コラム
経営戦略×PR
2019.02.20

PRの生み出す力

本日のコラムは奈良県生駒市にある小さなラムネ製菓が生み出した奇跡について書かせていただきたいと思います。

9月17日(木)日経MJ新聞 16面 トレンドより

奈良県の小さなラムネ製菓が作る、淡いピンクや青色の「レインボーラムネ」が今春3,500人分を全国販売したところ、14万を超える申し込み殺到したという。特別な原料も使わず粉砂糖を固めただけの素朴な駄菓子がなぜこれほど多くの人々を魅了したのでしょうか。

この「レインボーラムネ」は14年前から販売を開始していましたが、販売当初はほとんど売れていなかったとのこと。それが、一度地元紙で取り上げられると『大人が食べてもおいしい』と口コミが広がり、爆発的な人気商品となったそうです。

この「レインボーラムネ」は、一つ一つ手作業のため、生産量が限られ、地元の一部の製菓店に卸す以外は、3月、9月の年二回はがきで注文を受け郵送するという非常にシンプルな流通経路を採っていました。しかし、今年の3月に3,500人分を全国販売したところ14万件以上の応募が殺到したとのこと。

生駒市が今年6月、年1万円以上の「ふるさと納税」をした人に贈る記念品に「レインボーラムネ」を加えたところ、5日間で集まった寄付額は2013年1年間の5倍に相当する1,800万円も集まり、市も驚愕しているとのこと。

この件が爆発的なブームとなった要因をまとめると以下の3点が挙げられると思います。

① 地元誌に取り上げられ、口コミが広がったこと
② 「大人の菓子」ブームに載ったこと
③ 小さな製菓会社ゆえに生産量が間に合わず、それが逆に「ほとんど手に入らない」というプレミア感を与えることとなった。

14年前にはほとんど売れていなかった商品が、1度地元誌に取り上げられ、口コミが広がり、「大人のお菓子」というブームにも乗って応募者が殺到する。最も分かりやすいPRの成功事例といえるのではないでしょうか。

ここまでの成功を戦略的に行うことはほぼ不可能といえますが、日々の媒体研究を地道に行うことにより、ある程度、商品の流行り廃りを把握することが出来ます。

把握した情報をいかにお客様にご提供できるか否かは、日々のインプット力にかかっているといえます。

また、この「レインボーラムネ」を取り上げ、口コミを広げるきっかけとなった媒体が、大手新聞やテレビではなく、地元誌であるところにもどのような媒体でもこのような奇跡を生み出す可能性があることを再認識させてくれます。

この件は、どのような媒体にも1件1件電話をし、訪問をして商品・サービスを説明するという、弊社が最も大事にしている泥臭い仕事ぶりが間違っていないということを確認させてくれる成功事例といえるのではないでしょうか。


執筆者・監修者
上岡正明
経済記者・経済コメンテーター
戦略PRプランナー・著書26冊累計105万部のビジネス作家
登録者25万人のYoutuber
上岡正明

MBA(多摩大学院経営情報学修了)
テレビコメンテーター
多摩大学客員講師(18,19)
帝塚山大学客員講師(19)
登録者24万人のビジネス系YouTube

「スーパーJチャンネル」「めざましテレビ」「王様のブランチ」「クイズミリオネア」等の元放送作家。日本を代表するPR戦略の専門家で、企業広報のスペシャリスト。未上場から上場企業まで戦略PRを手掛けたクライアントは300社以上。

広報ブランディング、新規事業構築、外資系企業の国内イベント、海外プロモーション支援のコンサルティング会社代表。現在まで約20年間、実業家として会社を経営。これまでに三井物産、SONY、三菱鉛筆、日本瓦斯など200社以上の広報支援、スウェーデン大使館やドバイ政府観光局などの国際観光誘致イベントなどを行う。

代表的なコンサルティング案件としては、日本中の女性たちの心を動かした「表参道のパンケーキブーム」、1年で200万台以上を売り上げた「ふとん専用掃除機レイコップ」、世界が注目する食イベント「肉フェス」、1カ月で6000万人(日本の約半分)にバズらせた「ジャポニカ学習帳“昆虫の表紙が変わった?”」がある。

経営と並行してMBA(情報工学博士前期課程)取得。東京都中小企業振興公社講師。成蹊大学、多摩大学、帝塚山大学の客員講師。東洋経済新報社、ダイヤモンド社、朝日新聞出版社、PHP出版、総合法令出版社、アスコム社、大和出版、すばる舎、宝島社から累計21冊80万部の著書を上梓。

日本神経心理学会、日本行動心理学学会、行動経済学学会、一般社団法人日本行動分析学会、日本社会心理学会、一般社団法人日本小児心身医学会、認知神経科学会の各学会員。

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