クールビズのプロモーション戦略
コラム
経営戦略×PR
2015.10.15

クールビズのプロモーション戦略

10月も中旬に入り過ごしやすい季節になってきました。
そろそろ『クールビズ』の装いも終わりを迎え、秋の格好に衣替えの時期へとなってきましたね。

そこで気になったのですが、
『クールビズ』という言葉、今では当たり前のように使われていますが、
世間に認知されるようになってここ数年のような気がします。
一体どのようにして、『クールビズ』という言葉がこれほどまで認知されるようになったのでしょうか?

今回は、『クールビズ』のプロモーション戦略に着目していきたいと思います。

そもそも『クールビズ』とは、今から10年前、2005年の小泉内閣の時に始まったもので、
省エネ、地球温暖化防止を目的とした夏場の軽装により冷房節約のキャンペーンだそうです。

それでは、『クールビズ』のプロモーション戦略がどのように成功したのかの前に
失敗例を一つご紹介させていただきたいと思います。

実は、『クールビズ』の26年前、『クールビズ』に似たキャンペーンがあった事をご存じですか?
その名も省エネルック。
1973年、大平内閣の時代です。
石油節約や節電対策のため、政治家が連日のように省エネルック(スーツを半そでにしたもの)で
メディアに登場するものの、全く普及することはありませんでした。
メディアを使って大々的にPRし話題になったのに普及しなかった。
それはいったいなぜなのでしょうか?

その失敗の主な要因として、ターゲットとなるビジネスマンの事を全く考えていなかったためと言われています。

涼しさのためにただスーツを半そでにしただけという見た目のダサさに加え、
省エネルックという言葉で国の政策を押し付けたイメージを植え付けてしまいました。
その結果、当時のビジネスマンたちに「着たくないな」と思われ、省エネルックは失敗に終わってしまいました。

そこで小泉内閣は、この失敗を踏まえ『クールビズ』という言葉でターゲットとなる
ビジネスマンが受け入れやすいように「かっこよく、涼しく、地球温暖化予防」というイメージをもたせました。

さらに抵抗感排除のため当時の愛知万博で財界トップによるクールビズファッションショーを開催したり、
ウェブや広告、テレビなども活用して様々な情報発信を活発に行ったそうです。

こうして、『クールビズ』はビジネスマンに受け入れられました。

どのような人たちに(ターゲット)、どのようなことを伝え(目的)、
どうやって訴求していくのか(手段)が重要であるといういい例だと思います。

現在では、TV、雑誌、WEBメディアなど様々な媒体がありますが、
ただ商材やサービスを認知させるために露出させるのではなく、
どのようなターゲットにどのような目的で情報を認知させていくかがより重要になってくると思います。

そうでないと、せっかく情報を訴求させても全く普及せず、
無駄に終わってしまうばかりかマイナスイメージを持たれかねませんからね。

PR・広報を担当されている方も、今一度、どのような人たちに
どのような情報を訴求していくのかというターゲットと目的を明確にし、
PR活動に取り組んでみたらいかがでしょうか?


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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