なぜ、民放テレビ局は視聴率に一喜一憂するのでしょうか?
コラム
主婦共感×PR
2016.05.20

なぜ、民放テレビ局は視聴率に一喜一憂するのでしょうか?

 2015年度、フジテレビのゴールデン(19~22時)平均視聴率は前期比0.9%減の8.9%。プライム(19~23時)も同じく1%減の9.0%となった。それぞれの時間帯における順位はTBSテレビに抜かれ民放4位に転落(6~24時の「全日」は6.2%の3位を維持)。視聴率の低迷によって広告収入は大幅に減少し、2015年度の営業利益は55億円と前期比でほぼ半減となった。(東洋経済オンライン 2016年5月18日(水)配信より)

視聴率の低迷で、なぜ広告収入が減るのでしょうか?
視聴率が低い番組には、提供スポンサーが付かなくから・・・実は、そうではありません。
大きな理由は、スポットCMの広告収入が減るからです。

テレビの場合、広告(CM)は、タイムとスポットの2種類があります。
タイムとは、番組の提供スポンサーです。
スポットとは、番組と番組の間に流れるCMです。

スポットCM(15秒)の料金は、テレビ局ごとに決まっていて、日本テレビの場合は時間帯によって、5種類の料金があります。
一番高い料金は、ゴールデンなどの「A」で、15秒(1回)=105万円です。その次が「特B」で、15秒=76万円、「B」=42万円、「C」=30万円、「深夜」=10万円となっています。

スポットの場合には、通常、広告料金と合計視聴率の契約が一般的です。

分かりやすい数字にすると、例えば、合計視聴率200%で1,050万円というCM(15秒)を企業が出稿したとしましょう。
その15秒CMが放送される時間帯が「A」で、視聴率が20%とします。この場合は、CMを10回放送すれば、料金は1,050万円、合計視聴率は200%となります。
ところが、視聴率が10%の場合は、10回放送しても合計視聴率は100%で、まだ100%足りません。そこで、あと10回放送して200%、つまり20回放送しなければなりません。
もし、視聴率が5%の場合には、40回放送しなければ、合計視聴率200%になりません。
10回放送の場合は、150秒。40回放送の場合は、600秒の放送時間がとられてしまうのです。
広告収入が同じ1,050万円でも、限られた放送帯時間の中で150秒と600秒では、大きな開きがあります。

つまり、視聴率が高い番組が多いほど、多くの企業からスポットCMを受注できるので、結果として広告収入が増えるのです。逆にその時間帯の視聴率が低いと、スポットCMの広告収入が減ってしまうのです。

視聴率によって広告収入が大きく変動するスポットCM、そのために、民放各テレビ局は、視聴率に一喜一憂しているのです。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

①:東洋経済オンラインでの連載記事
②:ダイヤモンドオンラインでの連載記事
③:プレジデントでの連載記事
④:日本経済新聞での連載記事