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最近よく「IR」という言葉を耳にします。「IRって広報のことでしょ」と思っている方も多いと思いますが、実は、そこには基本的な違いがあるのです。今回は、IRの基本と広報担当者が身につけるべきIRの知識についてお話したいと思います。
IRとは「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略で、主に投資家に向けて、企業の経営・財務状況など、投資判断に必要な情報を提供する活動のことを言います。企業説明会や決算説明会を開催し、株主や投資家向けに自社の経営理念や方針を説明すること、こうした活動がIRの役割となります。また、財務状況や今後の経営戦略をまとめた資料(アニュアルレポート)を作成し、年度末に公表するのもIRの仕事となります。
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広報とIRの違いは
広報とIRは、いずれも株主などのステークホルダーに向けて、会社情報を発信し、良好なコミュニケーションを築く仕事です。しかしながら、両者の間にはその役割上いくつかの違いがあるのです。では、それぞれの役割の違いとは何なのでしょうか。
両者における明確な違いは、まず情報提供先の違いと、それによる必要知識の違いです。マスコミなどメディア関係者に向けて情報発信するのが広報PR活動だとすれば、IRが情報発信する相手は、株主や投資家などのステークホルダーとなります。この両者の活動はほぼ兼任されることなく、IRが関与するのは株式や決算に関する事柄が中心です。一方で広報は、自社の商品やサービスなどをプレスリリースとしてメディアに向け発信し、自社のブランディングを行いながら社会とのよりよい関係性を保持することが仕事です。
では、広報PR担当者がIRにかかわる業務としてはどのようなものがあり、その場合、注意しなければならないポイントとは何なのでしょうか。今回は具体的に5つのステップを追いながらご紹介していきたいと思います。
広報担当者が知るべき企業IRの5つのポイント
①IR情報が発表された後の問い合わせに対する対応
IRが決算報告など会社情報を発表した後には、ほぼ必ず社外からさまざまな問い合わせが入ります。この時、戸惑ったりすることなくスムーズな対応ができるよう受付体制を整えておきましょう。そのためには、事前に聞かれるであろう質問を想定しておき、回答例などを作っておくことも大事なことです。そして、常日頃から社内のコミュニケーションを深めておくと、質問に対して的確な回答ができる場合があります。もちろん、IR担当者とは密に関係性を作っておくことが重要です。
②広報PR情報に関する開示可否の確認
2つ目は、広報PR情報の「開示」の可否を決めておくことです。企業がIR情報を発表する「開示」には、大きく分けて3つの種類があります。
① 法定開示/定期的に会社の財務状況を報告する(有価証券報告書など)
② 適時開示/投資する判断材料となるべく事項を速やかに報告する
③ 任意開示/投資する判断に有用な会社情報を提供する
「法定開示」は金融商品取引法に、「適時開示」は金融商品取引所の規則に基づいて行われるもので、IR業務の主軸ともいえます。3つ目の「任意開示」は、法令や規則による開示は求められていません。ちなみに、IRにおいては、「アニュアルレポート」、「サステナビリティレポート」、「決算説明資料」などは任意開示の範囲におさまります。
広報PRにおいて重要となるのが、この任意開示です。戦略的な考え方を持ち、広報としての視点で、株主・投資家に有用な情報を選ぶことが大事です。任意開示の基準は各社それぞれで異なります。例えば、新工場の設立・稼働開始や他社との業務提携など、投資判断に直結する情報をプレスリリースとして発信し任意開示として発表する企業もあります。
③決算発表資料のチェック
上場企業が四半期ごとに公開する情報のひとつに決算発表があります。これは、現在の自社の財務状況やトピックス、そして、その背景などを投資家やメディアに向けて説明するものです。決算発表資料を作るのはIR担当者ですが、広報担当者も広報PRの目線でしっかりチェックを行うことも重要です。チェックする主なポイントは次の通りです。
●既に発表されたプレスリリースとの間に事実関係や文脈の相違がないか
●直近の数字が反映(アップデート)されているか
●発表のタイミングは適切か
基本的に、広報PR担当者は、すべての企業発表を把握しておかなければなりません。そのため、このようなチェックが日頃から円滑に行えるよう、社内のコミュニケーションを良好に保ち、風通しの良い体制づくりを目指したいものです。
④決算発表会に向けた準備
決算発表会の準備は、基本的に広報PR担当者の仕事となります。決算発表会には株主や投資家など様々なステークホルダーが出席するので、発表内容だけでなく、身だしなみのチェック、会場の整備・警備、受付対応などの準備が必要となります。また、コロナ禍の現在では「ソーシャルディスタンスの確保」や「換気・消毒の徹底」など、感染症対策が十分に行われているかどうかをチェックするのも欠かせないポイントとなります。
⑤社内への情報共有と発信可否のアナウンス
前述した通り、社内における良好なコミュニケーション構築も広報PR担当者の重要な仕事です。社内的に情報は共有しますが、社外秘を含む開示にかかわる情報の共有は必要最小限の役職者にとどめましょう。開示情報を伝える際は「開示日時までは、SNSなどでの発言はしないでください」などと、具体的な指示を出すことも忘れてはいけません。そして、企業によっては従業員が株主というケースもあります。こうした場合は、絶対にインサイダー取引が起こらないよう細心の注意が必要です。
広報PR担当者がIRに関わる時の注意点
それでは、最後に広報PR担当者がIRに関わる時、どのような点に注意しなければならないか、5つのポイントを上げておきます。
●日頃からIR担当者と密にコミュニケーションを取っておく。
(情報そのものだけでなく、背景や周辺情報も共有しておく)
●適時開示の日時を厳守し内容を整理する。
(記載されたトピックスの日時などに間違いはないか)
●適時開示情報のリークには細心の注意を払う。
(これは金融商品取引所が定める規定に違反することになる)
●IR情報に関する質問は速やかにIR担当者に引き継ぐ。
(中途半端な回答は投資家などに不利益をもたらすことも)
●社内のコミュニケーション構築は広報主導で行う。
(社内での情報共有などはニュートラルな立ち位置の広報がリーダーシップを持つ)
広報PR担当者は、メディア対応や社内のコミュニケーション構築のノウハウはもっているものの、財務や決算などの専門家ではありません。一方、IR担当者は財務や会計、法制には深い知識を持つ半面、メディアコミュニケーションには不慣れなこともあると思います。効果的でより良いIRを実施するためにも、両者間で常に連携を取っておくことは必要不可欠といえます。広報PR担当者とIR担当者が密に連携できていると、社内で共有される情報に信頼性が生まれ、情報の変更などにもフレキシブルに対応でき、さらに、メディアなど社外への対応の際も迅速、且つ正確な処置ができるのです。
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