年間広報・PR計画に含めるべき10項目を紹介!行き当たりばったりでない広報活動とは
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2025.05.27

年間広報・PR計画に含めるべき10項目を紹介!行き当たりばったりでない広報活動とは

➡記事を書いた人:Youtube登録者30万人【MBA保有の現役記者】上岡正明プロフィール

この記事では広報・PR担当者の皆さんに向けて、年間広報・PR計画に含めるべき項目などについてお伝えしていきます。

年間レベルの広報・PR計画がなければ活動全体が行き当たりばったりになり、最悪の場合「年間通じてほとんど広報・PR効果が出ない」という事態になってもおかしくありません。

そこで本記事では、年間広報・PR計画に入れるべき項目、そして年間広報・PR計画に対する心構えなどに関して解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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年間広報・PR計画に入れるべき10項目をチェック

それでは年間広報・PR計画に入れるべき・考えるべき項目を10個紹介していきます。なお本記事では「ダイエットサプリメントの定期購入」をメインとしている企業を例にとって解説していきます。

項目①:その年の広報・PR活動の大前提を明確にする

まずはその年の広報・PR活動の大前提を明確にしましょう。具体的には以下、3つのことをハッキリさせます。

✅企業としての注力テーマ

企業としての注力テーマとしては例えば以下のものがあります。

  • 新しいダイエットサプリメントの開発
  • 主力の「ダイエットサプリメントA」の売上アップ
  • 人材採用

まずは「この3つが今年の目標・課題である」と強く意識しましょう。「強く意識」することを甘く見てはいけません。

✅「ダイエットサプリメントAの定期購入」の事業方針

例えば以下のように整理してみましょう。

  • 目標:今年度売上○○万円
  • 現状:昨年と同水準では80%しか達成できない見込み
  • 分析:競合商品にメインターゲットである20~30代女性のシェアを持っていかれている
  • 課題:競合商品のターゲットではない層にリーチをかける
  • 戦略:40~50代男性向けプランを作り、販売する

場合によっては課題が「競合他社からメインターゲットを取り返す」などになるかもしれません。状況に合わせて考えてみてください。

✅広報・PR部署の主な役割

例えば「40~50代男性層における、ダイエットサプリメントAの認知率を上げる」などが、広報・PR部署の主な役割となることでしょう。

なお、一例として「新しいダイエットサプリメントの開発に直接的に協力する」などは広報・PR部署の役目ではないはずです。求められたらサポートしてもいいですが、注力ポイントを間違えないようにしましょう。

項目②:課題を明確化したもの

「企業としての理想」と「現在の状態」を改めて整理します。これまでの広報・PR活動を分析したり、各部署にヒアリングしたりして詰めていきましょう。具体的には例えば以下の通り。

  • 理想:「40~50代男性層」における認知率10%
  • 現状:認知率5%(アンケート調査などから明らかにする)
  • 課題:40~50代男性層向けの「ダイエットサプリメントAの定期購入新プラン」がない

項目③:目的を明確化したもの

上で考えた「課題」を前提として「広報・PR部署が企業のために何をするのか」を具体的に言語化しましょう。これも今までの広報・PR施策の結果や、企業そのものの方針・ブランディングを踏まえて考えます。

例えば「40~50代男性層向けのダイエットサプリメントAの定期購入新プランの認知率アップ」などが、広報・PR部署としての直接的な目的となります。

項目④:「ターゲット」と「ターゲットが好むメディア」

ターゲットとはつまり「広報・PRでアプローチする層」、そして「ターゲットが好むメディア」とは「ターゲットが好んで接触するメディア」です。ちなみにターゲットメディアとも言います。

ターゲットは先ほどから仮定している「40~50代男性層」で、ターゲットメディアは「40~50代男性層が好んで接触するメディア」となります。

✅ターゲットメディアは20~30件ほどリストアップする

なおこの段階でターゲットメディアを20~30件ほどリストアップしておくと、「今年主にアプローチするメディア(プレスリリースなどを送るメディア)」が明確になるので、広報・PR活動がしやすくなります。

項目⑤:伝えるべきメッセージ

つまり「企業としての目的を達成するために、ターゲットに対して何を伝えるか」です。例えば以下の通り。

  • ターゲット:40~50代男性層
  • 理想:仕事が忙しい中で簡単にダイエットがしたい
  • 現状:運動する時間がない、仕事のストレスがあるので食事制限でさらにストレスを感じたくない
  • 伝えるべきメッセージ:サプリメントがあれば、通勤で一駅分歩く時間を増やすだけでダイエットできる

項目⑥:広報・PR部署としての数値目標

広報・PR部署としての数値目標を決めましょう。

例えば「ダイエットサプリメントAの40~50代男性層の認知度アップ」が大まかな目標なのであれば、具体的に「認知度を10%にする」など。ただ、この「認知度10%」が、「理想であって1年で達成することが不可能な数値」なのであれば、一例として「認知度8%」などに下げます。

なおこの数値目標を決めるにあたって5つのポイントがあるので簡単に解説します。

✅ポイント①:具体的か

「認知度10%」や「認知度8%」は具体的ですからOKですが、これが「認知度を上げる」や「望ましい認知度にする」などとなると具体性に欠けるのでNGです。

✅ポイント②:達成できるか

上で解説した通り「認知度10%」が実現不可能な数値な場合は、「認知度8%」など実現可能な数値にします。そうでないと目標を立てる意味がありません。これに限りませんが妙なところで見栄を張ったり、「ロマン」に振り回されたりしないようにしましょう。

✅ポイント③:測定できるか

例えば「ダイエットサプリメントAの認知度」はアンケート調査などを行えば測定できるため基本的にOKです。

しかし一例として「購入者のダイエットへの意識を変えたか」などは測定しにくいので厳しいところ(具体的でもありません)。

購入者に対して自由回答式のアンケートを行えばなんとか測定できるかもしれませんが、その場合は「リソース的に測定できない」可能性が高く、こちらももちろんNGです。

✅ポイント④:企業としての目標に直接関連しているか

今回の例における「企業としての目標」は「年間売上○○万円」であり、ダイエットサプリメントAの認知度がアップすれば売上も上がるのが普通ですからOKです。

ただ、これが例えば「公式Instagramのフォロワー数○万人以上」となると、売上に直結するとは言いにくいです(売上に直結する明確な根拠がある場合はOK)。もちろん「Instagramのフォロワー数を伸ばすこと」は無駄でない場合が多いですが、この例では「ダイエットサプリメントAの認知度アップ」に直結していなければなりません。

✅ポイント⑤:期限を決める

この場合は「1年間」と明確なのでOKです。必要に応じて「1カ月ごとの目標」「3か月ごとの目標」などと刻みましょう。年間広報・PR計画に限らずなんらかのスケジュールを決める場合は、期限も定めることが大事です。

項目⑦:広報・PR施策の内容

上で決めた数値目標を達成するために、どのような広報・PR施策を行うかを決めます。その候補としては、例えば以下の通り。

  • 自社でダイエット関連情報を発信するYouTubeチャンネルを運営する
  • 40~50代男性のダイエットに関する意識調査を行う
  • ダイエットサプリメントAのプレゼントキャンペーン

このように、まずは自社イベント・施策をリストアップします。そして、それぞれの施策を行うタイミングを決めます(例:意識調査は早めに行いたいので4月、など)。

ただ、すべての施策を実行できるとは限りません。なので「実現可能性はどれくらいか」「どの程度の効果が期待できるか」などを基準に優先順位を決めて、その順位をベースに「本当に実施する施策」を決めます。

項目⑧:全体スケジュール

それぞれの施策について「準備開始時期」→「実行日(期間)」→「振り返り」までのスケジュールを決めます。

項目⑨:時期ごとの人員(などの)体制

「取り組み」ごとの人員(などの体制)を決めます。具体的には「どの取り組みに」「どの部署の人を何人割くか」など。

特に広報・PR担当者の人員分担は明確にしましょう。他部署社員とチームになって取り組みを進める場合、「広報・PR的業務」についてはリーダーになるためです。

項目⑩:予算

つまり「何に何円くらい使っていくか」です。まず何らかの月額料金・年間料金などを必ず発生する費用を整理してから予算を割り振ると、予算不足になりにくいです。

なおこの段階で「意外と予算が足りない」などとなれば、施策内容などを見直して、どれかは削除・規模縮小するしかない可能性が高いです。

年間広報・PR計画はあくまで予定。柔軟に調整していく

年間広報・PR計画を立てることで、効果的に・無駄を減らしつつ広報・PR活動を進めていくことができます。

しかし他の各種計画と同じで「年間」レベルともなれば、実際には変更・調整しなければならない場面が多く訪れると考えてください。また、特に年間計画立案に初めて挑戦する場合、計画そのものの精度が低くなる可能性もあります。

そのため「予定は変わるもの」くらいにどっしり構えましょう。そして事前に「変更・調整時の判断基準」「変更・調整の責任者」などを決めておき、それに沿って速やかに変更・調整を済ませてください。

「年間広報・PR計画の精度」も年々高めていくつもりで

上でお伝えした通り、最初のうちは年間広報・PR計画の精度が低くなるかもしれませんが、もちろんそのままでは好ましくないので徐々にクオリティを高めていきましょう。

「これまでの広報・PR施策と成果」や「去年起きたトラブル+対応策」などを考慮すれば、レベルアップさせていくことはそれほど難しくありません。

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執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者30万人のYoutuber
上岡正明

MBA(経営学博士前期課程修了)
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者30万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
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④:日本経済新聞での連載記事