大人気商品「フルグラ」マーケティング戦略
コラム
経営戦略×PR
2015.06.28

大人気商品「フルグラ」マーケティング戦略

フルーツグラノーラといえば、今や健康や美を意識する女性の定番シリアルになりました。

人気タレントや女優さんもブログやSNSなどで紹介し話題になっていますね。

今日はその「フルグラ」のマーケティング戦略を分析したいと思います。

まずはマーケティングの4Pをどのように設定し、仕掛けていったのでしょうか。

①製品戦略
発売10年後の2001年には「グラノーラ」と「フルーツグラノーラ」の2商品を「フルーツグラノーラ」と名称を統一しています。
(2011年に「フルグラ」に名称変更)

2002年には「イチゴ」を入れた製品にリニューアル。
食物繊維の大切さが認識され始めた時代背景も考慮し、おいしさと高い機能性を備えたすぐれた商品を作り出しました。

さらに2011年にはアレンジレシピコンテストを展開、2012年にはレシピ本を出版。
「フルグラ」の持つ魅力を多様な用途で紹介するとともにほかのシリアルとは一線を画す存在と位置づけています。

②価格戦略
2009年から経営体制を変更したことで、高コスト体質から脱却を図っています。
大胆なコスト・リダクションを基に大衆価格を実現し市場に大量投入することで認知度を向上させました。

「フルグラ」は他社商品と比較すると大衆価格戦略で購買層を広げています。

③流通チャネル戦略
従来のターゲットは40、50代の女性でしたが、ドラックストアやホームセンターへ流通チャネルを拡大することで、20、30代を含めた幅広い層へ訴求していきました。
この結果、食物繊維や鉄分が豊富なことから女性を中心に広い層に支持が広がりました。

④販売促進戦略
「シリアルと呼ばないで!」

ここが一番のポイントです。

「フルグラ」は朝食の主役であるご飯やパンと競合させるのではなく、
ヨーグルトや牛乳にプラスする゙オトモダヂとしてのポジションに変更しました。

゙オトモダヂとして位置づけることで食べる機会を増やすことができたと言われています。

また、日本人好みに改良を続けた味覚と健康性で、「認知度を高めれば必ず売れる」と確信し広告よりも「試食による人的販売」を重視しました。

このように話題性を作ることでパブリシティとして広がる仕組みを築いたことで成熟期にあった「フルグラ」ですが外部環境の変化によるチャンスをマーケティングの4Pで具体的施策として取り組み生かした結果、爆発的ブームを引き起こしたのです。

メディアがメディアを呼ぶ仕組みも作ってしまえば、広告費の削減になり、より効果の高いパブリシティの大量獲得にもつながるなんて一石二鳥ですね。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

日経ヴェリタス・東洋経済オンライン・ダイヤモンドオンライン・プレジデントの4大経済メディアで専門家として記事連載もおこなっております。お読みになりたい方はこちらからご覧下さい。

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