専門新聞や専門雑誌などにプレスリリースを送る場合は、「その業界では普遍的な人気キーワード(他の業界では通じない)」にフォーカスするのもいいでしょう(これはトレンドに重点を置く場合にも使える手法です)。
ただしトレンドキーワードに比べるとパワーが低くなる傾向にありますし、競争率も高くなりやすいです。そのため今回紹介している他の切り口を組み合わせて、相乗効果を狙うことをおすすめします。
考え方⑤:ターゲットを絞って、フォーカスする
これは例えば「20~40代女性向けサービス」の場合、「20代女性が利用できる」という部分にフォーカスするというやり方。ターゲットの幅が広すぎると刺さりにくいですが、適度に狭ければ「これは私のことだ!」と真剣に受け止める人が結果的に増えます。
別の例ですが、「大手企業とベンチャー企業をつなぐ~」というなんらかのサービスがある場合は、「ベンチャー企業が大手企業とコネクションを持てるサービス」などと強調するなど。ベンチャー企業など、一般的に「応援したい立場の人々」に焦点を当てると、情報の受け手にも「応援したい」と思ってもらいやすくなるので効果的です。
なお、これらについても可能な範囲で関係部署と相談して、例えば20代女性向けに特化したプランを作る、ベンチャー企業限定でお得に使える料金プランを新設するなどのことができると、プレスリリースがさらに作成しやすくなります(ただしそのためだけにサービスや商品の内容を捻じ曲げるのはNG。企業の利益にならなければ意味がない)。
考え方⑥:「人」を目立たせる、掘り下げる
なんらかの商品・サービス、取り組みなどに関するプレスリリースを作成する場合に、それ自体よりも、そこに関わる「人」にフォーカスする手法です。例えばインタビュー、開発ストーリー、(特に珍しい経歴なら)過去の経歴を掘り下げるなど。
このように「人」に焦点を当てる手法はプレスリリースにおいて非常に効果的。実際にメディア関係者としても、商品・サービスなどの特徴が詳しく書いてあるよりも、濃いストーリーがあった方が助かるようです。そのため特にプレスリリースの切り口に困っていないとしても、できる限りストーリーを掲載することをおすすめします。
考え方⑦:「地域」にフォーカスする
特に地元密着型企業の場合は、原材料が地元産、地元限定販売、地元の学生と協力した取り組み、○○地域で初めてなど、「地域」や「地元」にフォーカスすると、それだけでプレスリリースが面白いものになりやすいです。また、地元でなくても「協力する地域」、代表者の出身地なども焦点を当てるべき候補となります。
考え方⑧:レビュー、導入事例などにフォーカスする
こちらはつまり「実際に利用した人の感想」にフォーカスする手法であり、既存の商品やサービスに関するプレスリリースを作成したい場合に特におすすめです。また、発売前の商品・サービスでも、事前モニターなどを行えばこの手法を使うことが可能です。
ポイントとしてはまずレビューや口コミについては「○○の役に立った」だけで終わらせず、「○○に役立って□□ができるようになった」と、「良い変化」に触れること。また、「□□ができるようになり嬉しい」など、わざとらしくない範囲で「気持ち」「感情」に触れることも大事です。
導入事例のポイントもあまり変わりませんが、例えば「○○の作業時間を50%カットできた」など具体的な数値が入っていると説得力が増します。
✅口コミ、レビュー、導入事例などは、広報・PR担当者が能動的に集める必要がある
「それほど都合よくレビューや導入事例が集まるだろうか」と感じると思いますが、まさにその通りです。有名企業や人気商品でない限りは、インターネット上で探しても口コミやレビューがほぼ見つからなくてもおかしくありません。もしくは内容が薄かったり、個人的感想に寄りすぎていたりするなど、プレスリリースで使うには難しい口コミやレビューしか見つからない可能性もあります。
そのため上で少し触れていますが、モニター施策を行って口コミやレビューを集める、サービスの契約時に「導入事例集め」に協力してもらうための打診をするなどの、積極的な戦略が必要となります。
考え方⑨:記録する価値、歴史性にフォーカスする
例えば、江戸時代から受け継がれてきた技術を使ったサービス、開発するにあたって○○の歴史を紐解く必要があった商品など、「記録する価値」や「歴史性」にフォーカスする手法もあります。
この2つの例のようにわかりやすい場合も良いですが、一例として「開発するにあたって古い製品について調べたところ、実は半世紀の前の技術が役立つことがわかった」など、「最初からそのつもりだった」というよりも、「調べてみたら意外な事実が判明した」というパターンもあります。
このパターンについては開発部署が「大したことではない」と判断して黙っている可能性もあるので、インタビューなどを通じて引き出すことが大事です。
プレスリリースのネタと切り口は広報担当者の工夫次第(まとめ)
「良いネタを探す」だけでなく、「良いネタにする」ことも広報・PR担当者の大事な役目です。これはプレスリリースに限らず、公式サイトの更新やSNSの投稿にも当てはまることですので覚えておきましょう。
そのための切り口についての考え方も紹介しましたが、これらを複数組み合わせることでさらにプレスリリースのネタが面白くなりやすくなります。そのため例えば「開発部署にしっかりインタビューしたので後は手を抜いて良い」とは考えず、さらに面白い掘り下げができないか検討しましょう。
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