テレビ関係者が広報担当者に思わず撮影依頼したくなるネタの特徴や条件を紹介
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2025.03.04

テレビ関係者が広報担当者に思わず撮影依頼したくなるネタの特徴や条件を紹介

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、テレビ関係者が広報・PR担当者に取材依頼するまでの流れをステップ分けして解説していきます。

特に「とにかくプレリリースを送り続けているもののテレビ露出できない」とお悩みの方に特におすすめの内容となっています。

本記事ではテレビ関係者が取材依頼をするまでのステップ、そしてテレビが好む傾向にある情報の条件などに関してお話ししますので、ぜひ参考にしてください。

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テレビ関係者が広報・PR担当者に取材依頼をする流れ5ステップ

それではテレビ関係者が、広報・PR担当者に取材依頼をする流れをステップ分けして解説していきます。テレビ関係者が具体的にどのように動くかを知っておけば、それに合うアクションがしやすくなるはずです。

ただ、もちろんすべてのテレビ関係者・すべてのシチュエーションにおいて以下のように動くわけではありませんので、あくまで参考程度にしていただければと思います。

ステップ①:番組制作責任者(デスク)から番組制作の指示が出る

番組制作責任者(デスク)などのトップの立場の人から、「こういう内容の番組(もしくはコーナー)を作るので、それに合う情報収集などをしてください」という指示が出ます。

さすがにこの段階ではまだ企業の広報・PR担当者はほとんど関与できません。ただ、活動の仕方によっては番組制作責任者くらいのポジションの人との関係性を構築することも絶対に不可能というわけではありません(何回かメディア採用されているなど)。

ステップ②:情報収集と情報に関する理解を進める

指示を受けたテレビ関係者は情報収集を行い、収集した情報の理解(内容の理解、最新情報を理解して遅れないようにするなど)を進めます。

情報収集で主にあたるのは、新聞、雑誌、SNS、そして他局の類似番組などです。なおテレビ番組は「幅広い層に見せる」場合が多いので、例えば「マニアックな専門雑誌」などは情報収集対象としての優先度が低い傾向にあります(ファクトチェックのために確認する場合はあります)。

そしてこのステップくらいから、気になる情報があればそれを発信している企業の広報・PR担当者に、「業界に関するお話しを聞きたいです」「○○について知りたいです」などとアプローチするケースがあります。チャンスですので慌てず冷静に対応しましょう。

✅だからといって「SNSで重要な情報を発信するべき」ではない

上で解説した通り、テレビ関係者は情報収集のためにSNSもチェックする傾向にありますが、だからといって「広報・PR担当者がSNSで重要な情報を発信するべき」ということではありません。

テレビ関係者はあくまで世間のトレンドを確認したり、多くの投稿画像・動画からヒントを得ようとしたりしているだけです(例外がないとは言いませんが)。

諸々をまとめると以下の通りです。

  • 広報・PR担当者はSNSで自社の重要な情報を発信するべきではない(コンプラ違反の可能性も)
  • ただし企業公式SNSアカウントがあればそこからアプローチされる可能性はある
  • 新聞や雑誌の掲載記事やテレビ番組をチェックして、「特集されている企業に対して、我々も取材しよう」という流れになる可能性はある(報道の連鎖)

ステップ③:番組のテーマや方向性を決める

ステップ①では大まかに「こういう内容の番組」くらいだったものを、収集した情報をベースにさらに固めていく場合が多いです。

具体的には番組のテーマと方向性。例えば「○○県□□市のごみ拾い活動について取材する」のが「テーマ」。

「ごみ拾いが必要な理由に迫る」、「視聴者にごみ拾いへの参加を呼びかける」、「環境問題への言及にシフトする」などが「方向性」です(もちろんテーマと方向性に定義はないため参考程度に考えてください)。

ステップ④:テーマや方向性に合いそうな、企業の広報・PR担当者へのアプローチを本格スタート

テーマや方向性が決まったら、それに合いそうな企業の広報・PR担当者へのアプローチを本格的に開始します。

具体的には各社の広報・PR担当者から大量に届いているプレリリースをチェックする、改めて新聞、雑誌、SNSなどを確認してそこから広報・PR担当者に対して打診するなどです。

ステップ⑤:取材依頼|現場の確定と取材日時決めも

取材依頼をして広報・PR担当者側が正式に承諾を出したら、現場の確定作業・取材日時決めに移行します。

現場の確定作業ですが、例えば「作業現場の映像が欲しい」となれば、実際に取材班が入ることのできるようなスペースを(元々はなくても)確保するなどが必要となる可能性もあるため柔軟に対応しましょう。

また、取材日時決めですが、やはり極力テレビ局側の都合に合わせるべきです。そうでないと、特にテレビ関係者側に「別のめぼしい取材対象企業」がある場合は、そちらに取られて、同じ話題では二度と取材がこなくなる恐れもあります。

✅覚悟を決めてスピーディーかつアグレッシブに動く

テレビに限りませんが特に初めて取材依頼が入った場合、プレッシャーを感じて積極的に動けなくなるかもしれません。

ですが例えば取材日時決めに関してモタモタしたり、取材現場確保に消極的だったりすると、そのまま取材のオファー自体が消える可能性があるので注意が必要です。特に全国ネットの場合、「他にも取材対象は山ほどある」ので気を付けてください。

そのため取材依頼が入ったら、意識して覚悟を決めてスピーディーかつアグレッシブに動くようにしましょう。他部署社員が非協力的で困ることもあるかもしれませんが、「テレビ露出することの価値」「めったにない機会であること」などを冷静・論理的に説明して、協力してもらいましょう。

テレビ関係者が取材したくなる情報の3つの条件

ではテレビ関係者は主にどのような条件を満たしている情報を求めるのでしょうか。条件を3つ紹介しますので、広報・PR担当者の皆さんは意識しましょう。

なおわかりやすくするために各条件の対比として、「テレビ関係者に求められにくい情報の例」も載せます。

条件①:時事性がある

つまり「今伝える理由がある情報」です。ライトなところでいえば季節・時節ネタ、トレンドネタ。重いところでいえば社会問題系、SDGs関連など。

具体的には「クリスマス向け新商品の○○」、「SDGsの○番目の目標に向かうための□□活動」など。

✅求められにくい情報例①

例えば単に「新商品情報」では、話題性のあるものでないと厳しいです。また、SDGsなどと絡めずに「弊社ではゴミ拾い活動を実施」なども、他の様々な情報に埋もれることでしょう。

条件②:社会性がある|知りたがっている人が多い、発信することで多くの人に役立つ

例えば「クリスマス向け新商品の○○ケーキ」。ケーキなど食べ物系の情報は「誰もが食べ物を食べるため興味がある」などの理由から強いです。

さらに「弊社が行ったSDGsの○番目の目標に向かうための□□活動は、家庭でも簡単に実践できる!」なども、SDGsに興味を持つ人は多い、多くの人に役立つなどの理由から興味を持たれやすいです。

✅求められにくい情報例②

例えば「クリスマス向け新商品の薪ストーブ」などは、「薪ストーブを欲しがる人が少ない」などの理由で厳しいかもしれません(トレンドなどによってテレビサイドの反応も変化しますが)。

さらに「自社で行っているエコ活動について、大学レベルの学術的解説をしたもの」なども、「エコ活動に興味がある人は多くても、深い内容までは興味がない」という人が多いと考えられるため、テレビ関係者の反応も悪くなりやすいといえます。

条件③:独自性がある

例えば「味がせず、いつまでも快適に噛めるガム」や、「サマーシーズンの屋内雪合戦イベントに1000人が参加」など。

独自性があり、テロップなどを見ただけで「おっ」となる視聴者が多いと考えられるため、テレビ関係者からの反応も良くなりやすいです。

✅求められにくい情報例③

例えば「ガムの新商品」、「ウィンターシーズンの屋内雪合戦イベント」などはありふれているため、時事性や社会性を含めないとテレビ関係者からの反応が悪くなりやすいです。

ただ、例えば「味が一瞬で消える高額ガム」や、「ひたすらじっと雪を眺めるイベント」など、独創性がありすぎる、悪くいえば「珍しいだけでウケるかわからない情報」のレベルになると、反応が悪くなるかもしれません。

テレビ関係者が思わず撮影依頼したくなるネタの特徴まとめ

テレビ関係者が広報・PR担当者などに取材依頼をするまでの流れを紹介しましたが、ここで特に重要なのは「テレビ関係者は何を求めているか」という視点を常に持つこと。

そのため「とにかく発信したい情報をプレリリースで送り続ける」というやり方ではテレビ露出につながらない可能性が高いです。もちろん「発信したい情報」を軸にするべきではありますが、それをプレリリースなどによって「相手が求めている情報」へと昇華することが非常に大事です。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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